富士フィルム、富山化学を完全子会社化し、富士フィルムRIファーマと統合

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富士フィルムは5月14日、大正製薬から7月31日に富山化学株式34%を取得して富山化学を完全子会社化すること、放射性医薬品の富士フイルムRIファーマと富山化学を10月1日付で統合し、富士フイルム富山化学としてスタートさせることを発表した。

同社は現在、富山化学の低分子医薬品、富士フイルムRIファーマの放射性診断薬・治療薬を中核として医薬品事業を展開している。

昨今、アンメットメディカルニーズへの対応がますます求められるとともに、治療の適正化に貢献する診断の重要性が高まっている中、富山化学と富士フイルム RI ファーマを統合して、診断薬・治療薬の新薬開発のスピードアップ、さらには「診断」と「治療」の連携強化をより一層図る。

付記

富士フィルムは7月27日、ジェネリック医薬品を中心に事業活動を行ってき富士フイルムファーマを2019年3月31日付で解散すると発表した。

製薬業界を取り巻く環境が急激に変化しており、現在の事業活動では安定的な収益を将来にわたって確保することが困難であると判断した。

富山化学:

富士フイルム、大正製薬、富山化学工業の3社は2008年2月13日、富山化学の医療用医薬品事業の強化を中心とする戦略的資本・業務提携を行うことで基本合意したと発表した。

下記の手順により、富山化学株式の最終的な保有比率は富士フイルム 66%、大正製薬 34%となった。今回、富士フィルム100%とする。

2008/2/19 富士フイルム、富山化学を買収、総合ヘルスケア企業を目指す

富山化学は抗インフルエンザウイルス薬「アビガン®錠200mg」(Favipiravir) を開発した。

アビガンは、ウイルスの細胞内での遺伝子複製を阻害することで増殖を防ぐRNAポリメラーゼ阻害剤である。

富士フイルムは2014年9月26日、グループの富山化学が開発した抗インフルエンザウイルス薬「アビガン® 錠200mg」が、エボラ出血熱に罹患した患者の治療のため、フランスの病院で投与されたと発表した。

2014/9/27 富士フィルム、エボラ出血熱患者に「アビガン」提供 

富士フイルムRI ファーマ:

富士フイルムRI ファーマは治療用放射性医薬品メーカーで、旧称 第一ラジオアイソトープ研究所。

1968年に第一製薬とMallinckrodt とのJVで設立、1988年に第一製薬の100%子会社となり、2006年10月に富士フィルムが買収した。

富士フイルムRI ファーマは2014年10月14日、大手製薬企業のEli Lilly and Companyとの間で、同社のPET検査用放射性医薬品「florbetapir(18F)注射液)」の日本国内における共同開発契約を締結した。

同年11月4日、脳疾患や心臓疾患、腫瘍などの各種疾病の機能診断に役立つPET(陽電子放射断層撮影)検査用の放射性医薬品市場に参入すると発表した。富士フイルムRI ファーマが約60億円を投資し、川崎と茨木に研究開発拠点を新設する。

2014/11/18 富士フイルム、PET検査用の放射性医薬品市場に参入  


富士フイルムは、写真フィルムで培った、化合物の合成力・設計力や解析技術、ナノ分散技術などの高度な技術を活かして新薬の研究などを行う。

統合会社となる富士フイルム富山化学は、富士フィルムと連携し、アンメットメディカルニーズが高い「がん」「中枢神経疾患」「感染症」領域において、新規の放射性診断薬・治療薬、独自の作用メカニズムを持った治療薬の開発を行う。

さらに、必要な量の薬物を必要な部位に必要なタイミングに送達するドラッグ・デリバリー・システム(DDS)のさらなる技術開発も推進し、下記の技術を、既存薬のみならず、次世代医薬品として期待されている核酸医薬品や遺伝子治療薬へ応用展開していく。

リポソーム製剤技術:細胞膜や生体膜の構成成分である有機物のリン脂質などをカプセル状にした微粒子 (リポソーム)の中に薬物を内包する製剤技術
マイクロニードルアレイ:100~2000 ミクロンの長さの微細な突起をシート上に配した薬剤送達部材で、皮膚表面に貼ることで、 突起部分から薬剤を皮膚に浸透させ、体内に届けることができるもの


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