Huawei、米政府を提訴 

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中国通信機器最大手の華為技術(Huawei)は3月7日、同社の製品を米政府機関が調達することを禁じる「2019年National Defense Authorization Act」が米国の憲法違反だとして、同社の米国子会社の本社があるテキサス州の裁判所で米政府を提訴したと発表した。

付記

中国の王毅国務委員兼外相は3月8日、華為技術(Huawei)の米政府に対する訴訟を支援すると表明した。

Huawei に対する米国の制裁や、同社幹部がカナダで逮捕された事件について「単純な司法案件ではなく、特定の人々と企業に打撃を与えることを意図した政治的圧迫のたくらみだ」と非難し、「われわれは一企業の利益だけでなく、国や民族が発展する正当な権利も守る」と主張した。

Huawei が米政府を提訴したことについて「法律を武器に自らを守り、『沈黙の子羊』にならないことを支持する」と評価した。

一方で、米中関係について「協力すれば双方が利益を得て、対立すれば双方が傷つくのは明らかだ」と、貿易交渉などで妥結を呼びかけた。

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米上下両院は2018年8月、華為技術(Huawei)や中興通訊(ZTE)と、監視カメラ大手の杭州海康威視数字技術(HIKVISION )、浙江大華技術(Dahua Technology)、海能達通信(Hytera)の計5社への締め付けを大幅に強化することを盛り込んだ「2019年度米国防権限法」を超党派の賛成で可決し、8月13日にトランプ大統領が署名、成立した。

2017年には国防総省によるHuawei と ZTEの製品調達を禁止する法律 (National Defense Authorization Bill ) が成立し、2018年5月に国防総省は世界中の米軍基地の携帯電話販売店で HuaweiとZTE製のスマホの販売を禁止したが、2019年度米国防権限法は、禁止を国防総省以外にも拡大するもの。

禁止対象製品は次の通り。

(A) Huawei と ZTE (関係会社を含む)製の通信機器

(B) Hytera Communications、Hangzhou Hikvision Digital Technology、Dahua Technology Company (関係会社を含む)製のセキュリティ用のビデオ監視・通信機器

(C) 国防長官が国家情報長官、FBI局長との協議で、中国政府の影響下またはつながりがあるとみなす企業の通信機器及びビデオ監視システムも同様の扱いとなる。

禁止は2段階に分かれる。

第1 段階(発効日の1年後=2019年8月13日以降)

米政府機関(連邦政府、軍、独立行政組織、政府所有企業)が5社の製品や、5社が製造した部品を組み込む他社製品を調達することを禁止

第2段階(発効日の2年後=2020年8月13日以降) こちらが特に問題である。

5社の製品を社内で利用している世界中の企業との取引を禁止
(米政府機関に収めている製品・サービスが通信機器とは一切関係のない企業でも、5社の製品を使っておれば禁止)

2018/12/11 2019年度米国防権限法(NDAA2019) --- Huawei、ZTE等の米政府機関との取引からの排除

なお、国防権限法には、外国企業の対米投資を審査する米国の独立機関、対米外国投資委員会(CFIUS)の権限を強化する条項もある。

これまでのCFIUSの審査対象は、安全保障に係るものと大統領が判断した買収に限られた が、改正により、米国企業の買収を狙いとする取引に限らず、合弁会社設立や、米国の重要な技術やインフラ、個人情報に関わる少額の出資なども審査の対象とする。米政府施設に近い土地取得など不動産取引も含める。

2018/8/17 米、対米投資の審査対象拡大

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Huawei は、この法律が裁判なしで個人やグループを罰しており、憲法に違反するとしている。

同社は同社の製品のどれにもセキュリティリスクはないと主張している。

Huaweiの郭平副会長が7日、深圳市の同社本社で記者会見し、以下の通り述べた。

この禁止は憲法違反であるだけでなく、Huaweiを公正な競争から排除し、最終的に米国消費者を害している。

米議会はHuaweiの製品の販売を制限するための証拠を示せていない。

最後の手段として、法廷で争うしかない。

また、Edward Snowdenが暴露した情報に触れ、「米政府は長年、Huaweiを脅威であるとしているが、米国の情報機関は我々のサーバーをハックし、我々のソースコードをハックしてきた」と述べた。

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別途、米司法省は1月28日、Huawei と孟晩舟 Huawei副会長を起訴した。

1) イランとの取引関係

被告 銀行詐欺 通信詐欺 IEEPA違反 資金洗浄 司法妨害
Huawei Technology
Huawei Devices USA        
Skycom Tech  
孟晩舟 Huawei副会長      

2) 米企業 T-Mobile からの技術窃取

被告 企業秘密窃盗 通信詐欺 司法妨害
Huawei Device
Huawei Devices USA

T-Mobile からの技術窃取については、Huaweiは2月28日、Seattleの連邦地裁で無罪を主張した。


米国は孟副会長の引き渡しを正式に要請し、カナダ司法省は受理した。

2019/2/1 米司法省、Huawei を起訴 

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