トランプ大統領、WHOの新型ウイルス対応を批判し、最後通告 

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トランプ大統領は5月18日夜、世界保健機関(WHO)のTedros Adhanom Ghebreyesus事務局長に書簡を送り30日以内に対応しなければ、資金を恒久的に引き上げると通告した。 脱退の可能性も示唆した。

トランプ大統領は4月14日の記者会見で、WHOへの資金拠出を当面の間停止すると表明した。「コロナウイルスの拡散への対応の誤りと隠蔽について、WHOがどんな役割を担ったかを調査する」と述べ、その間は資金拠出を停止するよう指示したと明らかにした。

2020/4/11 トランプ大統領、WHOへの拠出金削減を検討 


資金引き上げ、脱退での脅しは不適切だが、WHOへの批判は間違っていないように見える。

WHO年次総会は5月19日、新型コロナウイルス感染拡大への世界的対応に関して独立した検証を求める"COVID-19 Response" 決議を採択した。

書簡の内容は下記の通り。

4月14日に述べた調査の結果、WHOが中国から独立していないとの懸念が確認された。次の点が分かった。

WHOは「昨年12月以前から武漢でウイルスが広がっている」との信頼すべき報告を無視してきた。WHOは中国の主張と合わない信頼すべき情報を独自に調査しなかった。

12月30日以前にWHO北京事務所は武漢で重大な健康面での懸念があることを知っていた。12月26日から30日の間に中国メディアは 、中国の多数のゲノム企業に送られた患者のデータから、「新しいウイルスが武漢で発生している」ことを報道した。この間、武漢の病院のDr. Zhang Jixianが中国当局に「新しいコロナウイルスが新しい病気を引き起こし、約180人の患者が出ている」ことを報告している。

翌日までに台湾当局が「このウイルスが人から人に感染する」ことをWHOに連絡している。しかしWHOは恐らく政治的理由から、これら重要な情報を世界に知らせなかった。

WHOは台湾からは「人に感染する」との情報は来ていないと言い訳した。
これに対し、台湾は「患者が隔離されている」と報告しており、隔離するということは感染するからであるとした。

国際的な規則では、各国は健康面での緊急事態を24時間以内に報告することになっている。しかし中国はWHOに原因不明の肺炎のケースを12月31日まで報告しなかった。
事態を何日も何週間も前に知っていた筈なのに。

Shanghai Public Health Clinic Centerの Dr. Zhang Yongzhen によると、1月25日にウイルスの遺伝子の配列を当局に伝えた。
これは広報されず、彼自身が1月11日にオンラインに載せた。翌日、当局は彼のラボを閉鎖した。WHOも認めているように、彼の行動は極めて「透明性」行動である。しかしWHOは、ラボの閉鎖と博士が事実を6日前に当局に伝えたとの主張について沈黙した。

WHOは繰り返し、コロナウイルスについて主張するが、不正確はミスリーディングなものである。

1月14日にWHOは、「コロナウイルスはヒトからヒトに感染しない 」という今や誤りとわかっている中国の主張を確認し、「中国当局の調査でヒトからヒトへの感染の明確な証拠はない」と述べた。これは武漢からの検閲された報告とも明らかに矛盾する。

1月21日に、習近平は貴職にコロナウイルスの蔓延を緊急事態としないよう圧力をかけた。貴職はこの圧力に負け、 「コロナウイルスは国際的な懸念の公衆衛生上の緊急事態ではない」と世界に伝えた。1週間後の1月31日に、圧倒的な証拠 が出たため、これを変更した。

1月28日に、習近平と北京で面会後、貴職は中国政府のコロナウイルスに関する透明性を褒めたたえた。 「中国は蔓延対策で新しい基準を打ち立て、世界に時間を稼いでくれた」と述べた。中国がウイルスに関してしゃべった医師を黙らせたり罰したりしたこと、中国の機関が情報を発表することを制限したことについては述べなかった。

1月30日に貴職が遅まきながら緊急事態を宣言した後も、WHOの専門家チームをすぐ受け入れるよう、中国に求めなかった。その結果、チームの到着は2週間後の2月16日になった。
その時さえ、チームは最終日まで武漢に行けなかった。WHOは、中国がチームの2人の米国人の武漢訪問を最後まで拒否したことを黙認した。

