英、12月12日に総選挙へ

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英議会下院は10月29日、EUからの早期離脱を目指すジョンソン首相が提出した12月12日に総選挙を実施する特例法案を可決した。

同氏は選挙で与党・保守党の過半数議席を取り戻し、2020年1月末の離脱期限に向け、膠着する内政の打開を狙う。足元の世論調査では保守党の支持率が労働党をリードしている。

解散に慎重だった最大野党・労働党が早期選挙の支持に転じた。

上院の承認、女王の裁可を経て正式決定する。

11月6日に議会は解散する。これまでに離脱法案が成立しない場合、政府の離脱案か労働党の離脱案かの選択になる。

付記

John Bercow下院議長が10月31日に議員を引退した。

2009年から議長を務め、大声で "orderrrr!"と叫ぶので有名になった。

後任の議長の選任は11月4日に行われた。

7人が立候補し、3回目の投票で労働党のSir Lindsay Hoyleが267、労働党のChris Bryantが169で残り、保守党のDame Eleanor Laingが127で落ちた。

4回目の投票でSir Lindsay Hoyleが325、Chris Bryantが213となり、これまで副議長であったSir Lindsay Hoyleが議長に選任された。

下院は6日未明に解散した。


10月28日に行われた総選挙前倒しの採決は否決された。

下院の任期は法律(Fixed-Term Parliament Act)で固定化されており、これに反する解散総選挙には、下院(定数650)の3分の2以上 (434) の賛成が必要である。
28日はこの法律にもとづき、解散総選挙を実施するための動議であった。修正案は出せず、賛否だけを決めるもので、下院だけで決定される。

今回は、今回限りの解散総選挙実施の一般法案で、修正動議も可能であり、過半数の賛成で可決されると上院に回され、女王の裁可で法律となる。

英国は慣例法であり、新しい法律が古い法律に反する場合は新法が優先される。

今回の法律は、Early Parliamentary General Election Act 2019で、2019/12/12に総選挙を行うという法律で、Fixed-Term Parliament Actに優先する。
これ以降に行われる選挙にはFixed-Term Parliament Act が適用される。

審議に先立ち、与党保守党は党籍停止者のうち、10名を党に復帰させた。

英下院は9月3日、議会進行主導権を政府から議会に移す動議を賛成328票、反対301票の賛成多数で可決し、野党・労働党などが提出した離脱延期法案の審議入りを可能にした。

事前の警告通り、与党保守党はこれに賛成した議員21名を党籍停止した。

まず、自由民主党とスコットランド民族党が提案した12月9日投票案が審議され、295対315で否決された。
労働党以下、野党がほとんど賛成したが、保守党と元保守党のほか、民主統一党も反対に回り、ぎりぎりでの否決となった。

次いで、政府提案の12月12日投票案が審議され、今回は労働党の半分が賛成にまわり、過半数で可決された。

今後、上院に回るが、上院の賛成は確実のため、女王の裁可を得て、法律となる。

議席数

10/28 解散動議 議席 12/9 投票案 12/12投票案
賛成 反対 棄権 賛成 反対 棄権 賛成 反対 棄権
保守党 288 280 5 298 291 7 290 8
民主統一党(DUP) 10 10 10 10 10
(与党) (298)
労働党 244 1 38 201 244 228 1 15 127 11 106
スコットランド国民党 35 35 35 35 1 34
自由民主党 19 18 1 19 19 19
独立グループ 34 18 4 13 24 8 13 2 11 4 16
The Independent Group for Change 2 7
Change UK 5 5
シンフェイン党 7 7 7 7 7
ブライドカムリ 4 4 4 4 3 1
緑の党 1 1 1 1 1
議長 1 1
合計 650 299 70 272 650 295 315 38 438 20 191

賛成が2/3未満で否決

否決 過半数で可決

今回の投票結果はBBCによるが、内訳には若干誤差がある。

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