中国、対米報復関税を発動

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中国国務院は4月1日、米国が通商拡大法232条に基づき、中国産の鉄鋼やアルミニウムの輸入を制限したことへの対抗措置として、米国産の豚肉やワインなど計128品目に最大25%の関税を上乗せすると発表した。
4月2日から実施した。

トランプ米大統領は3月1日、鉄鋼とアルミニウムの輸入増が安全保障上の脅威になっているとして輸入制限を発動する方針を表明、3月8日午後、鉄鋼とアルミニウムに輸入制限の発動を命じる文書に署名した。

鉄鋼には25%、アルミには10%の追加関税をかける。

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これに対し、中国は報復策を発表した。

商務部は3月23日、米国から輸入するワインやドライフルーツ、豚肉などを対象に最高25%の関税を上乗せする準備をしていると発表した。対象は米国の2017年の輸出額で約30億ドル分。

鉄鋼・アルミの輸入制限の撤回や中国側が受けた損失の補償を求めて交渉し、まとまらなければ先ず、ワイン、果物、ナッツ、継目なし鋼管など120品目(輸入額10億ドル)を対象に15%を上乗せする。

その後もさらに交渉を続け、決裂すれば、豚肉、アルミニウムのスクラップなど8品目(輸入額20億ドル)を対象に25%を上乗せする。交渉期限は明らかにしていない。

この措置は、緊急輸入制限(セーフガード)への対抗措置として、WTO協定でも認められている。


鉄鋼やアルミニウムの輸入制限は米東部時間3月23日午前0時1分(日本時間同日午後1時1分)に発動された。同時刻以降に米国に輸入された製品から追加関税を徴収する。

ホワイトハウスはカナダ、ブラジル、メキシコ、EU、オーストラリア、アルゼンチン、韓国への関税を5月1日まで猶予する方針を示した。

2018/3/26 米国、鉄鋼とアルミの輸入制限を発動

今回の中国の措置は、3月23日発表の措置の通りで、当時は2段階での関税上乗せとしていたが、交渉がまとまらなかったため、一挙に実施する。

果物など120品目(2017年の輸入額は計10億ドル)に15%、豚肉とアルミスクラップの8品目(輸入額20億ドル)に25%を上乗せする。

中国政府は、「我が国は多角的貿易体制を支持しており、米国への関税上乗せはWTOのルールを適用したもので、我が国の利益を守るものだ」と述べている。

具体的な対象品目は次の通り。

15%上乗せ

果実及びナット、果皮(関税番号 08 ) 78項目

ナット、バナナ、いちじく・パイナップル・アボカドー、かんきつ類、ぶどう、パパイヤ・メロン、りんご・梨、あんず・さくらんぼ、冷凍果実・冷凍ナット、保存処理した果実・ナット等

葡萄酒(2204)5項目
変性アルコール(2207.20) 1項目
朝鮮人参(1211.2)3項目
鉄鋼製の管及び中空の形材 (73.04) 33項目
合計 120項目
25%上乗せ 豚肉(0203 & 0206) 7項目
アルミニウムスクラップ(7602) 1項目
合計 8項目

詳細 http://gss.mof.gov.cn/zhengwuxinxi/zhengcefabu/201804/P020180401856022545193.xlsx

付記 

米国のウォルターズ大統領副報道官は4月2日、「中国は公正に輸出された米国製品を標的にするのではなく、自分たちの不公正な慣行をやめるべきだ。根本問題は、中国企業が政府から補助金を受け取り、鉄鋼などを過剰に生産していることだ」と述べた。

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