アンジェスの新型コロナウィルス向けDNA ワクチン開発

| コメント(0)


AGC(旧称 旭硝子)は5月21日、米国の CDMO (Contract Development & Manufacturing Organization)子会社であるAGC Biologicsが、タカラバイオから、新型コロナウィルス向けDNAワクチン中間体の製造を受託したと発表した。

本ワクチンは大阪大学およびアンジェスが有するDNAプラスミド製品の開発実績をもとに開発され、タカラバイオがその製造を担うもの。2020 年夏頃からの臨床試験開始を目指し開発されている。

ーーー

アンジェスは大阪大学医学部の森下竜一助教授による研究成果を基に1999年に設立され、マザーズに2002年に上場した。

同社は2019年3月に、「標準的な薬物治療の効果が不十分で血行再建術の施行が困難な慢性動脈閉塞症(閉塞性動脈硬化症及びバージャー病)における潰瘍の改善」を効能・効果とする「コラテジェン筋注用4mg」を条件付きで承認を受けた。

プラスミド(大腸菌などの細菌や酵母の核外に存在し、細胞分裂によって娘細胞へ引き継がれるDNA分子の総称)に、血管を新生する作用を持つHGF(肝細胞増殖因子)遺伝子を組み込み、それをベクターとして虚血部位に注射することで、細胞内で遺伝子が発現、血管新生が促され血流が確保されて潰瘍を改善するとされる。

2019/2/22 厚労省部会、国内初の遺伝子治療2品目の承認を了承

アンジェスは本年3月に、上記の実績をもとに大阪大学と共同で新型コロナウイルス対策のための予防用DNAワクチンの開発を行うことを決定した。

新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)のゲノム配列に基づき、ウイルスのスパイク蛋白質の遺伝子を導入したプラスミドDNA(環状のDNA)を設計し、このプラスミドDNAを産生する組換え大腸菌を確立し、GLP試験に使えるDNAワクチンの原薬を製造した。

プラスミドDNAを体内に投与することで、体内で治療に必要とされる物質がつくられる。

DNAワクチンは、危険な病原体を一切使用せず、安全かつ短期間で製造できる特徴がある。

対象とする病原体のたんぱく質をコードするプラスミドDNAを接種することで、病原体タンパク質を体内で生産し、病原体に対する免疫を付与する。
弱毒化ワクチンなどとは異なり、病原性を全く持たないため、安全であると言われている。


アンジェスは本ワクチンの開発・製造に当たり、下記の体制を作り上げた。

 アンジェスおよび大阪大学(臨床遺伝子治療学・健康発達医学)が有するプラスミドDNA製品の開発実績を生かす。

 製造はプラスミドDNAの製造技術と製造設備を有するタカラバイオが担当

 ダイセルが、新規投与デバイスによる皮内への遺伝子導入法を開発

 臨床開発を促進するため、医薬品開発支援機関としてEPSホールディングスが参画

 ペプチド研究所が、抗体価測定のためのペプチド合成研究を担当

 新日本科学が、非臨床試験におけるDNAワクチンの安全性の検証業務を中心に担当

 
ワクチンの有効性等の評価指標となるバイオマーカーの探索でヒューマン・メタボローム・テクノロジーズ社が参画

 スリー・ディー・マトリックス社と抗体検査キットの国内臨床利用可能性を検討

 AGCのCDMO事業子会社であるAGC Biologicsが、タカラバイオから、新型コロナウィルス向けDNAワクチン中間体の製造を受託

 Cytiva(旧称 GE Healthcare Life Science)


付記 6月18日、新たにシオノギファーマが中間体の分担製造でタカラバイオ社の協力体制に加わった。

 

付記 アンジェスは5月25日、ワクチン投与で抗体ができることを動物実験で確認したと発表した。7月から治験を始める。

ーーー

AGCは5月14日に、米国子会社AGC Biologicsについて、新型コロナウイルス関連で下記の発表をしている。

AGCの米国子会社が原薬製造を受託する医薬品がCOVID-19治療薬候補として臨床試験

AGCの米子会社、デンマークのAdaptVac社から新型コロナウィルス向けワクチン候補の製造を受託

付記 6/4  AGC Biologics、Novavaxから新型コロナウイルス感染症ワクチン候補アジュバントの製造を受託

コメントする

月別 アーカイブ