米司法省、麻薬入り鎮痛剤メーカーを刑事捜査

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米司法省が麻薬入り医療用鎮痛剤「opioid」のメーカーや流通関連企業6社に対して刑事捜査に入った。
意図的にまん延させた可能性について、薬物の製造・乱用を取り締まる「規制物質法」への違反がなかったかを調査する。

捜査対象はイスラエルのTeva
Pharmaceutical、米の製薬会社Johnson & Johnson (J&J)、Mallinckrodt Pharmaceuticals、Amneal Pharmaceuticals、医薬品卸の米AmerisourceBergen、米の調剤薬局チェーンのMcKessonの6社。

規制物質法は通常、麻薬の密輸業者などの取り締まりに適用され、医薬品流通が対象となるのは異例。

Wall Street Journalによると、捜査は初期段階にあり、検察当局は今後数カ月内に他の企業にも召喚状を出す見通しだという。

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オピオイド (Opioid) は、ケシから採取されるアルカロイドや、そこから合成された化合物、また体内に存在する内因性の化合物を指し、鎮痛、陶酔作用がある。

骨折や慢性疼痛、歯科治療で最もよく処方される「ヒドロコドン/アセトアミノフェン配合剤」「オキシコドン/アセトアミノフェン配合剤」「サボキソン」などのオピオイド鎮痛薬は、疼痛管理には非常に効果的だが、常習性があり、また薬剤の高用量の摂取では昏睡、呼吸抑制を引き起こす。

米疾病管理予防センター(CDC)によると、過量服薬による死亡の多くにオピオイドが関与しており、処方箋薬のオピオイドによる死亡は1999年から4倍に増加している。

過去20年で20万人の米国人が死んだオピオイド危機について、トランプ大統領は2017年に public health emergency と呼んだ。

トランプ米大統領と習近平中国・国家主席は2018年12月1日、Buenos Airesで夕食会形式で首脳会談を開いた。

その席でトランプ大統領は習主席に中国から麻薬(強オピオイド)のFentanyl を輸出しないよう要請、習首席は規制物質とすることに同意した。

トランプ米大統領は8月23日、対中関税の新たな引き上げを発表した が、オピオイド鎮痛薬「Fentanyl 」についても、「習主席が輸出を止めると述べたのに、止まっていない」とし、中国からの流入を阻止するため、宅配大手Fed ExやUPS、ネット通販大手Amazon、米郵政公社に対し配達を拒否するよう指示した。

米司法省は7月11日、英国の日用品メーカー Reckitt Benckiser Groupが、元の子会社のオピオイド中毒治療薬Suboxone にからむ問題の解決のため、14億ドルを支払うことで合意したと発表した。

2019/7/15 英国の Reckitt Benckiser オピオイド中毒治療薬問題で米司法省に14億ドル支払い

オクラホマ州地方裁判所は8月26日、処方鎮痛剤などに含まれる麻薬性鎮痛薬オピオイドの中毒蔓延をめぐり、米製薬大手 Johnson & Johnson(J&J)に572百万ドルの制裁金を支払うよう命じた。J&Jは判決直後に、上告の意向を示した。

原告のオクラホマ州は、J&Jと鎮痛剤OxyContinのメーカーのPurdue Pharma及びイスラエルのTeva Pharmaceuticalの3社を訴えたが、Purdue Pharmaは3月に270百万ドル、Tevaも開廷に先立ち85百万ドルの和解金支払いで合意しており、J&Jだけが残っていた。

Purdue Pharmaは9月15日、Chapter 11の適用をニューヨーク州の連邦裁判所に申請した。同社は一連の訴訟を巡る和解案の条件に基づいて再編を進めることを目指している。

2019/8/29 米地裁、オピオイドの中毒蔓延をめぐりJohnson & Johnsonに制裁金572百万ドル

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