キオクシア、10月に上場

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東証は8月27日、キオクシアホールディングス(旧東芝メモリホールディングス)の上場を承認した。

上場予定日は10月6日で、東証1部か2部に上場する。想定売り出し価格は1株3,960円で、最終的な売り出し価格は9月28日に決まる。

時価総額は2兆円を超え、今年最大の新規株式公開となる。

付記

キオクシアホールディングスは10月6日に予定していた東京証券取引所への上場を延期する。大口取引先である中国の華為技術(Huawei)に対する米政府の取引規制で 収益性の急激な低下が予想され、先行きへの不透明感が高まっており、上場の時期を慎重に検討する。

約3000億円分を既存株主が拠出し、別途、新規に854億円分の株式発行を行う。

キオクシアが入手するのは854億円分に過ぎず、大規模な設備投資はできない。

同社では使途として、四日市工場及び北上工場において、更なる大容量化、高速化を可能とする次世代フラッシュメモリ(第5世代3次元フラッシュメモリ)である112層積層プロセスを適用したBiCS FLASHTM向け前工程生産設備の取得費用の一部として充当する予定としている。

競争相手のサムスン電子は6月1日、京畿道平沢市の「平沢キャンパス」に8兆ウォン(約7000億円)を投資し、NAND型フラッシュメモリーの生産ラインを建設すると発表した。2019年7月に世界で初めて量産に成功した世界最先端の第6世代積層NAND型フラッシュメモリー(V-NAND)を2021年下期から量産する。

NAND型フラッシュメモリの世界シェアは、サムスンが35.9%、キオクシアは19.0%(2019年)で、このままでは更に差が広がる。

株主のうちのBain Capital は株式の高値での売却が目的であり、大規模増資で株価が下落するのを嫌ったとされる。キオクシアの長期的な利益拡大よりも、株主自体の短期利益を優先するもので、日本経済新聞は「同床異夢」としている。

なお、東芝とBain/SK Hynix は議決権株のほかに転換型優先株を持っていたが、2020年8月27日付で全部について普通株式に転換した。
BAIN/SK Hynix はBCPE Pangea Cayman名義となっており、SK Hynix 自身は表面に出ていない。

当初 現状(議決権) 今回上場 上場後 @3,960 評価
東芝 40.2% 2020/8/27優先株
 転換
210,300千株 40.64% -30,117.2千株
* -7,886.9千株
172,295.9千株 31.96%
HOYA 9.9% 16,200千株 3.13% -2,534.4千株 13,665.6千株 2.54%
Bain/SK Hynix 49.9% 291,000千株 56.23% -33,417.3千株 257,582.7千株 47.78%
今回増資 21,562.5千株 21,562.5千株 14.72% 854億円
今回売り出し +66,068.9千株
* +7,886.9千株
73,955.8千株 2,929億円
合計 100% 517,500千株 100% 21,562.5千株 539,062.5千株 100% 2兆1347億円

     * オーバーアロットメント(募集を超える応募への備え)による売出し分で、東芝が拠出する。

東芝は6月22日、保有するキオクシアホールディングスの株式の売却を進め、売却で得た資金の半分以上を株主への還元にあてる方針を明らかにした。
現金化がなされた際には、手取金純額の過半を原則として株主還元に充当する。

2020/6/24 東芝、キオクシア株売却で株主還元

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キオクシアはこの準備のため、Apple等4社の持つ優先株(取得価額4,155億円)を約5,300億円で買戻し、消却している。「取引先が株式を持つ現状では上場審査に不利」とされる。

東芝メモリは2019年5月31日、日本政策投資銀行による出資とメガバンク3行からの借り入れで、6月末までに総額1兆2000億円を調達すると発表した。3行は1000億円の追加融資枠も設定する。

今回の調達資金 1.2兆円(他に融資枠1千億円)で Apple等4社の持つ優先株(取得価額4,155億円)を約5,300億円で買戻し、消却する。
残りの資金で金融機関からの借入金 6千億円を返済する。現金700億円が手元に残ることとなる。

単位:億円) 出資 合計 転換
社債
借入金 再計 今回 処理後
議決権 優先株
東芝 40.2% 1,096 2,409 3,505 3,505 3,505
HOYA 9.9% 270 270 270 270
(日本側) (50.1%) (1,366) (2,409) (3,775) (3,775) (3,775)
Bain 49.9% 1,361 759 2,120 2,120 2,120
SK Hynix 2,660 2,660 1,290 3,950 3,950
(Bain / SK) (49.9%) (1,361) (3,419) (4,780) (1,290) (6,070) (6,070)
Apple ほか4社
(買戻し額)
4,155 4,155 4,155

-4,155
(-5,300)

0

金融機関 6,000 6,000

-6,000
9,000

9,000
日本政策投資銀行 3,000 3,000
INCJ
(産業革新機構)
0
合計 2,727 9,983 12,710 1,290 6,000 20,000 1,845 21,845
(今回のCash 増) 700

2019/4/5 東芝メモリ、1.3兆円調達

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同社の決算は2020年1Q以降、好転している。但し、価格の大幅アップは期待できず、大幅な増益は難しいとみられる。

(億円) (旧)東芝メモリ

東芝メモリ (2019/10 キオクシア)

2018/3月期 2019/3月期

2020/3月期

2021/3月期
'18/4~5 '18/6~19/3

合計

1Q 2Q 3Q 4Q 合計 1Q 2Q予
売上高 12,294 1,894 10,745 12,639 2,142 2,390 2,544 2,796 9,872 2,675 2,980~3,300
営業利益 4,568 704 459 1,163 -989 -658 -205 121 -1,731 147 0~300
 (うち一般) (4,568) (704) (2,731) (3,435) (-360) (-375) (72) (394) (-269) (414) (270~570)
 (PPA影響) (-2,272) (-2,272) (-285) (-282) (-288) (-273) (-1,128) (-267) (-270)

(停電影響)

(-344) (-1) (11) (0) (-334)
当期純利益 7,186 489 116 605 -952 -560 -253 98 -1,667 17 -60~160


キオクシアは旧東芝メモリを時価(交渉価格)で買収したため、簿価との差が出る。
このため、
買収価額を、資産及び負債の時価を基礎として、適切な勘定科目に配分する。これをPPA(Purchase Price Allocation) と呼ぶ。

2020/5/22 キオクシア(旧称 東芝メモリ)の2020年3月期決算 2020/1Q実績、2Q予想を追加

2018年6月1日にBain Capitalを軸とする企業コンソーシアムにより組成される㈱Pangeaが東芝のメモリ事業を2兆円で買収、東芝メモリ㈱となった。

東芝、HOYA、Bain / SK Hynix 各社は議決権株、優先株で合計8,555億円を出資した。
これが現在は議決権株517,500千株になっているが、1株当たりでみると、出資時には@1,653だったのが、今回@3,960で売り出すことになる。

その間、2018年3月期の営業利益が4,568億円であったのが、2019年3月期は一般ベースで3,435億円、2020年3月期には-269億円に落ち込んでいる。

市況が大幅に戻る可能性は少ない。

投資家がどのように反応するだろうか?

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