イタリアの2019年度見通し、債務削減の対EU公約未達へ 

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欧州委員会は5月7日発表の経済見通しで、イタリアのGDP比の財政赤字が2019年で2.5%、2020年には3.5%になると発表した。

EUの財政規律の基本(財政赤字の対GDP比 3%未満)をも未達となる。

イタリアの場合、財政赤字はGDP比で3%未満で基準を満たしていたが、公的債務は130%超で、債務の持続可能性を確保するため、構造的財政収支の中期目標(MTO)をGDP比率でゼロ%に設定、毎年の構造収支の改善を求めている。

2019年のイタリアのGDPを0.1%とした。

ドイツは0.5%と低く、フランスは1.3%で、ユーロ圏全体で1.2%と低成長である。2020年には全体で 1.5%を見込む。

イタリア政府は4月9日、2019年の成長率見通しを従来の1.0%から0.2%に引き下げるとともに、国内総生産(GDP)比の財政赤字が 計画の2.04%から2.4%に増えるとの見通しを示していた。

昨年末に財政赤字の見通しを実質GDP比で2.4%から2.04%に引き下げ、2020年は1.8%にすることで、EU財政ルール違反に対する制裁手続きの発動を逃れたが、実際には赤字は当初予算2.4%から更に上回る見通しである。

2兆円超の資産売却を2019年末までに終える計画だが、実現は難しい。経済成長の鈍化も重荷になった。

欧州委員会は付加価値税を2020年に予定通りひきあげ、財政規律を維持するよう促すが政権は慎重で、「別の税収確保の方法を考えたい」としている。

イタリアの付加価値税は、標準税率は22%で、主に生活必需品を対象として、10%と4%の軽減税率がある。

 10%:家畜、食肉、ハム、建物、小麦粉、コメ、薬、肥料、観葉植物、果物、鮮魚、映画、卵、酢、砂糖など。

 4%:紅茶、医療補助器具、生鮮野菜、牛乳、マーガリン、チーズ、バター、書籍、新聞、オリーブ油、パン、パスタなど

2018年予算安定化法案で2019年1月からの増税が定められていたが、2019年予算法において増税時期は先送りされ、2020年から実施すると定めている。

当初の税率の変更案

現状 2019/1/1 2020/1/1 2021/1/1
標準税率 22% 24.2% 24.9% 25%
軽減税率 10% 11.5% 13%

財政運営を巡ってコンテ政権と欧州委が再び対立するのは確実で、金融市場の火種になる可能性がある。

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「五つ星運動」と「同盟」のポピュリスト2党の連立政権であるイタリア政府は2018年9月27日、2019-2021年の経済財政計画を発表したが、財政赤字目標はGDP比2.4%とした。

EUの財政規律である安定成長協定では、加盟国の予算を監視する制度の一環で、毎年10月15日までに次年度予算案を欧州委員会並びにユーロ圏の財務相会合に提出することが求められる。

EUの財政規律の基本は、財政赤字の対GDP比 3%未満、公的債務残高の対GDP比率 60%未満である。 (公的債務残高は多くの国が基準を超えている。)


イタリアの場合、財政赤字はGDP比で3%未満で基準を満たすが、公的債務は130%超で、債務の持続可能性を確保するため、構造的財政収支の中期目標(MTO)をGDP比率でゼロ%に設定、毎年の構造収支の改善を求めていた。

政府は10月15日夜の閣議で、2019年度予算案を承認し、欧州委の審査を受けるため、同案を送付した。
2019年の単年度財政赤字目標をGDP比2.4%に引き上げ、2020年が2.1%、2021年は1.8%に設定した。

欧州委は前政権との間で、2019年予算の財政赤字をGDP比で0.8%に抑える計画で合意していた。

欧州委は10月18日の書簡で財政規律ルールの深刻な違反につながると警告したが、イタリアは22日に予算案を修正しないと回答した。このため欧州委は即座に差戻しを決めた。

欧州委が加盟国の予算案を差し戻すのは初めてのケース。

欧州委員会は12月19日、イタリアが再提出した修正予算案(財政赤字の見通しを実質GDP比で2.4%から2.04%に引き下げ)を承認した。制裁を見送り、監視を継続する。

イタリア下院議会は12月29日、2019年予算案を可決した。最低所得保障(ベーシックインカム)や年金受給開始年齢の引き下げなどを盛り込んだバラマキ型の予算で、GDPに対する財政赤字の比率は2.04%とした。

2018/10/29 イタリア、来年度予算案で欧州委と対決

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