ベルギー、原発事故に備え、1100万人にヨウ素剤無料配布、老朽原発を停止せず

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ベルギー政府は3月5日、老朽化が進む同国の原子力発電所で事故が発生した場合に備え、国民約1100万人に無料配布するヨウ素錠剤の薬局への配送を始めた。政府は1箱10錠入りのヨウ素錠剤を450万箱発注している。

政府は同時に、正式国語であるフランス語、オランダ語、ドイツ語でのWebside を開設し、もしもの場合にどう行動するかを知らせ始めた。

(トップページの翻訳)

原子力事故で何をすべきか知っていますか?

原子力事故が発生した場合の対処方法を知っていますか?この質問に対する回答が明確でない場合は、 www.nuklearrisiko.be にアクセスすることをお勧めします。このウェブサイトは、原子力事故の可能性を市民に知らせる「原子力リスク」キャンペーンの一環です。

自分を守るための最も重要なヒント:

安全を見つけよう:建物に入り、内部に留まる。
できるだけ窓を閉じ、通気孔を密閉してください。
メディアの推奨事項に従ってください。


(ヨウ素剤の項)

放射能ヨウ素は原子力事故で放出される可能性がある。 気道や汚染された食物を通して、体内に入ることがあります。 甲状腺はこのヨウ素を吸収し、 "内部からの放射線"をもたらす。 がんや他の病気のリスクが大幅に上昇します。

適切な時期に安定または非放射性のヨウ素を採取することによって、甲状腺はすでにヨウ素で飽和しているので、放射性ヨウ素の吸収が停止します。 しかし、ヨウ素錠剤は、他の放射性物質に対する保護を提供していない。 このため、できるだけ早く閉鎖された部屋に移動する必要があります。

ベルギー政府は、これらはあくまで予防的措置であり、「具体的な危険」はないとしている。

ベルギーの原発は老朽化が進んでおり、過去数年、潤滑油が漏出したり、原子炉容器にひびが見つかったりするなど問題が相次いだ。
人為的な不正操作によって原子炉の運転が停止する事件もあったが、未解決のままとなっている。

こうした事態を受け、近年、国内のみならず近隣のオランダ、ルクセンブルク、ドイツでも、ベルギーの原発に対する懸念が高まっていた。

オランダ政府は2年前、ベルギーとの国境近くに住む国民のため数百万錠のヨウ素剤を発注した。

2016年にはドイツやルクセンブルグが老朽化原発の停止を要求したが、ベルギー政府は応じていない。


ベルギーの稼働中の原発は下記の7基で、フランスのエネルギー大手GDF Suez 傘下のベルギー電力大手Electrabelが運用する。

原発 万kW 運転開始 運転停止
Doel  1 43.3 1974 2015→2025
2 43.3 1975 2015→2025
3 100.6 1982 2022
4 100.8 1985 2025
Tihange 1 96.2 1975 2015→2025
2 100.8 1982 2023
3 105.4 1985 2025

ベルギーは2025年までに国内の原発を段階的に全廃する原則を盛り込んだ脱原発法を制定している。

Doel原発の1、2号機、Tihange1号機は建造から40年が経過しているため、2015年の閉鎖が一度確定していた。

しかし、ベルギーでは代替エネルギーの確保が遅れ、電力供給不安が発生していることから、2009年10月に、事業者が再生エネルギー研究・開発へ資金提供することなどを条件に10年間延長された。

ドイツの環境相は2016年4月20日、ベルギー政府に対し、国境に近い南部Tiange 原発2号機と北部Doel原発3号機の運転停止と詳細な検査を求めた。2日後にはルクセンブルク政府も同調した。

2基はいずれも1980年代初めの稼働で、2012年夏の定期検査で原子炉圧力容器の内側に多数の微細なひび割れが見つかった。ベルギー連邦原子力管理庁は2015年2月、ひび割れは2基で計1万6千カ所以上あり、最大で18センチに達していると発表した。炉内で生じた水素が原因とみられるという。

しかし、ベルギー原子力管理庁はドイツなどの要請に「国際的な安全基準を満たしており、運転停止する必要はない」と反発、強気の姿勢を崩さなかった。

 

2017年6月25日、Tihange 原発2号機などを巡り、周辺住民ら 5万人超(主催者発表)が手をつなぎ、Tihange 原発前から Liege、オランダのMaastricht を経てドイツ西部Aachen に至る3カ国にまたがる約90キロの「人間の鎖」(上の地図参照)をつくり「危険な原発」の即時閉鎖を訴えた。
 



2017/7/1 ベルギー、原発閉鎖へ5万人の「鎖」 

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