米 FDA、世界一高額の難病治療薬を承認 

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米食品医薬品局(FDA)は5月24日、Novartisの米子会社による脊髄性筋萎縮症(spinal muscular atrophy:SMA)の遺伝子治療薬 Zolgensma (onasemnogene abeparvovec-xioi) の販売を承認した。

米国での価格は212万5千ドル(約2億3200万円)と発表され、投与は1回で済むが、米メディアは「世界一高い薬」と報じた。

付記 従来の治療法を10年続けた場合にかかる医療費約4億円の半額で設定された。ゾルゲンスマは1回の投薬で治療を済ませるため、単価は高くなる。

脊髄性筋萎縮症は遺伝的要因により、脊髄等の運動神経細胞が変性・脱落することで、筋収縮刺激がうまく伝達できなくなる疾患。

正常なSMN遺伝子(SMN1遺伝子)からは正常な活性を有するSMNタンパク質が合成されるが、遺伝子のエキソン7に変異のあるSMN2遺伝子を持っている場合、活性のない異常SMNタンパク質が合成されてしまう。

主に生後6カ月ごろまでに筋肉の萎縮や呼吸困難を発症する希少疾患で、患者の多くが2歳になる前に亡くなるか、人工呼吸器を生涯、装着する必要があるとされ る。

日本では難病に指定されており、治療薬には2017年に承認されたスピンラザ髄注(一般名:ヌシネルセン)しかなく、髄注(抗がん剤を脊髄腔に注入)かつ4~6か月毎の投与が一生涯必要である。

日本ではバイオジェン・ジャパンが販売する国内初の「アンチセンス核酸医薬品(標的RNAに結合して、その遺伝子発現を調整する合成ヌクレオチド)」である。

ゾルゲンスマはウイルスを利用して静脈注射で患者に正常な遺伝子を導入する。FDAは2歳未満への使用を承認した。1回の静脈内投与で治療が完結する。

ゾルゲンスマは、正常なヒトSMN1遺伝子(二本鎖DNA構造)を「自己相補型アデノ随伴ウイルス9型(scAAV9)」と呼ばれるウイルスの殻(カプシド)で包んだ構造をしている。

静脈内に投与されたゾルゲンスマ血液脳関門を通過し、脊髄に到達する。

標的細胞内(SMNタンパク質産生細胞)に侵入すると、すぐに正常なヒトSMN1遺伝子が放出されて正常な遺伝子のみが核内に移行し、標的のDNA配列の箇所に遺伝子が挿入される。

1回の静脈内投与のみで正常SMN1遺伝子がDNAに組み込まれるため、これで治療が完了する。

これは米国のバイオテクノロジー会社のAveXisが開発した。Novartisは2018年4月、AveXisを総額87億ドルで買収することで合意した。

この薬は日本でも、厚生労働省が画期的な新薬を短期間で承認する制度の対象にして優先審査中。年内にも承認される可能性があり、薬価が注目される。

付記

厚生労働省の専門部会は2020年2月26日、世界一高い薬とされる脊髄性筋萎縮症の遺伝子治療薬「ゾルゲンスマ」の国内での製造販売を了承した。

3月中に正式承認される見通し。遺伝子治療薬としては国内2例目となる。5月にも薬価が決まるが、米国を参考に1億円を超え、国内で最高額になるとみられる。

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厚生労働省は2月20日、薬事・食品衛生審議会 再生医療等製品・生物由来技術部会を開催し、ノバルティスファーマの「キムリア点滴静注」(チサゲンレクルユーセル)を国内初のCAR-T細胞医療として正式承認することを了承した。

2019年3月26日に承認取得した。

厚生労働省は5月15日、「キムリア」の保険適用を決めた。薬価を3,349万円にし、5月22日から保険適用する。

治療対象は白血病の患者で抗がん剤が効かなかった人などに限定する。対象は216人と見込まれている。市場規模は72億円。

投与は1回で済む。ノバルティスの試験では、若年の白血病患者で8割に治療効果が見られた。

米国では約5200万円の価格がついたが、効き目に応じて患者から支払いを受ける成功報酬型が採用されている。日本では効果の有無に関係なく保険適用される。

2019/2/22 厚労省部会、国内初の遺伝子治療2品目の承認を了承 
 

 

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