米商務省、Huawei向け輸出規制を更に強化

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米商務省の産業安全保障局 (Bureau of Industry and Security ) は8月17日、Huaweiに対する輸出規制を更に強化すると発表した。米国技術が関わる半導体やソフトがHuaweiにわたるのを完全に遮断する。

さらに禁輸リストであるEntity ListにHuaweiの関連会社38社を追加した。

なお、2019年5月のEntity List 指定時に、携帯電話のソフトウェア更新やネットワークの保守・運用に必要な一部の取引を90日間認めた。「現在Huawei 製のスマートフォンを使っている一般ユーザーと地方のブロードバンドネットワークのための運用継続を認めるもの」とした。

この措置は次々延長された。最後の延長は2020年8月13日までとなっているが、今後は延長しない。

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1) 米商務省は2019年5月15日、Huaweiに対する米国製ハイテク部品などの事実上の禁輸措置を発表した。

輸出管理法に基づき安保上懸念がある企業を列挙したEntity List (規則 744.11(b) )にHuawei を追加した。
同社が制裁対象のイランとの金融取引に関わったと指摘している。

今後、日本企業を含む企業が米国のハイテク製品や技術を同社に輸出する場合は商務省の許可が必要になり、原則却下される。

「再輸出」の規制は米国の国内法を海外の国にも適用する「域外規制」であり、もし、日本企業がこれに違反し、米国品を再輸出した場合には、罰金、禁固、取引禁止顧客としての指定、米国政府調達からの除外等が課せられ、そのため実質的に米国との取引が以後出来なくなる事態が生じる。

「域外規制」では、イラン、北朝鮮、シリア、スーダン向け輸出については米国品が10%以上、それ以外の国への輸出の場合は米国品が25%以上含まれておれば、再輸出となり、規制対象となる。

2019/5/16 米国、Huawei を対象に2施策


これには「抜け穴」(米商務省)があった。

Huaweiは半導体生産の多くをTSMCに委託しており、これは対象になっていない。

2) 産業安全保障局 (Bureau of Industry and Security ) は2020年5月15日、Entity ListによるHuaweiに対する輸出禁止措置を強化すると発表した。

下記の条項が追加された。

チップセットのような製品で、米国以外にある規制対象の半導体製造装置で、Huawei 及びHiSiliconなど子会社の設計仕様書でつくられた製品

これにより、米国に由来する技術を使った半導体は、外国製でも同社への輸出ができなくなる。

これを受け、台湾積体電路製造(TSMC)はHuaweiからの新規受注を止めた。

2020/5/18 米商務省、Huawei向け輸出規制を強化


3) 今回は更に規制を強化する。

輸出禁止に下記が追加された。

米国のソフトウエアか技術が、外国製品に使われており、それがHuaweiが生産、購入、注文するパーツ、コンポーネントや設備に組み込まれたり、その生産や開発で使われたりする場合

これにより、米国のソフトウエアや技術を使った外国製のチップは米国製のチップと同様に禁止される。

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