中国、対米報復関税を発表

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中国国務院関税税則委員会は8月3日、米国からの輸入品に対する第二弾の関税上乗せ策を実施することを発表した。

    http://gss.mof.gov.cn/zhengwuxinxi/zhengcefabu/201808/t20180803_2980950.html

付記 

米通商代表部(USTR)は、中国の知的財産侵害に対する第一弾500億ドルの制裁関税の残り160億ドル(25%)を8月23日に発動すると発表した。

集積回路などの半導体関連や電子部品、プラスチック・ゴム製品、鉄道車両、通信部品、産業機械などを含む。6月15日に発表した原案からは企業の要請を受けて鉄道コンテナや工作機械など5品目を取り除いた。


これを受け、中国も、残り160億ドルの追加関税の対象製品リストについて相応の調整を行った後、2018年8月23日午後0時1分より25%の追加関税を課すことを決定したと発表した。
6月発表の当初案に含まれていた原油は今回の最終リストからは除外された。ただ、対象品目の数は114から大幅に増加。対象となる輸入品の額は変更されていない。

調整後の品目は 对美加征关税商品清单二.pdf

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トランプ米大統領は6月18日、中国の知的財産侵害に対する制裁関税を巡り、新たに2千億ドル相当の輸入品に10%の追加関税を検討するよう米通商代表部(USTR)に指示したと発表した。

米国による500億ドル分への25%の関税に対し、中国が同規模の報復措置を打ち出したのを受けての追加措置。

2018/7/6  米国、対中制裁関税を発動、中国も対応

2018/6/20 トランプ大統領、対中貿易制裁の追加の検討を指示 

中国が7月6日に発動した第1弾の追加関税は545品目、約340億ドル相当で、下記を含む。

大豆、牛肉、豚肉、鶏肉、水産物、じゃがいも、たまねぎ、キュウリ、ホウレンソウ、マンゴー、オレンジ、ブドウ、りんご
ウイスキー、たばこ、綿花、乗用車、電気自動車など

米国産大豆は中国が輸出先の6割を占めており、米国の農業への影響は大きい。

トランプ米政権は7月24日、中国などとの貿易摩擦の長期化を見据え、悪影響が出ている大豆などの農家を救済するための最大で120億ドルとなる農業支援策を発表した。

米農務省によると、報復関税の影響は約110億ドルに及ぶため、これを埋めるため補助金支給や余剰在庫の買い取りなどで対応する。パーデュー農務長官は、「長期的な貿易交渉に取り組むための措置だ」と説明した。

トランプ政権は7月10日、中国の知的財産侵害に対する制裁関税の追加措置案を公表した。衣料品や食料品など2千億ドルに相当する6031品目の輸入に10%の追加関税を課す。発動は9月以降になる見通し。
米通商代表部(USTR)がまとめた品目リストの原案は衣料品やスポーツ用品、かばん、家具、テレビのほか、水産品や農産品などの食料品を盛り込んだ。一般消費者向けの製品が目立つが、携帯電話やパソコンは含めていない。

トランプ米大統領は8月1日、上記の2千億ドル分の中国製品を対象とした第3弾の対中制裁を巡り、関税率を当初の10%から25%に引き上げるよう米通商代表部(USTR)に指示した。


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これを受けて、中国が今回の発表を行ったもので、内容は次の通り。

8月2日、米国は、前述の2000億米ドルの商品に課される関税率を10%から25%に引き上げると発表した。 米国の措置は双方の合意から逸脱しており、中米間の貿易摩擦の激化、世界貿易機関の関連規則の深刻な違反、国益と国民の利益への損害につながっている。

国務院税関関税委員会は、「中華人民共和国貿易法」、「中華人民共和国輸出入関税規則」などの法律や国際法の基本原則に基づき、米国から輸入された5,207品目に関税を課すことにした。

もしも米側が自らの意見を押し通し、追加関税措置を実施するなら、中国側は、上述の追加関税措置をただちに実施する。

対象商品の輸入額は約600億ドルで、税率は25%、20%、10%、5%の4段階で、税率25%は2,493品目、20%は1078品目、10%は974品目、5%は662品目となっている。

追加関税の対象となるのは液化天然ガス(LNG)や、小・中型の航空機やヘリコプター、半導体、鉄鉱石、鉄鋼製品、車のフロントガラス、焙煎コーヒー豆、砂糖、チョコレート、菓子、避妊具など。

具体的には、下記の通り。

1:25%課税対象.pdf2:20%課税対象.pdf3:10%課税対象.pdf4:5%課税対象.pdf

人民網は次のとおり述べている。

中国が追加関税措置を講じるのは、自国の合法的な権益を守り、対抗策を通して貿易摩擦の激化を防ぐためだ。また、関連の対策を通して、中国国内の生産や国民の生活などへの影響を最小限にとどめる方針だ。対抗策実施後、関連当局が社会各界と共にその效果を評価し、中国国内の生産、国民の生活への影響を最小限にとどめるよう取り組む。

一方、ホワイトハウスのサンダース報道官は声明で、「中国は報復するのではなく、自国の不公正な貿易慣行に関する長年の懸念に対応すべきだ」と述べた。

Larry Kudlow 国家経済会議(NEC)委員長は「トランプ大統領を過小評価すべきではない」と警告し、米国がEUと連携し「中国に対する共同戦線を張る」ほか、北米自由貿易協定(NAFTA)再結束に加え、日本やオーストラリアとも協力していく方針を示し、「中国は孤立化し、経済は弱含む」と述べた。さらに「中国による米国の技術盗用は許さない」と言明した。


追加関税の対象にLNG(関税番号 27111100 液化天然気)が含まれ、かつ25%課税となっていることが、中国への拡販を狙っている米国のLNG業界にショックを与えている。

中国は米国のLNGの第3位の輸出先で、2017年の輸出額は20億ドルで、前年から倍増した。

2016年に中国向けに輸出を始めたCheniereや、Driftwood LNG (2760万トン)を推進中のTellurian その他のLNG開発社は、中国の電力会社などにLNG受入タンクの建設費支援を呼び掛けている。

2018/2/14  米国のCheniere Energy、中国CNPCとLNGの長期供給契約締結 

制裁関税で輸出の拡大にブレーキがかかる。Cheniere Energyの株価はこのニュースで下落した。

米石油協会は下記の声明を発表した。

中国の制裁は米国のエネルギー産業に打撃を与える。業界は既に業界にとって必須の特殊鉄鋼や産業製品への米国の追加課税で被害を受けているが、米国の重要な輸出品への中国の追加課税は、エネルギー関連に直接・間接に従事する雇用に悪影響を与える。

中国は米国のLNGの第3位の輸入国だが、中国の供給体制では大きなシェアは占めていない。この貿易紛争は中国よりも米国を傷つける。

政府に対し、米国のエネルギー生産と輸出を最大化する目標に反する通商政策を終わらせるよう要請する。


米国は今後、更なる制裁を実施すると見られている。トランプ大統領は全輸入品への拡大を示唆している。

中国の場合は、米国からの全輸入額が2017年で1,304億ドルしかなく、今回の600億ドルを実施すると、残りはほとんどない。
このため、関税以外で制裁を実施すると思われる。

付記 米通商代表部(USTR)は、中国の知的財産侵害に対する制裁関税の第2弾(160億ドル、25%)を8月23日に発動すると発表した。



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