米シェール大手のChesapeake Energy、Chapter 11 申請

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米シェール開発大手のChesapeake Energyは6月28日、連邦破産法11条(Chapter 11) に基づく会社更生手続きをテキサス州南部地区の連邦破産裁判所に申請したと発表した

新型コロナウイルスの影響による原油相場の下落で経営が悪化した。原油相場下落による破綻としては米国最大の業者である。

同社は積極的な事業拡大で抱え込んだ重い債務負担に苦しんでいた。

3月末時点の負債総額は95億ドルで、6月の金利支払いが出来ず、本年に返済期限がくる長期債が1ドル当たりたった5セントで取引されており、Chapter 11 申請はむしろ遅すぎると見られている。

同社は5月にSECに提出した資料で、新型コロナの影響で資本市場へのアクセスが制限され、「年内に期限を迎える社債の償還資金が手当てできない可能性がある」と説明、Chapter 11の適用申請を検討しているとしていた。

同社では既に債権者の大半との間で負債を約70億ドル削減することで合意しており、さらに事業の続行のために925百万ドルのつなぎ融資(debtor-in-possession financing )を確保している。

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同社は1989年に Aubrey McClendonとTom L. Ward(いずれも当時29歳)が創業し、オクラホマ州で採掘を開始した。創業当時から水圧破砕法や水平採掘法などを次々と導入し,急速に生産量を伸ばした。技術革新に加え,借入金で財務レバレッジをかけつつ,全米各地の農家から土地の採掘権を借り入れる手法で保有埋蔵量を増やし続けた。

現在、下記のシェール田で操業している。(%は2019年の生産量の割合)

Marcellus (33%)、Haynesville Shale(24%)、Eagle Ford Group (21%)、Brazos Valley(8%)、Powder River Basin (8%)、Mid-Continent (4%)

同社の損益状況は下記の通り。(百万ドル) 2020年のみ、3か月の業績。

2014 2015 2016 2017 2018 2019 2020/1Q
売上高 23,125 12,764 7,872 9,496 10,231 8,489 2,541
営業損益 3,477 -18,919 -4,411 1,139 382 -31 -8,227
金利 -89 -317 -296 -426 -633 -651 -145
税引前損益 3,200 -19,098 -4,589 955 218 -639 -8,326
当期純損益 1,273 -14,856 -4,915 813 133 -416 -8,319

同社は2020年3月末で3,924百万ドルの債務超過となった。2019年末の純資本は4,401百万ドルであった。

2014年と比較し、最近の売上高は大幅に減少している。

2018-19年は支払利息が営業損益を上回っている。2019年は営業損益も赤字となった。
2020年は最初の3か月だけで8,227百万ドルの赤字となった。

同社の売上高の約半分が自社掘削分で、残りは転売(Marketing)となっている。

2019年の自社掘削分の売上高は下記の通り。(百万ドル)

原油 2,543
天然ガス 1,782
NGL 192
4,517

天然ガス価格とWTI原油価格の推移は下記の通り。天然ガスと原油の価格変動で同社の損益は大きく変動する。

米国では原油と天然ガスの価格は連動していない。それぞれの需要(原油は主にガソリン、天然ガスは火力発電等)により動く。

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同社は算出ガスの一定量を提供するという金融取引で資金を調達していたが、2012年に同社の借入金は162億ドルに達し、株主は経営トップのリスク志向や支出への意欲について懸念するようになった。

Chesapeake Energy は2012年5月1日、創業者で会長兼CEOの Aubrey K. McClendonが会長職を辞すると発表した。

その後、同社は資産売却を続けた。

2014/11/7 Chesapeake Energy、シェール鉱区の一部を売却

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