貴職は中国の国内旅行規制を強く褒めたが、どういう訳か、中国から来訪する人の米国入国禁止に反対した。私は貴職の反対を押して実行した。
貴職の本件での姿勢は極めて問題だ。他国は貴職のコメントに従い、命に係る中国からの、及び中国への旅行制限を遅らせた。
信じられないことに、2月3日に貴職は、中国は世界をウイルスから救う偉大な仕事をしているため、旅行制限はむしろ害があると述べた。その時には、中国が、武漢封鎖の前に500万以上の人が武漢を離れ、世界中に向かうことを認めていたことを世界中が知っていた。

2月3日に中国は各国に旅行制限をやめるよう強く圧力をかけた。これは貴職の「ウイルスの中国以外への拡散は限られた、遅いもので、中国以外に拡散する恐れは非常に低い」との不正確なコメントに支えられた。

3月3日に、WHOは、深刻な拡散リスクを弱めるための中国のデータを使い、「COVID-19はインフルエンザのようには強力に感染しない」、「インフルエンザと異なり、この病気は感染しているが発症していない人からは感染しない」と世界に伝えた。中国が主張し、WHOが繰り返し世界に伝えたことは誤りであったことは明らかだ。

3月11日に貴職がようやくパンデミックだと認めた時には、既に少なくとも114か国で4000人以上が死に、10万人以上が感染した。

4月11日にアフリカの数カ国の大使が中国外務省に中国でのアフリカ人に対する差別を訴えた。貴職は中国当局がアフリカ人への強制隔離、立ち退き、サービス拒否などをしているのを知っていたのに、貴職は中国の人種差別について述べなかった。
しかし貴職は台湾が貴職のパンデミックの扱いでのミスをについての証拠のある不平(年末までに台湾当局が「このウイルスが人から人に感染する 」ことをWHOに伝えたのに無視したと批判)をしたことを人種差別とした。
(注 事務局長はエチオピア人、中国による同じアフリカ人への差別は黙認しながら、台湾による事務局長批判を人種差別とした。) 

この危機を通じ、WHOは不思議なことに中国の「透明性」を褒め続けた。実際は全く透明でないのに、貴職はこれに加わった。
例えば、中国は1月初めにウイルスサンプルの破棄を命じ、重要な情報を破壊した。
現在でも、正確でタイムリーな情報、サンプルを供与することを拒否し、ウイルスとその根源についての重要な情報を出していない。今も中国の研究員と研究所へのアクセスを拒否し、研究員を監視している。

WHOはウイルスの根源の独立した調査を中国に表立って求めていない。各国はWHO総会で"COVID-19 Response" 決議を求める。

 注 WHO年次総会は5月19日、新型コロナウイルス感染拡大への世界的対応に関して独立した検証を求める"COVID-19 Response" 決議を採択し、2日間の日程を終えた。

我々は、WHOがもっともっとうまくやれた筈だということを知っている。

数年前、他の事務局長の下で、WHOはうまくやった。2003年の中国でのSARS蔓延で、Harlem Brundtland事務局長は55年間で初めて緊急旅行勧告を出し、中国南部の発生源との行き来について勧告した。中国が通告者を逮捕したり、メディアを監視することで事態を隠し、世界を危機に落とし込むのを批判した。
この例に従っておれば、今回、多数の命が救われた筈だ。

貴職とWHOの失策の繰り返しは高価なものとなった。唯一の方法は中国からの独立を実際に示すことだ。

米政府は既にWHOをどう変えるか、貴職と議論を始めている。しかし、すぐに行動することが必要だ。無駄にする時間はない。

そのため大統領として、貴職に伝える。もしWHOが30日以内に大きな改善をしないなら、米国はWHOへの資金供給の一時的凍結を永久的なものとし、脱退も検討する。米国の納税者が米国の利益に明らかに貢献しない組織に資金を供給し続けることを認めるわけにはいかない。

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「一つの中国」を認めない蔡英文政権が発足した翌年の2017年から、中国の反対で台湾はオブザーバー参加ができていない。

ポンペイオ国務長官は、WHOの年次総会で、台湾のオブザーバー参加が認められなかったことについて非難する声明を発表した。「テドロス事務局長は台湾を総会に参加させるあらゆる法的な権限があり、前例もあるのに、そうせず、中国政府の圧力を受けて台湾を招かないことを選択した。事務局長が独立性を欠いたため、台湾の科学的ノウハウを総会から奪い、WHOの信頼性と有効性を損なった」とした。

台湾は、「WHOの事務局は中国政府の圧力に屈し、2300万人の台湾の人々の健康に関する権利を無視し続けた。中国がWHOをコントロールし、干渉する力は非常に強い」と述べている。

茂木外相は13日の衆院外務委員会で、台湾がオブザーバー参加できない理由について「中国の問題がある」と中国を名指しした。

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