英国の地方議会選挙、EU離脱派の政党は大敗

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5月2日に英国のイングランドと北アイルランドで地方議会選挙が行われた。

イングランドのロンドンを除く248地方議会選と6自治体の首長選、北アイルランドの全11地方議会選で、スコットランドとウェールズでは地方選は行われていない。

イングランドの開票結果は次の通り。

今回 2015年 増減 Brexit姿勢
保守党 3,562 4,892 -1,330 離脱
労働党 2,033 2,117 -84 離脱で与党と協議
独立党 31 176 -145 離脱
自由民主党 1,350 646 +704 EU残留
緑の党 265 71 +194 EU残留
その他 1,179 518 +661
合計 8,420 8,420 0


離脱派の保守党と独立党が大敗した。

労働党も議席を失った。党首が保守党と与野党協議を続けているが、これはメイ首相を助けることになるだけとの批判が多く、残留派の票が2回目の国民投票を唱える自由民主党や緑の党に流れたとされる。

労働党はこれまで保守党案には反対しており、3月27日の下院の「示唆的投票」では「EUとの緊密な経済関係の維持案」を提案した。

・全面的な関税同盟
・単一市場との緊密な連携
・新しいEUの権利と保護に対応
・EUの機関、資金拠出計画への参加
・将来のセキュリティ関連の合意

逆にEU残留を主張する自由民主党と緑の党が大幅に議席を増やした。


選挙結果を受けてメイ首相は、有権者は主要政党にブレグジットを「さっさと進める」よう期待している証拠だと述べたが、自由民主党の党首は、 「自分たちに投票した有権者は誰もがブレグジット中止のために投票したのだ」と述べた。

日常生活に直結する地方選は真剣に投票するため、今回の結果は英国の民意が大きく変わったことを意味する。

2016年6月23日に実施されたEU離脱の是非を問う国民投票の結果は次のとおりで、イングランドでは離脱が53.4%をとっていた。

逆に、5月23日に予定される欧州議会選は「人気投票」に流れる傾向があり、強硬離脱派の新党 Brexit Party が世論調査で30%の支持を集めている。

Brexit Party は元独立党党首のNigel Farage が2019年4月に早期の離脱を目指し設立した。



北アイルランドでは、北アイルランドの英国帰属維持を主張する民主統一党 (-8) とUlster Unionist (-13) 、及びアイルランド共和国との統一を主張する社会民主労働党 (-7) がいずれも席を失った。(英国下院で女王への忠誠を示さず欠席を続けるシンフェイン党は現状維持)

一方、ユニオニスト(英国帰属)もナショナリスト(アイルランド帰属)も支持しない層から一定の支持を受けているAlliance Party (+21) が大きく席を伸ばした。

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