キオクシア(旧称 東芝メモリ)の2020年3月期決算

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キオクシア(旧称 東芝メモリ)は5月14日、2020年3月期の連結決算概要を発表した。

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2017年4月1日に東芝からメモリ事業を会社分割し(旧)東芝メモリが発足した。

2018年6月1日にBain Capitalを軸とする企業コンソーシアムにより組成される㈱Pangeaが買収 、東芝メモリ㈱となった。
議決権は、東芝 40.2%、HOYA 9.9%、Bain Capital 49.9%である。

2017/9/30 東芝メモリの株式譲渡契約締結

2019年10月1日付で社名を「キオクシア㈱」 (Kioxia Corporation)に変更した。

2019/7/19 東芝メモリ、「キオクシア㈱」に改称 

同社の決算推移は次の通り。(億円)

(旧)東芝メモリ

東芝メモリ (2019/10 キオクシア)

2018/3月期 2019/3月期

2020/3月期

'18/4~5 '18/6~19/3

合計

1Q 2Q 3Q 4Q 合計
売上高 12,294 1,894 10,745 12,639 2,142 2,390 2,544 2,796 9,872
営業利益 4,568 704 459 1,163 -989 -658 -205 121 -1,731
 (うち一般) (4,568) (704) (2,731) (3,435) (-360) (-375) (72) (394) (-269)
 (PPA影響) (-2,272) (-2,272) (-285) (-282) (-288) (-273) (-1,128)
(停電) (-344) (-1) (11) (0) (-334)
当期純利益 7,186 489 116 605 -952 -560 -253 98 -1,667

 2018/3月期の当期純利益には、法人税調整額▲3,346億円(益)を含む。

キオクシアは 旧東芝メモリを時価(交渉価格)で買収したため、簿価との差が出る。
このため、
買収価額を、資産及び負債の時価を基礎として、適切な勘定科目に配分する。これをPPA(Purchase Price Allocation) と呼ぶ。

キオクシアは以下の処理を行った。

棚卸資産を1,388億円 増やした。これを2019年3月期に全額コスト化した。、

固定資産を4,295億円 増やした。2019年3月期に884億円を償却、残りは総額の95%まで、2022年3月期までに各年1,000億円程度償却する。

この結果、2019年3月期には 2,272億円の損失追加となった。
2020年3月期では1,128億円の損失追加となった。

2019年6月15日、四日市工場で停電が発生し、一部の生産ラインが停止した。復旧に7月中旬までかかり、これに伴い、334億円の赤字を計上した。

また、営業外損失として、借入金期限前返済、優先株期限前償還等で2019年4-6月に194億円の損失を計上した。

この結果、当期の営業損益は-1,731億円、当期損益は -1,667億円となった。特殊要因を除いた営業損益は -269億円である。

営業損益は、2018/3月期の4,568億円が2019/3月期の実質で3,435億円に下がったが、当期では-269億円と激減した。

これは主に主力製品であるNAND型フラッシュメモリーの価格下落が続いているためである。

128GBの大口取引価格の推移は下図の通り。

2018/3月期は年末までが4.8ドル、第4四半期が4.5ドルまで下がった。
2019/3月期は期首の4.5ドルから急降下で2ドル強まで下がった。
2020/3月期は通期2ドル前後で推移、期末に若干上がった。第4四半期で実質営業利益が121億円の黒字となったのはその為と思われる。

中国の新興勢力も含め、開発・販売競争は激化しており、今後、元の価格水準に戻ることは考え難い。

そのなかでキオクシアは後2年間はPPA関係で年間1000億円の費用負担があり、苦しい状況が続く。


同社は2018年6月の独立時に3年以内の上場を目指す方針を出した。出資の海外勢は再上場により高値で売却し、売却益を得ることを目的としている。

同社では、この方針に基づき、東京証券取引所への株式上場準備についても継続的に進めているとしている。

しかし、この損益状況では仮に再上場しても大きな売却益を得ることは難しい。


出資・融資内訳(億円)

  出資・融資 出資 融資  
議決権 転換社債 議決権なし
東芝 3,505 40.2% 1,096   2,409   議決権の一部は産業革新機構と日本政策投資銀行に指図権
HOYA 270 9.9% 270   0    
(日本側計) (3,775) (50.1%)         今後も過半を維持
Bain 2,120 49.9% 1,361   759    
SK Hynix 3,950   15% 1,290 2,660   10年間のファイヤーウォール(機密情報へのアクセス制限)
10年間は15%超の議決権は与えられない。転換には各国競争当局の承認要
(Bain/SK) (6,070)            
Apple 4,155     4,155    
Seagate
Kingston Technology
Dell Technologies Capital
合計 14,000 2,727 1,290 9,983    
金融機関借入 6,000  

6,000

 
再計 20,000

14,000

6,000  

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