韓国SK Materials、超高純度フッ化水素ガスの量産開始

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SK Materials はこのたび、純度99.999%の超高純度フッ化水素ガスの量産を始めた。

同社は2019年末、超高純度フッ化水素ガスの試作品開発に成功し、慶尚北道の栄州工場に15トン規模の生産施設を作るなど国産化作業を進めてきた。
2023年まで国産化率を70%まで引き上げることを目標としている。

日本の素材メーカーが輸出してきた「イレブンナイン」と比べて品質は劣るものの、半導体ウエハーの洗浄など生産工程の一部で導入が始まったとしている。

SKグループは、素材の国産化過程で確保した力量などを中小企業共生協力と連携させて国内半導体生態系を強化するために寄与していくと明らかにした。

なお、韓国の化学メーカー ソウルブレーン Soulbrain Co.,Ltd)は純度「99.999%以上」の液体フッ化水素の量産を始めている。



日本政府は
2019年7月1日、韓国への半導体材料の輸出規制を厳しくすると発表した。7月4日より、フッ化ポリイミド、レジスト、フッ化水素の大韓民国向け輸出及びこれらに関連する製造技術の移転について、包括輸出許可制度の対象から外し、個別に輸出許可申請を求め、輸出審査を行う 。

フッ化水素は半導体洗浄、エッチングに使用される。ステラケミファや森田化学工業が生産し、日本が9割程度の高いシェアを握る。

2019/7/3 政府、半導体材料の対韓輸出規制を発表 

韓国は9月11日、日本の半導体材料に対する輸出管理の厳格化がWTO協定に違反するとしてに日本を提訴した。

韓国政府は2019年11月22日、日本との協議再開に伴い、WTOの紛争解決手続きを中断した。

韓国の産業通商資源部は2020年6月2日、「韓国政府は、昨年11月22日に暫定停止していた日本の3品目輸出制限措置について、WTOの紛争解決手続を再開することを決定した」と述べた。

2020/6/6 韓国との関係:WTOへの提訴手続き再開と日本製鉄資産差し押さえ問題 


一方で韓国はこれら製品の自製を促進している。

韓国産業通商資源部の長官は1月8日にDuPont社長と面会し、「日本の輸出規制措置を解決する上で一部進展があった」が、根本的な解決策とは見なしがたいとし、主要な材料や部品に関する技術競争力確保と供給元の多角化に引き続き取り組んでいくと強調した。

DuPontは1月9日、韓国で先端半導体製造に必要なフォトレジスト(感光材)を生産すると発表した。

2020/1/11 DuPont、韓国でレジスト生産へ

日本のメーカーも、韓国の国産化推進方針に乗り、半導体部材の現地生産を進めている。

関東電化が韓国の天安工場で硫化カルボニルの製造を開始
太陽ホールディングスがドライフィルム型ソルダーレジストの現地生産を発表(現在は北九州工場から輸出)
東ソー・クォーツは半導体製造装置向け石英ガラス製品の現地生産を発表。最新設備を導入し、2020年度中に生産開始。
ADEKAは鹿島工場で生産する半導体材料の一部の現地生産を検討
東京エレクトロンは、サムスン電子の最先端メモリ半導体工場がある京畿道平沢に大規模な顧客サポートセンターを竣工した。今後、部品生産の可能性もある。

本ブログは2019年7月3日のブログで、次の通り述べた。

長期的には、韓国は重要原料については自製を図るだろう。その場合、日本企業は需要を失うこととなる。

日本は禁じ手を使ってしまった。日本はフッ化物の原料の蛍石を中国からの輸入に頼っていることも勘案しておく必要がある。

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