厚労省、iPS細胞の角膜移植臨床研究計画を了承

| コメント(0)
iPS細胞からつくった目の角膜の細胞を患者に移植する大阪大の西田幸二教授(眼科)らのチームの「角膜上皮幹細胞疲弊症に対する他家 iPS 細胞由来角膜上皮細胞シー トの first-in-human 臨床研究」計画が3月5日、厚生労働省の 厚生科学審議会 再生医療等評価部会で、患者への同意の説明文書の内容などに修正を求める条件付きで了承された。
  

阪大のチームが対象にするのは「角膜上皮幹細胞疲弊症」の20歳以上の患者4人で、この病気は、黒目の表面を覆う「角膜」を新たにつくる「幹細胞」が 怪我などで失われ、角膜の一部が濁って視力低下や失明につながる。

京都大から第三者のiPS細胞の提供を受け、角膜の細胞に変化させ、厚さ約0.05ミリのシート状にし、患者の目に移植する。300万~400万個(健康な人の目に存在する量と同程度)の細胞が移植される 。

移植した細胞が患者の目に定着し、長期的に角膜の細胞がつくり続けられるようになり、角膜の透明性が保たれ、視力が回復することが期待されている。今回の臨床研究では 治療効果や腫瘍ができないかなどの安全性を評価する。

角膜の移植にあたっては患者へのインフォームドコンセントの期間を経て、早ければ6月にも1人目の患者に移植する。2人目も年内の実施を目指す。

西田教授は臨床研究の先にある実用化の時期について、「最短で5年から6年くらい」と指摘。その際の治療費は「目算では400万円くらいと考えている。技術革新があったらもっとコストダウンできる」との見通しを示した。

付記

大阪大学大学院医学系研究科の西田幸二教授(眼科学)らのグループは、2019年7月にヒトの人工多能性幹細胞(iPS細胞)から作製した角膜上皮細胞シートを角膜上皮幹細胞疲弊症の患者1名に移植した。


世界で初めてのiPS細胞を用いた角膜再生の臨床研究で、京都大学iPS細胞研究所より提供された他人のiPS細胞を用いて、独自に開発した方法で角膜上皮細胞を誘導し、さらに培養してシート状にした角膜上皮組織の安全性(主要)と効果を検討するもの。引き続き、移植後の経過観察を実施するが、2019年8月23日に患者は退院した。経過に問題はなく、視力もかなり改善してきているという。

年内に2例目の患者にiPS細胞由来角膜上皮シート移植を予定している。


目に関しては、2013年に理化学研究所の高橋政代プロジェクトリーダーが網膜の外側のRPE細胞の異常の
加齢黄斑変性の治療に網膜の再生を行っている。

理化学研究所のと先端医療振興財団は2013年7月30日、iPS細胞を使い、滲出型加齢黄斑変性の患者6人を対象に、目の網膜を再生する世界初の臨床研究を8月1日に開始すると発表した。

RPE細胞は、網膜の外側にある一層の細胞で、主な機能は、血液網膜バリア、貪食能、栄養因子の分泌など。これの異常が加齢黄斑変性(age-related macular degeneration:AMD)である。

網膜下の脈絡膜新生血管や傷害を受けたRPEを取り除いた後、iPS細胞から作製したRPEシートを移植用器具を用いて網膜下へ移植する。

2013/12/4 大日本住友製薬と理研認定ベンチャーのヘリオス、iPS細胞由来医薬品を共同開発

難治性の角膜上皮疾患や角膜内皮疾患に対しては、ドナー角膜を用いた角膜移植法が行われてきたが、全世界的なドナー不足の問題や拒絶反応の問題を抱えている。

これらの問題を解決するために、西田教授らは iPS 細胞を用いた新しい角膜再生治療法の開発に取り組んできた。

「角膜上皮幹細胞疲弊症」を治療することを目的として、iPS 細胞から移植可能な「培養角膜上皮細胞シート」作製技術(SEAM 法)の確立に成功した。




コメントする

月別 アーカイブ