三菱瓦斯化学、Saudi Methanol でSABICと合意、最終的には2019年3月末に決定

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三菱瓦斯化学は11月1日、SABICと日本・サウジアラビアメタノール(JSMC) との50/50JVの Saudi Methanol Company (AR-RAZI) が11月29日に合弁契約の期限切れを迎えると発表した。

2018/11/5 三菱瓦斯化学のSaudi Methanol、合弁契約の期限切れ 


その後、両社は合意に達し、三菱瓦斯化学は12月4日、SABICとの交渉の結果を発表した。

①  11月29日の合弁契約期限切れに伴い、JSMCのAR-RAZI持株の半分(全体の25%)を150百万ドルでSABICに売却

② 日本側は2019年3月末までに下記の条件での合弁契約の20年間継続の可否を決定する。

  継続しない場合、残り25%も150百万ドルでSABICに売却し、AR-RAZIをSABICの100%子会社とする。

  条件:
   ・ JSMCは契約延長対価としてSABICに1,350百万ドルを支払う。

   ・ 省エネ効果を高めるメタノール新技術の商業化の共同検討、および新技術によるメタノール設備更新の検討
      (SABICによると、SABICはこの新設備の"an equal co-owner" になる)

まとめると、次のとおり。

JSMC SABIC
従来 50% 50%
2018/11/29 25% 75% SABICは 150百万ドルをJSMCに支払い
2019/3/末
 Case 1 契約延長 25% 75% JSMCは 1,350百万ドルをSABICに支払い
新設備の検討
 Case 2 契約延長せず 0% 100% SABICは 150百万ドルをJSMCに支払い

付記 2019年3月22日、Case 1 の20年延長を決定。 1,350百万円は3年分割払い(費用としては20年分割算入)


まず、今回の25%分の引き渡し(対価 150百万ドル)は、サウジ現地では、SABICにとって非常に有利("highly favourable")と見られている。

JV契約の期限切れによるものであり、おそらく契約にはその際の株式の引取価格の規定があると思われるが、年間で120億円程度の配当のある株の取引価格としては非常に安い。

恐らく、簿価に近いものと思われる。

三菱瓦斯化学の連結決算での本件の投資損益は、2008~2017年度平均で約120億円。日本側全体ではその倍であり、今回売却分はその半分。

三菱瓦斯化学はJSMCに47%出資するが、同社は今回、同社としての為替差損と、JSMCでの売却益に対する税金から、売却損失が50億円程度としている。


契約延長を決めた場合、JSMCは延長のためだけで、1,350百万ドルの支払が必要である。持分は半分に減るため、現状ベースでは年間配当は120億円程度であり、元を取るのに時間がかかる。

また、三菱瓦斯化学が開発することになる新技術を、技術料は取るにしても、SABICとのJV(出資比率は50/50になる)に出す必要がある。

どうするであろうか?

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