東芝、米国のLNG購入契約 譲渡できず

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東芝は4月11日、中国の奥生控股股份ENN Ecological Holdings )との間で2018年11月に締結したLNG購入契約の譲渡の契約につき、先方から譲渡契約解除の意向の連絡を受けたと発表した。

東芝では、状況把握に努め、LNG事業の今後の取扱いについて検討する。この契約に基づき2019年3月期決算で計上する予定であった特別損失(約930億円)は見直す。

付記 

東芝は4月17日、この契約を解除した。迅速に同事業の第三者への却プロセスを再開し、早期事業撤退を目指すとしている。

ーーー

東芝は、米国のFreeport LNGから、日本をはじめとする各国の需要家へのLNG販売を目的として、2013年に年間220万トンの20年間(2019年から)の契約を締結した。

Freeport LNG


株主:
Michael Smith
Zachry
Dow(輸出には不参加)
大阪ガス

Freeport LNG Terminal
(Quintana Island, TX)
承認:2013/5(FTA締結国向けは 2011/2)
期間:20年間
液化開始:2018年(追加分2019年)
輸出契約:
 

大阪ガス

  220万トン
  中部電力   220万トン
  BP Energy   440万トン
  東芝   220万トン
SK E&S LNG

220万トン

Trafigura

50万トン

  再計  

1370万トン

東芝が契約した2013年当時は、東日本大震災後で日本では原子力発電所が停止し火力発電所に依存してLNGの需要が高まっていた。

東芝は、これを武器に日本の電力会社などに火力発電設備を売り込もうとしたとされる。

しかし、販売先は全く決まっていない。これらは全て Take or Pay の契約であり、市況が下がっても契約価格での引取りが必要である。このため、同社では(過去に)最大1兆円の損失の恐れがあるとしていた。

同社では、LNGについて、市況の悪化、より低コストのプロジェクトが今後開発されること等により当初想定していた取引条件を下回る条件、あるいはコストを下回る価格での販売を余儀なくされ、それにより将来的に損失が発生する可能性があるとした。

このため、2018年8月に入り、東芝はこれを売却する方針を固めた。10社程度が同事業の買収に関心を示していたとされた。


東芝は2018年11月8日、米国産液化天然ガス(LNG)に係る事業から撤退すると発表した。

LNG事業に係る全ての契約も移管または 解除することで、2019年3月31日までに本件譲渡を完了させて、LNG事業から撤退することを目指した。

相手先は中国の民間ガス大手新奥生态控股股份(ENN Ecological Holdings である 。

売却先の奥生控股股份有限公司は、香港証券取引所に上場する中国の民間ガス大手。

譲渡の条件は次の通り。

・事業会社(東芝アメリカLNG)の売却 売却額15百万ドル

・LNG全量引取基本合意書でのLNG引取義務の引き継ぎ  821百万ドルを支払う。(約930億円の損失計上予定)

2018/11/9 東芝、米国LNG購入契約を譲渡 

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契約では、2019年3月31日までに本件譲渡を完了させるとしているが、東芝は本年4月1日、譲渡完了が4月以降となると発表していた。

その時点では、①対米外国投資委員会(CFIUS)の承認、②中国の国家外貨管理局(SAFE)の認可 等が未了であることが理由で、引き続き早期完了を目指し対応することで双方が確認していたという。

しかし、今回先方より、譲渡契約の期限が経過しており、短期間で条件充足が難しいため、契約を解除する意向の連絡があった。


現在、中国と米国との間で制裁関税の撤廃をめぐり貿易協議が進行中である。

中国はLNGなど米国製品の輸入拡大策を米国側に示しているとされるが、米国側は、「中国の譲歩策の度合いに応じ、関税を段階的に撤廃する」案や、中国が合意に違反したと判断すれば米国が制裁関税を再発動する「罰則条項」などを主張し、難航している。

これが決着しない段階では、米国も中国も個別のLNGの取引を事務的に承認することはあり得ない。

期限までに承認が得られないことから契約を解除したいという奥生控股股份の意向は批判できない。東芝は米中の紛争に巻き込まれたことになる。

しかし、中国と米国の合意がなされ、中国が大量のLNGを米国から購入することが決まれば、買い手は現れると思われる。

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