米国、Huawei を対象に2施策

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Trump 大統領は5月15日、米企業が安全保障上リスクがある企業の通信機器の調達を禁じる大統領令に署名した。名指しはしていないが、中国の通信機器最大手、華為技術(Huawei)などが念頭にあると報じられている。


米商務省は同日、安全保障上の懸念があるとして輸出を規制する外国企業のリストに中国の通信機器最大手、
華為技術(Huawei)を追加したと発表した。


1) 大統領令 Executive Order on Securing the Information and Communications Technology and Services Supply Chain

トランプ大統領は5月15日、同国の安全保障にとってリスクのある外国企業の通信機器を米企業が使うことを禁止する大統領令に署名した。

概要:

外国の情報・通信技術 or サービスで、商務長官が関係閣僚と協議して下記に該当すると見做したものについて、米国で取得、輸入、移転、設置、取引することを禁止する。

米国の情報・通信技術 or サービスをサボタージュ又は破壊する不当なリスクがあるもの
米国の重要なインフラ、米国のデジタルエコノミーのセキュリティに壊滅的な不当なリスクを与えるもの
米国の安全保障、米国民の安全に受け入れがたいリスクを与えるもの

非常に抽象的で、米政府が問題だと思う企業をいつでも指定できるように見える。名指しはしていないが、華為技術(Huawei)などが念頭にあると報じられている。

大統領は、アメリカのコンピューターシステムをめぐる非常事態だとの考えを強調した。

ホワイトハウスは声明で、大統領令は「情報・通信技術のインフラとサービスに積極的かつ急速に脆弱性をつくり出し、それを悪用している外国の敵たちからアメリカを守る」のが目的だと説明した。

また、この大統領令により、商務長官は「安全保障上、許容できないレベルの脅威をもたらす取引を禁止」する権限を持つとした。

連邦通信委員会の委員長は、大統領令について、「アメリカの通信網の安全を確保する大きな前進だ」と歓迎する声明を発表した。


Huaweiなど中国の5社の製品を米政府機関が調達することについては下記により既に禁止されている。更に、政府機関に対し、2020年8月からは5社の製品を社内で利用している世界中の企業との取引を禁止している。

米上下両院は2018年8月、華為技術(Huawei)や中興通訊(ZTE)と、監視カメラ大手の杭州海康威視数字技術(HIKVISION )、浙江大華技術(Dahua Technology)、海能達通信(Hytera)の計5社への締め付けを大幅に強化することを盛り込んだ「2019年度米国防権限法(NDAA2019)」を超党派の賛成で可決し、8月13日にトランプ大統領が署名、成立した。

禁止は2段階に分かれる。

第1 段階(発効日の1年後=2019年8月13日以降)

  米政府機関(連邦政府、軍、独立行政組織、政府所有企業)が5社の製品や、5社が製造した部品を組み込む他社製品を調達することを禁止

第2段階(発効日の2年後=2020年8月13日以降)

5社の製品を社内で利用している世界中の企業との取引を禁止
(米政府機関に収めている製品・サービスが通信機器とは一切関係のない企業でも、5社の製品を使っておれば禁止)

2018/12/11 2019年度米国防権限法(NDAA2019) --- Huawei、ZTE等の米政府機関との取引からの排除


今回は指定が行われた場合、政府機関に加え、あらゆる米国人、企業が取引を禁止されることになる。完全な締め出しである。


2)商務省決定

米商務省は5月15日、華為技術(Huawei)に対する米国製ハイテク部品などの事実上の禁輸措置を発表した。

輸出管理法のに基づき安保上懸念がある企業を列挙したEntity List (規則 744.11(b) )にHuawei を追加した。
同社が制裁対象のイランとの金融取引に関わったと指摘している。

米司法省は1月28日、Huawei と孟晩舟 Huawei副会長を起訴した。2つの事案の1つはイランとの取引である。

2019/2/1 米司法省、Huawei を起訴 

今後、日本企業を含む企業が米国のハイテク製品や技術を同社に輸出する場合は商務省の許可が必要になり、原則却下される。

米国の国家安全保障や外交政策上の利益に反する活動を行う、又は行う可能性のあると信じられる企業のリストで、その企業への輸出や再輸出は承認が必要とな るが、申請しても否定される可能性が強い。

「再輸出」の規制は米国の国内法を海外の国にも適用する「域外規制」であり、もし、日本企業がこれに違反し、米国品を再輸出した場合には、罰金、禁固、取引禁止顧客としての指定、米国政府調達からの除外等が課せられ、そのため実質的に米国との取引が以後出来なくなる事態が生じる。

「域外規制」では、イラン、北朝鮮、シリア、スーダン向け輸出については米国品が10%以上、それ以外の国への輸出の場合は米国品が25%以上含まれておれば、再輸出となり、規制対象となる。
日本企業は11社がHuaweiに対し電子部品やカメラなどを供給している。

これまでは、Entity Listは大量破壊兵器(WMD)プログラム、テロリズム又はその他の行為のリスクをもたらす恐れのある企業が対象であった。

「知財戦争」に適用するのは2例目で、2018年10月29日に中国の福建省晋華集成電路(Jinhua Integrated Circuit Company:JHICC)が初めて指定された。

指定理由は、JHICCは米国のMicron Technology の技術を盗用しており、今後、同社が大量に生産を行うと、米国の競合企業が苦境に陥り、最終的に米国の軍事用重要な部品をJHICCに牛耳られることとなり、米国の国家安全保障を損なうという ものであった。

2018/11/1 米、中国半導体 JHICCへの製品輸出を制限

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Huawei は5月16日、トランプ米大統領の今回の大統領令について、「米国の企業や消費者の利益を損なう」と非難する声明を出した。

「米国での次世代通信規格『5G』の建設が遅れる」、「不合理な制限は当社の権利を侵害し、厳重な法律問題を引き起こす」とも主張した。


付記

Huaweiの任正非(Ren Zhengfei)CEOは5月18日、日本のメディアの取材に応じた。発言のポイント:

米国の制裁でHuaweiの成長速度が鈍化することは予想されるが、影響は部分的なものにとどまるだろう。

米国企業が半導体製品を売ってくれないならそれでいい。準備は以前から進めてある。

中興通訊(ZTE)のように、米国の求めに応じて経営陣を刷新したり、監視を受け入れたりするようなことはしない。中国政府に助けを求めない。

次世代通信規格「5G」技術には自信があり、(世界でも)Huaweiの製品を使わなければならない状況になっている。



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