米、仏デジタル税に制裁関税検討 

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米通商代表部(USTR)は12月2日、フランスが導入したデジタルサービス税が米国のIT企業を不当に差別していると断定した 調査報告書を発表した。

24億ドル分に相当するフランスの63品目に最大100%の制裁関税を検討する。

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フランス上院は7月11日、Digital Services Tax法案を可決し、Macron 大統領は7月24日にこれに署名、これが法律となった。

内容は次の通り。

課税事業 (i) ユーザーが他のユーザーとコンタクトしたり、商品やサービスを購入するデジタルインターフェースの供与
(ii) フランスのユーザーに広告する業者にデジタルインターフェースでサービスを供与
課税対象企業 課税事業の全世界売上が750百万ユーロ以上で、
フランスのユーザーからのそれが25百万ユーロ以上
税率 対象売上高の3%
課税開始 2019/1/1に遡及
仏経財省によると、30社あまりが対象となる可能性があり、4億ユーロ程度の税収となる。

Trump大統領は7月26日、同国に対し「相当な」報復措置を取ると宣言した。

2019/7/31 フランスのデジタル課税法案成立、米国は報復を示唆

フランスのマクロン大統領は8月26日、フランスの「デジタル課税」を巡り、米国と合意を得たことを明らかにした。

マクロン大統領は主要7カ国首脳会議(G7サミット)閉幕後、トランプ米大統領と共同会見し、「二国間の取り組みとして多くの作業を行い、両国の不和解消に向け合意を得た」と述べた。

フランスのデジタル課税と経済協力開発機構(OECD)がまとめている課税制度に基づく税収の差額を仏政府が企業に払い戻す方針で暫定合意に達した。

この時点では、米国が報復措置は取らないことで合意したとみられていた。

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今回、USTRは「通商法301条」に基づき、仏デジタル税が不公正な慣行かどうかを調べ、「GAFA(Google、Apple、Facebook、Amazon)など米IT企業を狙い撃ちにした措置」と認定した。利益ではなく売上高に課すなど、国際的な課税ルールにも反するとして制裁を発動すべきだと結論づけた。

追加関税を課す対象として、スパークリングワインやチーズ、ハンドバッグなどを含む品目リストの 原案をFederal Register に提示した。対象規模は米企業が被る損害に基づき算定した。

公聴会を開いて産業界から意見を募ったうえで、トランプ大統領が制裁を発動するか最終判断し、発動する場合の発動日や関税の税率などを決める。

2020年1月中旬まで意見を募る予定のため、実際の発動はその後になる見通し。

USTRは、フランスだけでなく、オーストリア、イタリア、トルコの調査に入るとしている。

オーストリアはオンライン広告の売上に5%課税する案を公表
イタリアは2020年からの3%課税を表明
トルコは7.5%課税の2020年中の施行を目指している。

他に、英国も2020年4月から2%の課税を始める計画。

欧州訪問中のトランプ米大統領は12月3日、ロンドンでマクロン仏大統領と会談し、課税撤回を直接求めた。

「話し合いで解決するか、相互に有益な税にするかが重要だ」と述べ、制裁関税を用意していることも指摘した。

「米国も米国企業に課税したいと思っている。課税するのは米国以外の国ではない」とした。

マクロン大統領は、問題を解決できると思うとしつつ、安易には譲歩しない姿勢を示した。

フランスの経済・財務相も、「EUは強力に反撃する用意ができている」と述べ、報復措置をとる構えを見せた。

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