Samsung Biologics、Vir Biotechnologyの新型コロナ治療薬候補を受託生産

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韓国のバイオ医薬品大手のSamsung Biologicsは4月10日、 感染症治療薬を開発する米国のベンチャー企業 Vir Biotechnology から新型コロナウイルスの治療薬のモノクローナル抗体を受託生産する契約を結んだ。契約金額は4418億ウォン(約400億円)。

Vir Biotechnology は2016年の創設で、B型肝炎(HBV)、結核及びヒト免疫不全ウイルス(HIV)等の慢性感染疾患、インフルエンザ、呼吸器合胞体ウイルス(RSV)及びメタニューモウイルス(MPV)等の呼吸器疾患、並びに院内感染疾患の3つの分野に注力する。

siRNAはmRNAの破壊によって配列特異的に遺伝子の発現を抑制

ライフサイエンス投資家のArch Venture Partnersが26.20%、ソフトバンク・ビジョン・ファンドが20.6%%出資し、他にシンガポールのTemasek HoldingsやBill & Melinda Gates Foundation なども出資する。

Vir Biotechnologyは、新型コロナウイルスと似ているSARS(重症急性呼吸器症候群)の完治患者から抗体(SARS-CoV-2mAB)を確保して治療剤を開発しており、 候補のモノクローナル抗体 VIR-7831 とVIR-7832は非常に有望とされる。

これらは米食品医薬品局(FDA)から新型コロナウイルス治療候補物質のファーストトラック(臨床簡素化)の承認を受けており、
3~5カ月内にPhase 2 の臨床実験を実施し、2021年の量産を目指す。

このため、本年2月に中国のWuXi Biologics と、COVID-19のモノクローナル抗体の臨床実験のための開発と製造についての協力契約を締結した。

医薬品としての承認を受けた場合、WuXi Biologicsは中国での、Virは世界の他の地域での商業化の権利を持つ。

Vir Biotechnologyはまた3月12日にBiogenとの間で上記と同様の臨床 実験のための開発と製造についての覚書を結んだ。

今回のSamsung Biologicsとの契約は、 承認取得後の本格生産に関するものである。

Samsung Biologics は早ければ2021年から仁川延寿区松島の第3工場で本格的に 受託生産を行う予定。

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大手製薬会社のGlaxoSmithKline は4月6日、Vir Biotechnologyに2億5,000万ドルを出資し、新型コロナウイルスによって引き起こされる肺炎を治療・予防する複数の医薬品とワクチンを共同開発すると発表した。

今回の提携により両社は複数のアプローチで医薬品を開発する。

最も先進的なのは、Virが開発した上記のVIR-7831およびVIR-7832という2種類の抗体を使用するアプローチで、両社は今後3~5カ月以内に第2相臨床試験を開始する。

両社は今後、新型コロナウイルスが細胞に感染する際に使用するタンパク質を特定するため、Vir BiotechnologyのCRISPRスクリーニング技術を活用する。タンパク質を特定することにより、それを標的とする医薬品を開発し、ウイルス感染を防ぐことができる。

他にも、GlaxoSmithKlineのワクチン技術とウイルス全般に反応する抗体を生成する可能性が最も高いウイルスタンパク質を特定するVir Biotechnologyの専門知識を組み合わせることを計画している。

両社は、将来的に出現する可能性のある他のコロナウイルスから患者を保護するワクチンを開発したいとしている。

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