米国、フランスのデジタル課税に報復関税 

| コメント(0)

米通商代表部(USTR)は7月10日、フランスの「 Digital Services Tax」を巡り、化粧品、ソープ、ハンドバッグの21品目、13億ドル分のフランス製品に25%の報復関税を課すと発表した。

Digital Tax課税に関して2国間や多国間で協議する追加の時間を確保するため、発動日は180日間先送りして2021年1月6日に設定した。

https://ustr.gov/sites/default/files/enforcement/301Investigations/France_Digital_Services_Tax_Notice_July_2020.pdf

対象品目は Annex B

ーーー

フランス上院は2019年7月11日、Digital Services Tax法案を可決し、Macron 大統領は7月24日にこれに署名、これが法律となった。

米国は7月10日、フランスの Digital Services Taxによって米IT大手が打撃を受けるかどうか、通商法301条に基づいて調査すると発表した。

2019/7/31 フランスのデジタル課税法案成立、米国は報復を示唆

フランスのマクロン大統領は2019年8月26日、フランスの Digital Tax巡り、米国と合意を得たことを明らかにした。 フランスのDigital Taxと経済協力開発機構(OECD)がまとめている課税制度に基づく税収の差額を仏政府が企業に払い戻す方針で暫定合意に達した。

しかし、米通商代表部(USTR)は2019年12月2日、フランスが導入した Digital Services Taxが米国のIT企業を不当に差別していると断定し、24億ドル分に相当するフランスの63品目に最大100%の制裁関税を検討すると発表した

追加関税を課す対象として、スパークリングワインやチーズ、ハンドバッグなどを含む品目リストの原案をFederal Register に提示した。対象規模は米企業が被る損害に基づき算定した。

2019/12/5 米、仏デジタル税に制裁関税検討 

本年初めに、OECDで Digital Taxに関する議論をしている間は、フランスは Digital Taxの導入を凍結する代わりに、米国が関税発動を棚上げする「一時休戦」で折り合った。


デジタル課税を巡る議論はOECDを中心に2020年末の最終合意をめざすが、各国の意見が折り合わず議論が難航している。

ムニューシン米財務長官は2019年12月上旬、OECDのグリア事務総長に「米国は Digital Taxに強く反対する。米企業活動に差別的な影響を及ぼす」との書簡を送付した。米国の反対で協議は難航する可能性が高い。

OECDは2020年2月13日、多国籍企業への課税に関する新しい国際ルールが適用された場合、世界の法人税収の4%に相当する年1000億ドルの税収増が見込まれるとの試算を公表した。

2020/2/18 OECD、多国籍企業課税新ルールの影響の試算発表


米通商代表部(USTR)は2020年6月2日、Digital Services Taxを巡り、英国など10カ国・地域を調査すると発表した。不公正だと認定すれば制裁関税を含む対抗措置を検討する。

2020/6/4 米、10カ国・地域にデジタル税の対抗措置検討

そして、米通商代表部(USTR)のRobert Lighthizer代表は6月17日、下院歳入委員会の公聴会で証言し、Mnuchin米財務長官がDigital Taxを巡る国際協議からの撤退を決めたと伝えた。

2020/6/23 米、デジタル税を巡る国際協議からの撤退を示唆

今回、米国はフランスがDigital Taxを撤回しなければ報復措置に出る姿勢を明確にした。


USTRが昨年12月に提示した案は、
24億ドル分に相当するフランスの63品目に最大100%の制裁関税であった。

それに対し、今回は
13億ドル分のフランス製品に21品目に25%の制裁関税で、品目、金額、税率のいずれも下回っている。前回に話題となったスパークリングワインとチーズは今回は対象から外れた。

USTRでは、フランスがDigital tax で米国企業に課税する金額を考慮して課税対象額を決めたとしている。フランスの課税額より若干少ないともしている。

コメントする

月別 アーカイブ