シベリアで軽油流出事故

| コメント(0)

ロシアのシベリア地方にある火力発電所施設から大量の軽油が流出し、付近の河川が汚染された事故を受けて、プーチン大統領は6月3日、同地方に非常事態を宣言 、 当局者の報告の遅れの「不手際」を批判した。

クラスノヤルスク地方の工業都市ノリリスク市郊外で5月29日、ニッケル生産の世界最大手のNorilsk Nickel の子会社 Norilsk-Taimyr Energyの第三火力発電所で燃料タンクが損傷し、推定2万トンの軽油が流出した。

..
 北側からの撮影

..


国の環境監視当局によると、軽油1万5000トンが付近の川に、6000トンが土壌に流出したという。

地元の環境保護専門家らが、許容値の80~116倍の高濃度汚染を検知したとしている。

これまでのところ、事故原因は特定されていないが、発電所は永久凍土の上に建設されており、近年の温暖化の影響で地盤が沈下していることが懸念されていたという。

検事総長は不安定な土地に建てられた建造物の点検を命じた。

油が流れ込んだアンバルナヤ川には応急処置としてオイルフェンスが展張されたが、汚染された川の水が北極海へ流出することが危惧された。 
流れ出たディーゼル燃料は、北極海に注ぐピャシノ湖に到達した。ピャシノ湖にはNorilsk Nickelの鉱山がある。

グリーンピースによると事故の規模は、1989年にアラスカ州で起きたエクソンモービルの流出事故に匹敵するという。
世界自然保護基金(WWF)は、河川の汚染による漁業などの損害は1300万ドルを超えると推定している。 

捜査当局は6月10日、環境法令違反の疑いで発電所の所長ら職員3人を逮捕した。

汚染除去に当たる国営パイプライン会社Transneft Siberiaの幹部によると、現場近くの状況は安定しているものの、軽油流出が原因で死んだとみられる鳥などの動物の死骸が見つかった。

同幹部は「少なくとも8日から10日間にわたり、アンバルナヤ川からディーゼル燃料を取り除く予定だ」と説明。「完全に浄化するには何年もかかるだろう」と述べた。

コメントする

月別 アーカイブ