GlaxoSmithKlineとPfizer、大衆薬 事業を統合

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製薬世界大手の英 GlaxoSmithKline(GSK)と米 Pfizerは12月19日、一般用医薬品(大衆薬)事業を統合すると発表した。
合弁会社を設立し、GSKが68%、Pfizerが32%出資する。


統合会社は売上高は98億ポンド(約1兆4000億円)で、Johnson & Johnsonを上回り世界最大の大衆薬メーカーになる。市場シェアは7.3%に達し(2位のJ&J は4.1%)、米国と中国を含む主要地域の全てで1位か2位の市場シェアを持つこととなる。

GSKは統合完了から3年以内に新会社の株式を英国で上場させ、医療用医薬品・ワクチン 事業に専念する

GSKの大衆薬事業は歯磨きのSensodyne(日本名シュミテクト)や抗炎症剤Voltaren、非ピリン抗炎症剤・鎮痛解熱剤Panadol(日本名 カロナール) などが主力製品で、2017年12月期の部門売上高は71億ポンド(約1兆円)だった。

Pfizerの大衆薬は痛み止めAdvil(アドビル)や、サプリメント製品のCentrum やCaltrate などを手掛けている。2017年12月期の部門売上高は34億ドル(約3800億円)だった。

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Pfizerは2012年から、特許で保護された製品を扱うPfizer Innovative Health と、低成長のジェネリック製品を扱うPfizer Essential Health を分割して別々の企業として上場する案を検討してきた。

しかし、2016年9月 に会社分割を見送ると発表した。

2016/10/4 Pfizer、会社分割を見送り 

2017年10月に売上高全体の1割未満にとどまる消費者向け事業切り離す方針を表明し、これまでに米日用品大手 Procter and Gambleなどが買い手に取り沙汰されていた。価値が200億ドル相当と評価され、英国の日用品メーカー Reckitt Benckiserが交渉したが撤退、GSKも名乗りを上げたが、応札プロセスから撤退した。


Pfizerは、スピンオフ(分離・独立)、売却その他の取引を含む戦略的代替案あるいは部門保持を検討していると述べ、2017年内に決定を下す予定だとしていた。

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GSKは2014年4月に、Novartisとの間で事業交換を行った。

抗がん剤製品群をNovartis に譲渡する一方、Novartisの大衆薬事業を統合し、GSK主体のJVとした。
更にNovartisのインフルエンザ以外のワクチン事業を買収した。

2014/4/25 Novartis、GSKとの取引等で事業再編

GSKは2018年3月末に、Novartisとの大衆薬事業JVの持分を130億ドルで 買収し、GSK 100%とした。

今回、Pfizerとの統合で規模をさらに引き上げて収益力を高める。22年までに年間5億ポンド規模のコストを削減できると見込んでいる。

GSKの狙いは医療用医薬品やワクチンの開発力強化にある。
大衆薬はファイザーとの統合で収益力を引き上げる一方、将来的にはこれを切り離し、その売却収入を 医療用医薬品やワクチンのR&D拡充などに注ぎ込む構想。

GSKは12月3日には米がん治療薬ベンチャーのTESARO Inc を総額51億ドルで買収すると発表し、新薬開発に注力する戦略を鮮明にした。

TESARO はがん治療薬であるポリADPリボースポリメラーゼ(PARP)阻害薬「ZEJULA™」(一般名 niraparib)を持つ。米国において2017年4月に発売され、米国では卵巣がんの患者に直近で最も処方されているPARP阻害薬の一つ。米国のほか、欧州でも承認されている。


武田薬品とTESAROは2017年7月、「ZEJULA™」(一般名 niraparib)について、独占的開発・販売に関するライセンス契約を締結した。武田薬品は日本におけるniraparibに関する全てのがんに関して、また、韓国、台湾、ロシア、オーストラリアにおける前立腺がんを除く全てのがんに関して独占的開発・販売権を獲得した。

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