英ジョンソン政権、異例の議会封じ

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英国のジョンソン首相が8月28日 、「合意なき離脱」の阻止を狙う英議会内の勢力を封じ込めるため、おきて破りの奇手に出た。

英国議会は7月26日から夏季休会で、次に議会が召集されるのは9月3日である。

ジョンソン首相は、仮にEUとの合意がなくとも、予定通り10月31日に離脱するとしている。各野党は連携を深め、合意なき離脱を防ぎ、離脱期限延長を首相に強いる決議を行う方向で結束、議会再開直後から政権との全面対決に臨む姿勢を鮮明にしていた。 野党は内閣不信任案提出も検討している。

現在、下院の総議席650のうち、投票するのは639だが、与党(保守党と民主統一党)は320議席となり、僅か1票差での過半数である。1人でも造反があれば不信任案は通る。

付記 9月3日、保守党の Phillip Lee 議員が自由民主党に鞍替えし、保守党は過半数を失った。

これに対し、首相官邸は8月28日、ジョンソン首相がエリザベス女王に9月9日の週から約1カ月間 の議会の一時閉会を要請したと発表した。閉会手続きには女王の許可が必要だが、女王はこれを許可し、次の再開日は10月14日となる。

10月14日に議会を再開しても10月17日にはEU首脳会議があり、議会は、議決や議論を行うための時間的余裕がないことになる。

野党議員からは「受け入れられない」、「議会に対するクーデター」など怒りの声が上がり、下院議長も「議会閉会は民主的手続きと議員の権利に反する行為だ」と批判した。

また、イギリス各地で抗議デモが開かれており、閉会の取り止めを求める署名にこれまで100万人以上が参加した。

ジョンソン政権は、5週間の閉会後もEU離脱について議論する時間は十分にあるとしている。

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