米国、Huaweiなどの中国企業の通信機器等利用者からの政府調達を禁ずる規則案を発表

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米国国防総省、連邦調達庁、航空宇宙局(NASA)は7月14日、米政府機関が Huaweiなど指定企業の製品などを利用している企業と契約を行うことを禁止する2019年度国防権限法(John S. McCain National Defense Authorization Act for Fiscal Year 2019)の第889条に関する最終暫定規則を官報で公表した。 (7月10日に公表)

コメントを9月14日まで受け付ける。(8月13日施行の規則であるが、施行延期の要請が出ており、施行予定日を過ぎてのコメント受付は、施行日を遅らせる前提である可能性もある。)

付記

米政府は8月13日、華為技術(Huawei)など中国企業5社の製品やサービスを使う企業と、米政府との取引を禁止する規則を施行した 。

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米上下両院は2018年8月、華為技術(Huawei)や中興通訊(ZTE)と、監視カメラ首位の杭州海康威視数字技術(Hangzhou Hikvision Digital Technology:HIKVISION )、同2位の浙江大華技術(Dahua Technology)、特定用途無線大手の海能達通信(Hytera Communications)の計5社への締め付けを大幅に強化することを盛り込んだ「2019年度米国防権限法」を超党派の賛成で可決し、8月13日にトランプ大統領が署名、成立した。

米国では議会が2012年頃から「Huawei と ZTEの通信機器が中国のスパイ活動に利用され、米国が開発した軍事技術が流出している」として米企業に2社の製品を使わないよう呼びかけを始めた。
2017年には国防総省による2社の製品調達を禁止する法律が成立した。
2018年5月に国防総省は世界中の米軍基地の携帯電話販売店で HuaweiとZTE製のスマホの販売を禁止した。

2019年度米国防権限法は、禁止を国防総省以外にも拡大するもので、禁止対象製品は次の通り。

(A) Huawei と ZTE 製の通信機器

(B) Hytera、HIKVISION 、Dahua製のセキュリティ用のビデオ監視・通信機器

(C) 国防長官が国家情報長官、FBI局長との協議で、中国政府の影響下またはつながりがあるとみなす企業の通信機器及びビデオ監視システムも同様の扱いとなる。

禁止は2段階に分かれる。

第1 段階(発効日の1年後=2019年8月13日以降)

  米政府機関(連邦政府、軍、独立行政組織、政府所有企業)が5社の製品や、5社が製造した部品を組み込む他社製品を調達することを禁止

第2段階(発効日の2年後=2020年8月13日以降)

5社の製品を社内で利用している世界中の企業との取引を禁止
(米政府機関に収めている製品・サービスが通信機器とは一切関係のない企業でも、5社の製品を使っておれば禁止)

2018/12/11 2019年度米国防権限法(NDAA2019) --- Huawei、ZTE等の米政府機関との取引からの排除

第1段階は既に2019年8月13日以降実施されている。

問題は第2段階で、 既に世界の企業で多くの中国製通信機器が利用されている。 中国国内に工場を持ち製品を作っている企業の多くは、中国製の通信機器を使わざるをえない状況にあるケースが多いという。

2019会計年度(2018年10月~19年9月)の政府調達額は約5800億ドル。日本企業で米政府との取引企業は800社を超える。

日本でも多くの企業がHuaweiなどの製品を使っており、Huawei の通信基地局の日本国内シェアは2017年度に13%に達していた。

今回、この第2段階の2020年8月13日からの実施についての最終暫定規則が発表された。

暫定規則によると、当面は政府と直接契約する法人が対象となる。しかし最終的にグループ企業などにも広がる可能性がある。

企業が米国政府と取引を続けたい場合には、問題視されている5社の機器の利用を一切やめ、5社の製品やサービスを使っていないと証明書を出す必要がある。「利用(use)」の定義がなく、問題視されている。
虚偽を報告した場合は民事・刑事罰もあり得る。

準備が間に合わない企業に適用除外を申請できる制度も設けた。(但し、最長で2022年8月13日まで)

米政府は新規則順守にかかる費用として、完全に対応するまでに計800億ドル超のコストがかかると算定している。

共和党上院議員が6月25日に本規則の施行日を1年延長する案を提案したが、議会で承認されるかは不明。

米商工会議所は7月15日、施行を遅らせる条項を近く可決する予定の「COVID-19第4次対策案」に含めることを求める声明を出した。
特にコストが掛かり過ぎること、ルールの発表が7月10日で、8月13日施行では準備が出来ないことなどを問題視している。

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