三菱ケミカルと宇部興産、日本のリチウムイオン二次電池用電解液事業を統合

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三菱ケミカルと宇部興産は3月27日、合弁会社MUアイオニックソリューションズを設立し、両社のリチウムイオン二次電池用をはじめとする電解液事業を承継させると発表した。

両社は2018年1月から中国で50/50JVの常熟宇菱電池材料有限公司を運営しているが、提携をさらに拡大し、相乗効果による製品開発力の向上並びに購買、生産及び販売体制の効率化による経営基盤の強化を図るとともに研究開発を統合、両社の持つ知的財産・技術開発力を一体化することで、国内外における競争力をさらに高め、本事業の長期的な発展を図る。

合弁会社MUアイオニックソリューションズの出資比率は、三菱ケミカル80%、宇部興産 20%とし、2020年10月1日に設立し、両社の国内事業を承継するとともに、両社の中国のJVの常熟宇菱電池材料有限公司を100%子会社とする。

合弁会社の工場と能力は以下の通り。

四日市市(三菱ケミカル事業所内) 16,000 t/
堺市(宇部興産事業所内) 10,000 t/
江蘇省常熟市(100%子会社:常熟宇菱電池材料) 10,000 t/
合計 36,000t/


両社は2016年10月13日付で、両社の中国におけるリチウムイオン電池用電解液事業で提携することについて合意したと発表した。

三菱ケミカル100%
常熟菱鋰電池材料菱鋰Lithium)を50/50 JVとし、 社名を常熟宇菱電池材料に改称し、2018年1月から運営を開始した。

社名 常熟宇菱電池材料有限公司
(Changshu UM Battery Materials Co., Ltd.
場所 江蘇省常熟経済技術開発区
株主 三菱ケミカル:50%
宇部興産:50%
製造能力 年産 10,000トン


2018/1/17 宇部興産と三菱ケミカル、中国の電解液事業合弁会社発足

なお、三菱ケミカルの100%子会社であるMC Ionic Solutions UK, Ltd.(英国ダラム州)と子会社 MC Ionic Solutions US, Inc.(米国テネシー州)は、統合の対象外となる。

社名 MC Ionic Solutions UK, Ltd. MC Ionic Solutions US, Inc
場所 英国 Stockton-On-Tees
Lucite の工場内)
テネシー州Memphis
(Lucite
の工場内)
株主 三菱ケミカル 100% MC Ionic Solutions UK 100%
設立 2010年 2010年
能力 10,000トン 10,000トン

ーーー

三菱ケミカルの英国と米国の事業を除外することは述べられているが、実は宇部興産にも他に米国と英国に拠点がある。
これは何故か、今回の発表でも、前回の中国でのJVの発表でも触れられていない。

社名

Advanced Electrolyte Technologies LLC

AET Electrolyte Technologies (Zhangjiagang)
安逸達電解液技術(張家港)
場所 ミシガン州トロイ市 江蘇省張家港市
株主

宇部興産 100%
当初Dow との50/50JV
その後 宇部
70%80.5%→100%
Advanced Electrolyte Technologies 100%
設立 2011 2012
能力 5,000t 5,000t

2012年6月、スペインにAdvanced Electrolyte Technologies LLC を設立した。

宇部興産は電解液の開発体制を整えるため、2011年にUBE Chemical Europe S.A.のCastellon 工場で分析装置や小ロット電解液の調合設備を稼動させたが、これを引き継いだ。
デュッセルドルフに販売事務所を設け、
欧州市場向けにサンプル出荷を始めた。

現在、スペイン子会社についての言及はない。

2015/1/21 宇部興産、Dow Chemical とのリチウムイオン二次電池向け電解液合弁会社を子会社化


今回の日本の事業の統合で両社の持つ知的財産・技術開発力が統合されることになるが、三菱ケミカルの英米事業、宇部興産の米中事業は統合の枠外になる。

これらに対する知的財産・技術開発面での支援はどうなるのであろうか?




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