日本や東アジア諸国の新型コロナウイルスの死者は欧米と比べ極めて少ない。
5月19日時点の人口100万人当たりの死者は、ベルギーが784人、スペインが593人、英国が513人、イタリアが495人、オランダが332人、米国が273人であるのに対し、ベトナムがゼロ、バングラデシュが2人、マレーシアが3人、パキスタンが4人、日本が6人となっている。 一覧表
本ブログはBCG接種(特に日本型)ではないかとしてきた。
BCG注射と死者数には明らかに相関関係がある。
上記のうち、ベルギー、イタリア、オランダ、米国はBCGの全員接種をしたことがない国である。BCG接種国でも、日本型の国とデンマーク型の国では、同じように接種していても、死者数が非常に異なる。
日本型・ソ連型BCGは欧州で使われるデンマーク株と細胞膜構成成分が異なる。また、日本株とソ連株は他の亜株に比し、結核に対して免疫を起こす力は同程度だが、生菌数が非常に多い。
2020/5/4 COVID-19とBCG接種(その4)
但し、日本型と同じ種類のソ連型をみると、デンマーク型の国よりもはるかに少ないが、日本型とはかなりの差がある。この理由は不明である。
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東京大学先端科学技術研究センターの児玉龍彦名誉教授が、日本を含む東アジア人には新型コロナウイルスに対する免疫を持つのではないかとの仮説を唱えている。
「SARSの流行以来、実際にはさまざまなコロナウイルス(SARS-X)が東アジアに流行していた可能性があるのではないか。その結果として、免疫を持っていた可能性があるのではないかということも考えられる」
東京大学先端科学技術研究センターがん・代謝プロジェクトの研究によるもので、川村猛氏らによってまとめられ、The Lancetに投稿済みとのこと。
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ウイルスに感染すると、ウイルスを排除するための抗体が生産される。
最初に生産される抗体が「IgM抗体」で、早期対応のための幅広いウイルス認識力を持っている。
IgM抗体によってある程度ウイルスの認識が進むと、対象となるウイルスの排除に特化した「IgG抗体」が作られる。
その後、中和抗体が出てくると二度とかからないという免疫ができる。
図は児玉名誉教授のスライドより
IgM抗体はその後消えるが、IgG抗体は感染を排除した後も残り続けるため、再度ウイルスが侵入したときに素早く IgG抗体が増殖できる。
今回、日本人で新型コロナウイルスに対する反応を調べると、上図の動きではなく、IgGが先に反応が起きた。またIgMの反応が弱いということが分かった。
これは、既にlgG抗体を持っている場合と同じである。
5月18日のNature誌に、重症急性呼吸器症候群(SARS)から回復した患者の抗体が、新型コロナウイルスの感染を阻止するとした研究論文が発表されている。
Davide Cortiたちの研究チームは2003年に、重症急性呼吸器症候群(SARS)から回復した患者に由来するモノクローナル抗体がヒト由来と動物由来の両方のSARS関連コロナウイルスを阻害できることを明らかにしていた。
今回、Cortiたちは、これらのモノクローナル抗体のうちの25種について、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)を阻害する特性(交差反応性)を評価し、遊離ウイルスと感染細胞の双方に結合できる8種の抗体を見つけ出した。そして、これらの抗体候補の1つ(S309)が、SARS-CoV-2に対して特に強い中和活性を有することが示された。
今回の研究では、被験者による実験は行われていない。
SARSの流行以来、実際にはさまざまなコロナウイルス(SARS-X)が東アジアに流行していた可能性がある。
東アジアの人は、すでにさまざまなコロナウイルスの亜型にかかっており、 新型コロナウイルスに効く免疫が出来ているのではないか。
また、重症化は免疫の過剰反応が原因として知られているが、今回の研究では、IgM抗体の生産が緩やかな場合には、重症化しにくいことが明らかになった。
感染の初期において、広範な影響力を持つIgM抗体よりも、専門化されたIgG抗体が多く生産されることで、免疫も過剰応答を避けることができると考えられる。
日本人はIgMの反応が弱いため、重症化しにくい。死者が少ない理由である。
逆に、IgMの反応が普通に起こり、IgMの立ち上がりが早い場合は重症化する。
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