韓国のセルトリオン、COVID-19の治療薬の臨床試験開始

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韓国の食品医薬品安全処は7月17日、製薬大手Celltrion Healthcareの新型コロナウイルス感染症の抗体医薬品「CT-P59」に対する第1相臨床試験の実施を承認した。韓国初の新型コロナ薬の臨床試験となる。

Celltrion Healthcareは6月23日、リウマチ関節炎など自己免疫疾患治療薬 Remicade(一般名 Infliximab)のバイオシミラー「CT-P59」(商品名 Remsima)が新型コロナウイルス感染症に効果があることが確認されたと発表した。

Infliximabは抗ヒトTNF-αモノクローナル抗体で、米国ではJohnson &Johnson子会社のJanssen Biotech(旧称 Centocor)、日本では田辺三菱製薬からRemicade の商品名で販売されている。
Celltrion は2016年4月にFDAからRemsimaの米国の承認を受けている。

なお、田辺三菱製薬は、2015年12月21日、抗ヒトTNFαモノクローナル抗体製剤「レミケード®点滴静注用100」(一般名:Infliximab)について、既存治療では効果不十分な川崎病の急性期に対する効能・効果追加の承認を取得したと発表した。生物学的製剤として、世界で初めての「川崎病」の効能・効果の承認取得となる。

2015/12/28 抗ヒトTNFαモノクローナル抗体製剤「レミケード®」、川崎病の承認取得 

同社の抗体医薬品は、ウイルスの表面に直接作用し、ウイルスが人の細胞を捕捉することができないように設計されている。

臨床試験は忠南大学病院で健康な人32人に新薬を投与して安全性などを評価するもので、今年9月までに終了する計画。その後、200〜300人を対象にした第2相、2,000〜3,000人を対象にした第3相を終えて、来年上半期の商用化を目指している。

同社によると、新薬は感染力が高い変種ウイルス(GH型)への効果がより高いという。

海外でも欧州全域で近く治験を開始する予定で、その後軽症から中等症の患者を対象に、世界的に治験を実施する方針。

同社は7月21日、9月から松島(ソンド)の第1工場でこの製品の商業生産を開始すると発表した。臨床結果とは関係なく、まず生産に入り、臨床第2相の試験結果で有効な結果が出ればすぐに緊急使用承認の手続きを踏んで、早期商用化に乗り出す。

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Celltrion Inc.は低分子医薬品、バイオシミラー、革新的新薬の研究開発および製造に特化したバイオ医薬品企業で、1999年12月に Nexol, Inc.として設立された。

2002年に米国のバイオ医薬会社 VaxGenが48%出資、Nexolが13%、残りをその他数社が出資してCelltrion を設立し、2005年に韓国仁川にバイオ医薬品の工場を建設した。
(VaxGenは2010年にdiaDexus, Inc. に買収されたが、diaDexusは2016年に倒産した。)

2009年にCelltrion Healthcareに社名変更。

2013年にグローバル製薬市場をリードする欧州で 世界初の抗体バイオシミラーであるRemsima®を発売

日本化薬は2018年3月、Celltrion Healthcareと共同で開発してきたトラスツズマブ(遺伝子組換え)製剤のバイオシミラーの日本での製造販売承認取得を発表した。HER2過剰発現が確認された治癒切除不能な進行・再発胃癌の効能・効果で承認されたもので、韓国と欧州ではCelltrionが承認を取得している。

武田薬品は2020年6月11日、アジア・パシフィックの国々のみで販売する一部のノンコアの一般用医薬品及び医療用医薬品を、バイオ医薬品企業である韓国のCelltrion Inc.に譲渡する契約を締結したと発表した。

一時金として現金2億6,600万米ドルを受け取り、マイルストン支払いとして最大1,200万米ドルを追加で受け取る可能性がある。

2020/6/16 武田薬品、アジア・パシフィックのノンコア医薬品を韓国のCelltrion社に譲渡 

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