Pfizer、Remdesivirを受託加工、英のHikma Pharmaceuticalsも

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Pfizerは8月7日、Gilead Sciencesの新型コロナウイルス治療薬Remdesivirの製造を受託することで合意したと発表した。

カンザス州のMcPherson工場でRemdesivirを製造・供給する複数年契約を結んだ。

同社は3月13日に、医薬業界、政府機関、学会に対しCOVID-19危機に一緒に対応しようとする「Five-Point Plan」を発表しているが、今回の動きはそれに沿ったもの。同社会長は、「最初からどの会社も1社だけではこの危機に対応できないのは明らかだった。一緒にやればもっと強くなる。当社の知見、インフラ、製造能力を活用して患者にできるだけ速く薬を届けるのは光栄だ」と述べた。

Pfizerは「Five Point Plan」で次の点を約束している。

1. Sharing tools and insights: 知見を他社にシェア

2. Marshalling our people: 社内のvirologists, biologists, chemists, clinicians, epidemiologists, vaccine experts, pharmaceutical scientists等々を集め、SWAT team を編成した。COVID-19の医薬、ワクチン開発に集中。

3. Applying our drug development expertise: 新薬やワクチンを開発した中小企業にPfizerの治験や登録などの経験をシェアする。

4. Offering our manufacturing capabilities: 余剰能力を活用し、他社の製品の製造を支援し、出来るだけ早く患者に届ける。

5. Improving future rapid response: 将来伝染病が発生した際に直ちに行動に移せるよう、業界全体のチームをつくるよう、国立衛生研究所(NIH)や国立アレルギー・感染症研究所(NIAID)や疾病予防管理センター(CDC)などの政府機関に働きかけている。

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Gilead Sciencesは5月13日、Remdesivirの生産拡大に向け、インドやパキスタンを本拠地とするジェネリック医薬品メーカー5社と包括的な任意・無償ライセンス契約を締結したと発表した。

インドのCipla Ltd、パキスタンのFerozsons Laboratories、インドのHetero Labs Ltd、インドのJubilant Life Sciencesと米国のMylanで、各社はRemdesivirを製造し、127の国・地域を対象に供給する。ほとんどが低~低中所得とされる国・地域であり、また医療アクセスについて重大な困難に直面する高中~高所得国も含まれる。
Myla
nはインドを含む127の中低所得国でRemdesivirを製造および流通する権利を有するとされる。

Gilead Sciencesは6月に、年末までに200万人超の新型コロナ患者を治療する量のRemdesivirを供給することを目指すと宣言した。従来の100万人から倍以上に目標を引き上げた。

9月まではほぼ全量を米国で販売するが、その後は世界中に提供するため、生産を拡大する。

Gilead Sciences は8月6日、Remdesivirの製造業者が北米と欧州、アジアにおける40社超の企業に拡大したと明らかにした。


英国のジェネリック医薬品メーカーHikma Pharmaceuticals PLCは8月7日、Gilead Sciences と結んだ契約に基づき、ポルトガルでRemdesivirの製造を開始すると発表した。「近いうちに」まとまった数の薬を供給し始め、Gilead Sciences が販売する見込みだと述べた。


なお、バングラデシュ最大の複合企業 Beximco GroupのBeximco Pharmaceuticalsは本年5月、Remdesivirの最初のジェネリック品(製品名Bemsivir) の生産を開始した。

バングラ政府が5月21日にのBemsivir IV 注射薬の緊急使用許可を与えた。

2017年1月13日、「知的所有権の貿易関連の側面に関する協定」(TRIPS協定)の改正議定書が発効した。2001年のドーハ宣言を受け、開発途上国におけるパンデミックなどに対処するために先進国における医薬品生産の強制実施許諾を可能にすることを目的としたもので、2005年にWTO理事会で採択された。途上国で感染症の蔓延などが生じたときには、先進国において途上国への医薬品の輸出を目的とする強制実施許諾が可能になる。

本件はこれに基づくもので、Gilead Sciences からはライセンスを受けていない。

Beximco Pharmaceuticalsは製品をバングラ政府に供給する。政府の認可条件に従い、一般販売は出来ない。

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既報の通り、Gilead Sciencesは6月29日、新型コロナウイルス用治療薬のremdesivir 価格を発表した。

Remdesivirを承認する先進国の政府向けは1錠390ドルとする。平均して5日間で6錠服用するとして、患者一人当たり合計2,340ドル(約25万円)となる。

途上国向けにはジェネリック医薬会社との間でこれよりもかなり安く供給するよう決めた。

2020/6/30 Gilead Sciences、remdesivirの価格を発表 

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