Huawei、英国に研究拠点設置

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中国通信機器大手、華為技術(Huawei)は6月25日、英ケンブリッジに研究・製造拠点を設置すると発表した。

光ファイバーによる通信の主要な技術を研究する。

第1期の建設は2017年から計画していたが、このたび地元議会で承認された。10億ポンド(約1300億円)の巨額投資で、400人程度の雇用を生むといい、将来的にHuaweiの光ファイバー通信事業の国際本部にするという。

英国は今年、一部の高速通信規格「5G」の通信網への華為製品の使用を認めたが、米国の圧力で採用の見直しを表明している。新拠点の発表は、英国内の議論に影響を与える可能性もある。

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英国のボリス・ジョンソン政権は2020年2月初めに、次世代通信規格「5G」通信網でHuawei製品の一部使用を認める一方、英国市場におけるHuawei製品の割合に35%という上限を設ける決定を下した。上限の導入は2023年になる見込み。

米国は安全保障上の理由で同社製品の完全排除を同盟国に求めていたが、これに応じないことになる。

同社製品はコスト面だけでなく性能の評価も高く、英国をはじめとする欧州では携帯通信のネットワークに組み込まれている。英国の通信会社はすでにHuawei製品をアンテナなど基地局の一部に使っている。もし完全な排除となれば交換コストがかさむため、通信会社は排除しないよう英政府に働きかけていた。

上限の設定で英通信大手各社は5G通信網に向けた投資計画の見直しを余儀なくされる。

BTは「35%という上限を守るには、5億英ポンドのコストが掛かる見込みだ」と発表した。

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米商務省の産業安全保障局 (Bureau of Industry and Security ) は5月15日、Entity Listによる華為技術(Huawei)に対する輸出禁止措置を強化すると発表した。
米国に由来する技術を使った半導体は、外国製でも同社への輸出ができなくなる。

これを受け、台湾積体電路製造(TSMC)はHuaweiからの新規受注を止めた。

2020/5/18 米商務省、Huawei向け輸出規制を強化

英国立サイバーセキュリティセンター(NCSC)はこれを受け、「米国が最近、中国に対して制裁措置を追加したことを受け、Huawei製品に対するさまざまなリスクについて考慮しながら、さらなる検討を行う予定だ」と発表した。

英国政府は、「最も重要なのは、英国のネットワークのセキュリティと回復力だ。米国がHuaweiに対して制裁措置を追加したことで、英国内のネットワークにさまざまな影響が及ぶ可能性があるため、NCSCが注意深く検討しているところだ」と述べた。

2023年までに英国の次世代モバイルネットワークから完全に排除される可能性がある。

Huaweiを排除するとなれば、英国政府が2020年2月初めに発表した政策が完全に覆される。
英国と中国との関係悪化が深刻化する。BTやVodafone、EE、Threeなどの英国通信事業者に技術的、経済的な大混乱が生じる恐れがある。

例えばBTは、10年以上前からモバイルネットワークと光ファイバー拡張の両方におけるインフラ需要の大半をHuaweiに依存してきた。
Huawei機器をベースとした数千台規模のFTTC(Fiber To The Curb)やVDSL2キャビネットなどの他、加入者の建物に設置されたフルファイバーの光加入者網終端装置(Optical Network Terminal)も置き換えることになる。また、技術リソースを転換する必要もあるため、膨大なコストが生じるだけでなく、新サービスの導入も大幅に遅れる。

こうした動きを受け、Huaweiは5月23日、「英政府は1月に5Gネットワーク建設への参加を認めた。英国がネットワークのセキュリティと回復力を高めていくためには、最良の技術と幅広い選択肢、イノベーション、多くのサプライヤーが必要であるためだ。英国で20年以上事業を行う民間企業としてネットワーク接続を維持できるよう支援する」と述べた。

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ドイツのメルケル首相率いる与党・キリスト教民主同盟(CDU)の議員は2020年2月、党指導部がまとめた次世代通信規格「5G」網構築に関する政策方針書を支持した。

同方針書は、海外メーカーの規制強化を勧告しているが、Huawei の排除は見送っている。 安全問題について、下記の通り述べている。

豊富なリソースを持つ国家であれば、どのような機器メーカーの通信網にも潜入できる。
包括的な技術検査を行っても、セキュリティーリスクを完全に排除することはできない。最小化することが精一杯だ。
5G網の盗聴に対する防衛手段が全くないわけではない。強力な暗号とエンドツーエンド暗号化を利用すれば、通信とデータ交換の機密性を確保することができる。

ドイツ最大の通信事業会社ドイツテレコムは6月17日、5G市場を拡大するため、中国のHuaweiとスウェーデン通信機器大手のエリクソン2社と5G契約を締結したことを発表した。

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米国商務省は6月15日に新しい規定を発表し、米国企業がHuawei と 5G基準の制定で協力することを容認した。

第5世代移動通信システム(5G)などの国際標準規格の策定を念頭に置いた措置である。

2020/6/19 米商務省、米企業のHuawei との5G基準協力を容認

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