米国、中国製品への関税引き上げを延期、首脳会談で最終決着へ

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トランプ米大統領は2月24日、中国製品への関税の引き上げを延期すると表明した。 「構造問題などで十分な進展があった」と述べた。

「交渉が進展すれば中国の習近平国家主席と首脳会談を開くつもりだ」とも表明した。両国は首脳会談を3月下旬に開く方向で調整を開始、首脳会談の場所は、米フロリダ州にあるトランプ氏の別荘になる見込み。

付記

米政権は2月28日、3月1日に交渉期限が迫っていた中国との通商協議を延長し、2日午前0時過ぎに発動予定だった対中制裁強化を見送ると正式発表した。

トランプ米大統領は3月1日、中国に対して農産品の関税全廃を求めているとツイッターで明らかにした。

I have asked China to immediately remove all Tariffs on our agricultural products (including beef, pork, etc.)
based on the fact that we are moving along nicely with Trade discussions and I did not increase their second traunch of Tariffs to 25% on March 1st.

This is very important for our great farmers - and me!

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トランプ米大統領と習近平中国・国家主席は2018年12月1日、G20出席のため訪問中のBuenos Airesで夕食会形式で首脳会談を開き、米国が中国への追加関税を猶予することを決めた。

2000億ドル分の中国製品について、2019年1月1日に追加関税を25%に引き上げるのを止め、当面 10%に留める。

両国は直ちに、(1)米企業への技術移転の強要 (2)知的財産権の保護 (3)非関税障壁 (4)サイバー攻撃とサイバー犯罪(窃盗)(5)サービスと農業の市場開放 の5分野での構造変化の協議を開始し、90日以内に結論を得ることで合意した。

トランプ大統領は対中協議の責任者にアメリカ合衆国通商代表(USTR) のLighthizer 代表を指名した。政権きっての対中強硬派。90日は12月1日起算で、2019年2月末までの短期交渉となる。

この間に合意できない場合、追加関税は25%に引き上げられる。

2018/12/2 米、中国への追加関税を90日猶予

中国政府は2018年12月14日、米国から輸入する自動車に上乗せしていた25%の関税を来年1月から3カ月間、停止すると発表した。米国製自動車の関税はいまの40%から元の15%に戻る。12月1日の米中首脳会談の合意に基づく措置である。

2018/12/18 中国、米自動車への報復関税を3カ月間停止

付記

国務院関税税則委員会は2019年4月1日より、米国で生産された自動車と自動車部品に対して引き続き追加関税の賦課を一時停止することを決定した。この措置の終了時期については別途発表するとしている。

2019年3月、米国は2018年9月より追加関税を賦課する中国からの輸入品に対して、税率の引き上げを再度延期し、別に発表があるまでは追加関税の税率を10%で維持すると発表した。

税則委員会は、「米国産自動車・自動車部品に対し追加関税賦課を引き続き一時停止することは、米国が税率引き上げを延期したことに対する中国の積極的な対応であり、双方の通商協議の促進のために打ち出した実際の行動だ。中国は、米国と中国がともに努力し、協議を緊密に行い、貿易摩擦の終了という目的に向かって着実な努力を重ねることを願う」とコメントした。

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米中はワシントンで2月21日から4日間にわたって閣僚級協議を続けた。(当初の2日を延長)

大統領は24日、ツイッターで「知的財産権の保護や技術移転、農業、サービス、通貨など重要な構造問題を巡り、中国との貿易協議で十分な進展があった」と指摘した。

中国国営新華社は25日、「合意文を巡って交渉を進め、技術移転、知的財産保護、非関税障壁、サービス、農業および為替相場など具体的な問題で実質的な進展があった」とする中国側の声明を公表した。

ただ、声明文は国有企業への補助金や合意事項の履行検証については言及しておらず、双方の主張に溝が残ったとみられる。

中国が米国産の液化天然ガス(LNG)や大豆などを大量に買い上げて、米国が抱える年3800億ドル規模の貿易赤字を大幅に削減することで合意した。パーデュー米農務長官は、「中国が米国産大豆1000万トンの追加購入を約束した」としている。米CNBCテレビは、中国が1兆2000億ドル分の米国製品を購入すると約束したと報じた。

為替問題では、中国が競争的な通貨切り下げを大幅に制限することなどで折り合った。

さらに米メディアは、米中両政府が農業、為替、知的財産権など六つの分野で覚書を作成中だと報じた。

但し、中国はハイテク産業の育成など産業政策の抜本見直しには慎重で、交渉は最終局面での難航も予想される。

大統領は、華為技術(Huawei)と中興通訊(ZTE)について、貿易協議の対象に含める可能性に言及した。ただし、Huaweiの孟晩舟CFOらに対する起訴は、「取り下げを考えていない」とした。

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