Xerox、HPに 株式公開買い付け

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Xerox
は3月2日、HP Inc. (
Hewlett-Packard から分離 の全発行済み株式に対する株式公開買い付け(TOB)を開始した。 期限は4月20日。

買い付け価格は1株当たり24ドルで、現金が18.40ドルとXeroxの株式 0.149株となっている。現金分だけで270億ドル、合計340億ドルになる。

Xeroxは銀行団から240億ドルの融資の約束を受けているが、このたび銀行を追加した。

当初:Citi、みずほ、Bank of America
追加:三菱UFG、PNC Bank、Credit Agricole、Truist Financial、Sun Trust Robinson Humphrey

Xeroxは両社の合併が実現すれば20億ドルのコスト削減と10億ドル強の増収が見込めるとしている。

HPは3月2日の発表資料で、10営業日にわたりXeroxの提案を精査後、最善の行動について株主に助言すると説明した。

付記

Xerox Holdings Corporation は3月31日、HPに対する敵対的TOBを取り止めると発表した。
COVID-19の感染拡大による世界的な危機とそれによるマクロ経済と市場の混乱で、HP買収を継続できなくなったとした。
TOB価格は24ドルだが、17ドル台まで下がっており(4/1終値は14.84ドル)、仮に買収が成立しても時価総額を上回る負債を抱える状況になっていた。

同社が推す候補者をHPの取締役に就かせる計画も断念する。

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Xeroxは2019年11月に米パソコン大手HP Inc. に対して買収提案を行った。1株22ドル、現金と株式交換の組み合わせによる買収で、買収額は330億ドルとされる。


Xeroxは11月8日、保有する富士ゼロックスの株式(25%)と、富士フィルムとのJVでレーザープリンターや消耗品のOEM販売とサポートを行う Xerox International Partners の持分(51%) を富士フイルムホールディングスに売却する手続きが完了した。Xeroxは総額23億ドルを受け取る。

HP Inc. は11月6日、協議が進行中と発表したが、11月17日、「評価が低すぎる」として買収提案を拒否したと発表した。条件次第で交渉に含みを残した。

Xeroxは11月21日、HP に対し、買収の前提となる資産査定を25日までに受け入れるよう求めた。応じない場合は「株主に直接持ちかける」とし、敵対的買収も辞さない構えを見せた。

それに対し、HPの取締役会は、実質的にXeroxの財務状態は自社よりもはるかに規模の大きな企業を買収できるほど余裕のある状況ではないなどと指摘する書簡を返した。

これを受けてXeroxは、CEOが一部のHPの株主と会い、買収案の要点について説明を行っていることを明らかにした。
Xeroxによれば、合併によってキャッシュフローが増加するため、負債は削減され、株主の資本収益が増加し、イノベーション投資の拡大が促されると想定される。

2019/11/11 Xerox、HPに買収提案

富士ゼロックスは2020年1月6日、Xeroxとの間で結んでいる「Technology Agreement」(技術/ブランドライセンスや販売テリトリーなどを規定)を現行の契約期間満了日の2021年3月31日をもって終了することを決定し、Xeroxに通知したと発表した。今後は富士ゼロックスは欧米でも製品を販売できる代わりに、Xeroxもアジアでの販売が可能となる。

2020/1/7 富士フィルム、Xeroxとの提携解消へ

富士フィルム側のこの決断で、事務機器市場が縮小するなかで、世界で唯一の成長市場であるアジア太平洋市場でXerox商標で事業ができることになるが、これはXeroxにとって非常に有利な交渉材料となる。

Xeroxは2月10日に新しい提案を行った。 (今回、この条件でTOBを行う。)

TOB価格は1株24.00ドルで、現金18.40ドルにXerox株式 0.149株からなる。合計340億ドルになる。

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HPは2月24日、価値増強計画( multi-year strategic and financial value creation plan )を発表した。

このなかで、独立企業として存続できることを示す取り組みの一環として2020~2022年度の間に160億ドルの株主還元を行なうとしている。また2019年10月に発表した50億ドルの自社株買いを150億ドルに増やす。

Xeroxの買収提案については次の通り述べている。

業界の事業統合にはメリットがある。しかし、HPの株主に利益があることが必要である。Xerox提案はHPを過少評価しており、大きなリスクがあり、HPの将来を傷つける。

今回の 新条件でのTOBを受け、Xeroxの提案を精査し、最善の行動について株主に助言する。

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キヤノンの御手洗冨士夫会長は日本経済新聞の取材で、XeroxによるHPの買収が成立した場合、HPへの部品供給を停止する考えを明らかにした

HPが取り扱うレーザープリンターの多くが、キヤノン製部品を使っているとされ、キヤノンの連結売上高の14%弱を占める主要な取引先であるが、Xeroxが買収すれは強力な競合相手となり、関係の維持が難しいとみている。

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