世界の石油化学製品の需給動向 (2019) 

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METIは10月17日、2023年までの世界のエチレン系・プロピレン系誘導品及び芳香族製品の需給(需要、生産能力、生産量)の動向をとりまとめ、発表した。

発表内容は次の通り。

これをもとに、商品別の需要・能力・生産に組み替えた。 商品別国別集計(国別の需要・能力・生産)

商品別国別の需要・能力・生産をグラフ化した。https://www.knak.jp/METI-world/meti-2019/index.html

 

特記事項:

1.中国の動向等

中国において新増設計画は引き続き計画・検討されている。135ヵ年計画(13-5計画)では、次期統合型エチレンコンビナートとして2020年以降を目途に7つの地域に集約、原料の多様化、環境問題、エネルギー循環型も含めた、新規エチレンプラントの構想が打ち出されている

2.米国のシェール革命の影響

米国においてシェール由来のエタンコンプレックスの更なる新増設計画が予定されており、2030年を目途に米国のエチレン製造能力が5千万㌧規模に拡大する見通しとなっている。

昨年度1Q以降の DowDupont /Chevron Phillips/ExxonMobil150万トンのメガコンプレックスの稼働開始以降、予想通り、米国がエチレン系石化品の一大輸出基地化し、懸念通りグローバルな石化需給、市況に影響を与え始めている。

同時にスタートした米中経済摩擦も大きく影響し、グローバルなトレードに大きな変化をもたらした。

米国では堅調な経済成長を基に内需の伸びも期待されるが、現状で既にエチレン換算で約800万トン、プロピレン換算で約100万トンの輸出超過となっており、今後稼働する新増設計画の大部分が輸出に向けられと予想され、特に誘導品としてのPEEGを中心とした輸出増が201920年以降のグローバルなマーケットに与える影響が懸念される。

また、エチレンでの輸出も増加傾向にあり、今後の輸出用ターミナルの増強次第で、更に増加するものと予想される。


概要は以下の通り。

1.世界のエチレン系誘導品

1)生産能力
2)需要

  3)世界のエチレン系誘導品の需給バランス(エチレン換算 百万トン)

    世界計 アジア計 うち中国 北米計 中東計
2017 能力 178.2 70.7 29.0 35.2 31.1
生産 154.0 59.0 25.0 33.9 28.1
需要 149.7 74.1 44.1 25.7 9.6
バランス 4.3 -15.1 -19.1 8.2 18.5
2023 能力 222.8 97.9 48.4 45.1 33.8
生産 193.4 81.3 39.1 42.4 32.3
需要 182.5 94.8 59.1 28.9 12.4
バランス 10.9 -13.5 -20.0 13.5 19.9

 

2.世界のプロピレン系誘導品

1)生産能力
2)需要

3)世界のプロピレン系誘導品の需給バランス(プロピレン換算 百万トン

    世界計 アジア計 うち中国 北米計 中東計
2017 能力 117.0 52.9 34.2 17.4 10.3
生産 104.4 55.5 29.5 14.7 9.5
需要 98.7 56.4 34.3 14.0 3.6
バランス 5.7 -0.9 -4.8 0.7 5.9
2023 能力 147.6 86.7 50.8 19.8 12.0
生産 130.4 76.5 43.1 15.9 11.1
需要 120.0 71.8 45.5 15.2 5.0
バランス 10.4 4.7 -2.4 0.7 6.1


3.主要製品の需給 (総能力、総生産と地域別需要)

   PSは生産が需要を常時大きく下回っており、元資料に誤りがあると思われる。
   
   

他の商品のグラフ 及び商品別の国別の需要・能力・生産のグラフは下記にあります。

https://www.knak.jp/METI-world/meti-2019/index.html

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