Ineosの会長兼CEO Jim Ratcliffe の話題

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最近、Ineosの会長兼CEO Jim Ratcliffe がニュースに取り上げられている。

1.爵位

英国エリザベス女王の公式誕生日にちなんで、国内外で活躍した人物に贈られる勲章の叙勲者リストが6月8日に発表された。

エリザベス女王の実際の誕生日は4月21日だが、君主の誕生日を6月に祝うことが英国の伝統となっている。

女王の公式誕生日に授与される叙勲は1860年にヴィクトリア女王が開始したもので、本年は1,057人、全体の49%が女性となっている。

日本出身のノーベル賞作家カズオ・イシグロがイギリスの文学に貢献したという理由で、爵位の中でも高い位のナイトの称号を与えられた。英国籍であるため、「Sir」の敬称を使うことができる。

Jim Ratcliffeも、ビジネスと投資への貢献でナイトの称号を与えられ、Sir Ratcliffe となった。
彼は2017年に資産を150億ポンドから210.5億ポンドに増やし、英国1位の金持ちとなっている。

現地紙は以下の例を挙げ、 Ratcliffe の受勲を祝わない人もいるとしている。

・ Ineosは最近、スコットランド政府のフラッキング禁止は違法として訴えた。

Ineos はスコットランドでシェール開発を計画しており、国中で合計700平方マイルにわたる掘削ライセンスを得ている。

2014/8/22 Ineos、スコットランドのシェールガス開発に参加

スコットランド政府は2017年10月にフラッキング禁止を発表、その後スコットランド議会で承認された。

・ Nottinghamshireの公園での試掘を認めないことに対し、National Trustを訴えている。

・ 2013年のGrangemouth refineryのストで労働者を脅迫。

2013/10/10 Ineos、Grangemouthの石化コンプレックス閉鎖か?

・ 2016年に生産性が落ちるとして、Grangemouth工場でのお茶休憩の禁止を発表

・ 英国の法人税率が高いことを理由に Ineosの本社をスイスに移した。その後、英国の減税で戻す。

2010/3/5  INEOS、節税のためスイスへの移転

2016/4/4 Ineos、本社を英国に戻す

付記 

Ineosが、スコットランド政府のフラッキング禁止は違法として訴えた裁判で、スコットランド最高民事裁判所は6月19日、下記の理由で、訴えを却下した。

政府はフラッキング禁止をまだ最終決定していない。今後、環境アセスメント、事業、法律面での検討に基づいて決定する。大臣が禁止と言ったのは誤りで、誤解を生んだ。

Ineosはこれを歓迎、偏見やご都合主義でなく、事実と科学に基づいて決定されることになるとしている。

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2.フットボールチーム Chelsea の買収提案、拒否さる

Jim Ratcliffeは Manchester United FC のファンとして知られているが、最近、ロンドン西部チェルシー地域をホームタウンとする Chelsea FC を20億ポンドで買収するオファーを行い、拒絶された。

Ineosは既にスイスのローザンヌを本拠地とするフットボールチーム ローザンヌ・スポルト(Lausanne-Sport)を所有している。
(Ineos は節税のため、一時本社をスイスに移していた。)

Manchester United FC のファンである Ratcliffeが、何故、Chelseaを買おうとしたのかが取りざたされている。

背景は次の通り。

Chelsea FC のオーナーは、ユダヤ系ロシア人で寡頭資本家(オリガルヒ)の一人、石油王のRoman Abramovichである。チュクチ自治管区知事を務めた政治家でもある。

2003年にChelsea Football Clubを買収し、約160億円ともいわれる負債を返済し、ポケットマネーで次々と有力選手を獲得した。

Roman Abramovich は最近、英国に住むためにビザ(UK investor's visa)の更新を申請したが、ロシアと英国の関係悪化で、拒否された。

このため、Ratcliffeは、AbramovichがChelseaのオーナーとしてやっていけないと考え、Chelsea FC を安く買えると思ったのではないかとされる。
(しかし、Ratcliffeは、Abramovichの英国ビザの問題が発生するもっと以前から真剣に買収を真剣に考えていたという説もある。Ineosは噂や憶測にはコメントしないとしている。)



英国のビザを拒絶されたAbramovich は本年5月末にイスラエルの国籍を取得した。
ユダヤ人であるため、イスラエル国籍を容易に取得する権利を有している。

イスラエル国籍取得によってAbramovich は英国も含めた数十か国へビザ申請を行わずに渡航することが可能となるため、Chelsea FC のオーナーとして従来通りやっていける
イスラエルの長者番付の第一位になったが、新たな祖国で一から生活を立て直すためとして、今後10年間、納税義務を免れることが許される

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