ロシアが新型コロナワクチンの接種を10月に開始

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ロシアで保健分野を担当するゴリコワ副首相は7月29日、プーチン大統領とのテレビ会議で開発の成果を報告した。

それによると、モスクワの国立Gamaleya疫学・微生物学研究所が国防省と開発中のワクチンを8月に承認し、9月に量産を始める。年内に国内だけで3000万回分を量産できるという。

ワクチンは10月に医療従事者などから接種を始める。

付記 ワクチンは8月11日に承認された。プーチン大統領は、「非常に効果的に作用し、安定した免疫を形成する」と強調、娘の一人が接種したことも明らかにした。

ロシアはこのワクチンを「Sputnik V」と命名した。

6月にロシア軍に所属する50人を対象とする Phase I 臨床試験を開始した。
ロシアはPhaseⅡ臨床試験を終えた時点で承認し、その後にPhaseⅢの1600人への治験を並行して進めるとされる。

PhaseⅢ臨床試験が完了していない段階での摂種に、「安全性を確認できない」との声が多い。


政府系のロシア直接投資基金のドミトリエフ総裁によると、承認予定のワクチンは風邪の原因となるウイルスに新型コロナウイルスの情報を組み込んで開発した。

Gamaleya Research InstituteのワクチンはAstraZenecaと同じく、Non-replicating Viral Vector(増殖できないようにしたアデノウイルスタイプ)である。

AstraZenecaのChAdOx1-S は、チンパンジーに感染する風邪のアデノウイルスが人間の体内で増殖できないように、複製能を欠損させた改変ウイルスを作る。
そこに、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)粒子の表面に存在するスパイクタンパクの遺伝子を組み込む。

Gamaleyaのは、Gam-COVID-Vac、Gam-COVID-Vac Lyoと名付けられており、アデノウイルス5と26にSARS-CoV-2の遺伝子を組込んだワクチンである。

ロシアでは他に、国立ウイルス学バイオテクノロジー研究センター(ベクトル)も開発しているとされる。


WHOは7月28日、最新のワクチン開発状況
Draft landscape of COVID-19 candidate vaccineを発表した。PhaseⅢの準備段階にあるのがPfizerを含め 6件ある。

Gamaleya Instituteのもの(2種)はPhase Ⅰ段階となっている。

Candidate vaccines in clinical evaluation  IM=Intramuscular 筋肉注射 ID=intradermal 皮内注射   

developer/manufacturer platform Type doses Timing Route Phase
1 1/2 2 3
University of Oxford/AstraZeneca Non-Replicating Viral Vector ChAdOx1-S 1 IM
Sinovac(中国) Inactivated Inactivated 2 0, 14 days IM
Wuhan Institute of Biological Products/Sinopharm Inactivated Inactivated 2 0,14 or
0,21 days
IM

Beijing Institute of Biological Products/Sinopharm Inactivated Inactivated 2 0,14 or
0,21 days
IM

Moderna/NIAID(米国立アレルギー感染症研究所) RNA LNP-encapsulated mRNA 2 0, 28 days IM
BioNTech(独)/Fosun Pharma(上海復星医薬/Pfizer RNA 3 LNP-mRNAs 2 0, 28days IM
Gamaleya Research Institute Non-replicating Viral Vector Adeno-based IM

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