米 連邦最高裁 Ginsburg 判事の後任選び

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9月18日に87歳で死去した連邦最高裁のRuth Ginsburg 判事の後任選びを巡り、議論が激化している。

後任は大統領が指名し、上院が承認することとなっている。

トランプ大統領は9月19日、後任について「来週指名する。女性になる」と明言した。

後任に目されている第7巡回区控訴裁判所判事の Amy Coney Barrettを「大変尊敬されている」第11巡回区控訴裁判所判事のBarbara Lagoa「素晴らしい人物」だと述べた。

上院共和党のクルーズ議員は、「上院は大統領選挙の前に後任を承認するべきだ」と述べ指名と承認を急ぐべきだという考えを示した。

しかし、大統領選挙前の後任選びに野党・民主党は強く反対し、与党・共和党内からも異論が出ている。

民主党のバイデン大統領候補は、大統領選の期日前投票が既に始まっていると指摘し、この時期の後任指名を「米国民は支持しない」と強調、大統領選の勝者が指名すべきだと訴えた。

最高裁裁判官は終身制で、本人が死去または自ら引退するまで、弾劾裁判によって罷免される場合(過去に例なし)を除いては生涯にわたってその身分を保証される。

大統領選 (&上院選)前の場合は上院は与党が過半数を占めているため承認が確実で、その場合、最高裁判事の構成は保守派6名、リベラル派3名となる。

これまでも保守派が5対4で多数であったが、最近は保守派の判事がトランプ大統領の意に沿わない判断を下すケースが相次いでいる。

6対3となれば、仮に保守派の1名が反対票をいれても、なお保守派の意向が通ることとなる。(仮に同数の場合、最高裁としての判断無しとなり、下級審の判決が支持される。)

銃規制や人工妊娠中絶の是非などアメリカ社会を二分する問題を抱えており、トランプ大統領は大統領選で負ける場合も勘案し、今のうちに決めてしまうとするもの。

  保守派 Swing リベラル派
以前  保守系中道 のKennedyがswing 4 ← 1 → 4
2016 Scalia 判事死去 3 ← 1 → 4
2017 Gorsuch 就任 4 ← 1 → 4
2018 Kennedy 引退、Kavanaugh指名 5 4
2020 Ginsburg 死去 5 3


なお、Ginsburg判事は亡くなる前に、孫娘に最後の願いを託した。それは「次の大統領が就任するまでは、私の後任を決めないように」とされる。

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本命とされるAmy Coney Barrett判事は、ノートルダム大学で15年間、法学を教えており、司法は未経験だったが、2017年にトランプ大統領が第7巡回区控訴裁判所判事に任命した

この時の公聴会では「女性の人工妊娠中絶の権利を認めたロー対ウェイド事件を含め、最高裁のすべての判例に確実に倣います」と述べた。

しかし、敬虔なカトリックで、中絶に否定的な立場で知られており、最高裁判事になれば、ロー対ウェイド判決を覆すことを支持するだろうと見られている。

トランプ大統領は彼女を高く評価しており、2018年のKennedy判事引退時に後継者に考えたが、女性のGinsburg枠に取って置くと言ったと報じられた。

当時、大統領は25人の候補者リストから4人を選び、その中から指名するとしていた。
Kavanaugh氏を指名したが、他の3人は、Amy Coney Barrettと、Thomas Hardiman、Raymond Kethledge 各判事で、いずれも若く、保守派である。

第11巡回区控訴裁判所のBarbara Lagoa 判事はフロリダ州の法曹では有名な法律家で、フロリダ州最高裁判事を経て、2019年11月に最初のヒスパニック系として第11巡回区判事に指名された。

大統領選で接戦州の南部フロリダ州で重要な票田である中南米系にルーツを持つ。

そのほかに女性の候補として、ホワイトハウスのロイヤーである Kate Todd第6巡回区控訴裁判所の判事のJoan Larsen、 第4巡回区控訴裁判所の判事のAllison Jones Rushing.などの名前が挙がっている

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