Xerox、再び株主と和解、富士フイルムによる買収契約を破棄

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Xeroxは5月13日、富士フィルムホールディングスによる買収契約を終了すると発表した。

買収に反対する大株主のCarl Icahn、Darwin Deason と5月1日に和解し、5月3日に撤回、5月9日に株主宛ての書簡で富士フィルムと再交渉するとしていたが、株主側と再度和解し、買収契約自体を終了させた。

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Xerox によると、現地時間 5月13日午後5時(日本時間14日午前6時)に富士フィルムに契約終了を通知した。理由としては、①富士ゼロックスの監査済決算を4月15日までに提出しなかったこと、②監査済の財務数字が契約締結前にもらっていた監査前の財務数字と著しく違っていること、③その後の事態の変化で契約の実行が難しくなったことを勘案したとしている。

1月22日、Carl IcahnとDarwin Deasonはゼロックスに関する共同声明を発表したが、そのなかで、今回の富士ゼロックスの経理スキャンダルに鑑み、JVを解消するか、ゼロックスに有利なように改定すべきであるとしていた。

富士ゼロックスの財務スキャンダルはXeroxの他の株主の間でも問題になっていた。

富士フィルムへの通知後、大株主のCarl Icahn、Darwin Deasonと新しい和解契約を結んだ。これにより、株主総会での委任状争奪戦、および、Darwin Deasonによる会社及び取締役に対する訴訟を回避する。

株主側の和解内容は次の通りで、Robert J. Keegan 会長、Jeff Jacobson CEO と取締役5名が退任し、株主側推薦の5名が次の総会後に取締役に就任する。

新しい会長にはIcahn Enterprises L.P. のCEOの Keith Cozza が就任する。
副会長兼CEOには
Giovanni ("John") Visentinが就任する。同氏はExela Technologies のSenior Advisor to the Chairman で、また。Advent InternationalのOperating Partner であった。

付記 

Xeroxは5月16日、Keith Cozza 会長、John Visentin CEOの就任を発表した。(取締役就任は株主総会後)
株主総会は7月31日に決まった。

買収合意撤回についてのSECへの提出資料では、株主への特別配当を5割積み増すよう富士フィルムに求めたが、回答がなかったという。

ーーー

今回合意 5/1 合意
新取締役
(株主推薦)
5名
Keith Cozza, Nicholas Graziano,
Scott Letier、John Visentin
Jonathan Christodoro
6名
Keith Cozza, Nicholas Graziano,
Scott Letier, John Visentin
Jay Firestone, Randolph Read
退任取締役 6名
Jeff Jacobson
Robert J. Keegan, Charles Prince,
Ann N. Reese, William Curt Hunter,
Stephen H. Rusckowski
7名
Jeff Jacobson
Robert J. Keegan, Charles Prince,
Ann N. Reese, William Curt Hunter,
Stephen H. Rusckowski、
Sara Martinez Tucker
留任取締役 4名
Gregory Brown, Joseph Echevarria,
Cheryl Krongard
Sara Martinez Tucker
3名
Gregory Brown, Joseph Echevarria
Cheryl Krongard
会長 退任 Robert J. Keegan
就任 Keith Cozza
退任 Robert J. Keegan
就任 Keith Cozza
CEO 退任 Jeff Jacobson
就任 John Visentin(副会長兼務)
退任 Jeff Jacobson
就任 John Visentin
(副会長兼務)

当初、株主側は取締役全員の候補を立てるとしていたが、今回就任の5名以外は引き下げる。なお、会社側は取締役候補の推薦期限を2017年12月11日としていたが、2018年6月13日までは受け付ける。
6月13日に予定されていた株主総会はそれ以降となる。

現在の取締役会は、次の通りコメントした。

過去数週間にわたり、富士フィルムに対し、直ちに契約変更の交渉に入るよう求めてきたが、富士フィルムはこれに応じなかった。

取締役会としては、裁判所の差し止め命令、株主が現在の条件での契約を支持していないこと、富士ゼロックスの経理スキャンダルが解決していないことなどの状況下で、取引の完了が見込めないと考える。

また、委任状争奪戦で混乱し、事業にも悪影響を与えることを懸念した。富士フィルムとの間で早期に取引が完了しないことから、富士フィルムとの取引を終了し、株主二人と和解するのが会社にとってベストと考える。

和解契約のもとで、新取締役会はXeroxの株主にとっての価値を最大限にするための代替案の検討に着手する。



付記 富士ゼロックスの経理スキャンダル

富士フィルムHDは2017年6月12日、傘下の富士ゼロックスの販売子会社で起きた不適切な会計処理を受けて375億円の損失が発生し、抜本的な対策のため富士ゼロックス会長に古森重隆会長が就くと発表した。

調査報告書によると、不適切会計の主な舞台となったのは富士ゼロックスのニュージーランドの販売子会社。中堅幹部であるマネージングディレクターが中心となって、複写機などのリース契約で問題のある取引を繰り返していた。

例えば、(1)顧客との契約時におけるサービス利用想定量を過大に計上した (2)リース契約期間満了前に契約を更新し、その際に過去の売り上げを取り消さずに、新たな売り上げを計上した (3)リース契約獲得のための販促費用相当額を売り上げに加算し、同額をリース債権に計上した、といった不適切な取引を行っていたという。

第三者委員会は理由として、過大なインセンティブ報酬の存在を指摘する。現地従業員の固定給を低く抑える代わりに、売り上げ目標を達成したときの「ボーナス」を大盤振る舞いする報酬体系だったという。

2015年7月、ニュージーランド販社が不適切な取引を行っているとの内容の告発メールが、富士ゼロックスに届くが、幹部は実質的な問題先送りを指示した。

2016年9月にニュージーランドの複数の報道機関が損失発生の事実を指摘。続報で「不正な売上計上の可能性」を報じ、同国の警察省の重大不正捜査局が捜査を始めた。

不適切な会計処理を回避できなかった原因として、調査報告書は「売上プレッシャー」の存在を指摘する。複数のインタビュー対象者から、本社からの業績達成圧力が非常に強いとの証言を得たとしている。

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