イタリア連立政権、崩壊の危機

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昨年6月に発足したイタリアの「五つ星運動」と「同盟」の連立政権が崩壊の危機に瀕している。

左派「五つ星運動」のLuigi Di Maio党首(副首相・産業相)と極右「同盟」のMatteo Salvini党首(副首相・内務相)は、インフラや移民などのさまざまな政策を巡ってたびたび対立していた。

「同盟」のMatteo Salvini党首は8月8日に「政権は壊れた」と述べ、Giuseppe Conte首相に総選挙の実施を求めた。同盟は8月9日、内閣不信任案を上院議会に提出した。

イタリア議会は既に夏季休会に入っているが、Salvini 氏は今週にも内閣不信任案を審議をするように要求した。

一方、 Conte首相はSalvini 氏に対し、議会を招集するのは同氏ではないと突き放し、政府の活動を突如妨害する理由について、「有権者に説明し、正当性を示す必要がある」とクギを刺した。

現地通信社は、早ければ8月20日にも上院が開会され、Conte首相の退陣表明が行われる可能性があると報じた。その後数日のうちに議会解散もあり得るとしている。

憲法では、議会解散後50~70日以内に選挙を実施しなければならないと定められている。

秋の選挙となれば、2020年の予算についてEUとの交渉のさなかとなる。

付記

イタリア議会の上院は8月13日、与党の「同盟」が提出していた内閣不信任案について、14日に審議するよう求める同党の要請を拒否し、政権危機を巡る議論を来週に先送りした。

上院は審議を見送る代わりに、コンテ首相が8月20日に政権危機について演説することを決めた。

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2018年3月4日の総選挙では、パオロ・ジェンティローニ首相の「民主党」が大敗した。

総選挙後、政治の空白が続いていたが、反EUの「五つ星運動」と「同盟」が連立することとなった。

  2018年選挙
元老
(上院)
代議院
(下院)
五つ星運動 112 +58 227 +118
同盟 58 +41 125 +107
(小計) (170)   (352)  
民主党 53 -52 112 -185
フォルツァ・イタリア 57 -41 104 +6
その他 35 -6 62 -46
合計 315   630  
(過半数) (158)   (316)  


6月1日に両党の推す法学者Giuseppe Conteの内閣が発足した。首相は学者で政治経験がなく、両党の主張をうまく調整できるか、疑問視された。

反EUの立場では同じだが、政治姿勢の異なる2つの党の連立である。連立の早期瓦解の可能性も指摘されていた。

「五つ星運動」

大衆の不満に率直な賛同を示す人民主義政党(ポピュリズム)として行動。反政党政治(直接民主主義)やEU離脱など急進的政策を掲げ、政治不信の募る若年層の間で急速に台頭した。五つの星は社会が守り抜くべき概念(発展・水資源・持続可能性のある交通・環境主義・インターネット社会)を指している。
失業者らへの最低所得保障など「ばらまき型」の経済刺激策を重視する。

「同盟」

右派ポピュリズム政党。イタリア北部の郷土主義政党「北部同盟」であったが、近年は反EUや排外主義などが支持基盤に変わりつつある。
EUの移民政策を批判、違法移民の強制送還の強化や、難民が域内で最初に到着した国で保護申請することを義務づけたEUのダブリン規則の見直しを強く求める 。

2018/6/5 イタリアの混迷 

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もともと「五つ星運動」は左派、「同盟」は右派で、政策的にはかなり違いが大きい。共通していたのは、財政規律など、EUの各種ルールに従わずイタリアのやりたいようにやっていくという点だった。

最近になって対立が深まった大きな要因に、高速鉄道の建設がある。「同盟」は鉄道建設に賛成で、「五つ星運動」は反対だったが、議会では他党に賛成派が多く、最終的には鉄道建設は進められることになった。

「五つ星運動」は4月に、「同盟」幹部の汚職疑惑で連立崩壊の危機をもたらしていると批判した。同盟のSalvini党首の経済顧問が汚職容疑で捜査対象となった。

Salvini氏が強気に出ているのは「五つ星運動」との対立が深まったからだけではなく、最近の世論調査で「同盟」の支持率が高まっていることがある。解散総選挙を行えば五つ星運動を上回る第1党に躍進できる可能性がある。

解散総選挙が行われない場合、連立解消に動くと示唆している。同党より小規模で同じく右派の「フォルツァ・イタリア」との連立政権樹立の可能性も噂されている。


連立政権が解消になったり解散総選挙になると、イタリアの政治が不安定化し、影響はEU全体に広がる。

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