米電動トラックのNikola会長 退任

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米電動トラックのNikola Corporation は9月20日、創業者のTrevor Miltonが取締役と会長職を退任したと発表した。後任には同社の取締役でGMの元副会長のStephen Girskyが就任した。

空売り投資家のHindenburg Researchが9月10日、「試作品と技術が全て偽の詐欺企業」という報告書を出した後、米司法省とSECが調査に着手したことによる決定とみられる。

Nikola: How to Parlay An Ocean of Lies Into a Partnership With the Largest Auto OEM in America detailing dozens of false statements by Nikola Founder Trevor Milton

Hindenburg は「Nikolaは水素電気自動車生産に向けた技術や設備を保有していない。2016年に製作した水素自動車の走行映像はねつ造」と主張した。

後記のGMとの提携については、NikolaとMilton会長がGMとの提携のために技術面で虚偽の報告をした十分な証拠があると主張した。

また、Milton会長が業界経験の少ない自身の兄弟を幹部に登用したとも指摘した。

Hindenburg は証券市場でNikola株を空売りしたと明らかにし、詐欺疑惑と関連した53件の質問を送ったが、Nikolaはこのうち10件にだけ答え、残りは今後明らかにするとしたという。

Hindenburgは同日、Milton辞任を伝えた記事をツイッターに共有して、「まだ始まったばかりだ」と批判を続けた。辞任後も、Miltonは全体株式の20%を所有する筆頭株主である。

Milton会長はHindenburgの主張は誤りとし、「私ではなく、世界を変えるこの会社の任務に焦点を合わせなければならない」と述べた。

付記

GMは9月30日、Nikolaとの提携を延期した。同日までに予定していた株の取得を見送った。

NikolaがSECに提出した資料によると、12月3日までに手続きが完了しなければ提携が撤回される可能性がある。

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アリゾナ州のトラックメーカーNikolaは6月4日、米NASDAQ市場に上場を果たした。同社は電気自動車(EV)や燃料電池車(FCV)のトラックを開発する2014年創業のスタートアップ企業で、まだ生産工場を持っていない。

韓国のハンファ(ソーラーパネルメーカーとして)、独ボッシュ、伊CNH Industrial などから初期投資を受けている。

Hindenburg によると、Worthington、Bosch、ValueAct などの初期投資家は既に売り逃げているという。

上場は、ナスダック市場に上場している特別買収目的会社のVectoIQ Acquisitionとの逆さ買収によるもの。VectoIQ Acquisitionは元GM副会長のSteve Girsky(今回、Trevor Miltonの後任会長に就任)によって設立された特別買収目的会社(SPAC)で、ハイテク輸送分野への投資を本業としている。

VectoIQ Acquisitionが6月3日にNikola Motorを33億ドルで買収、Nikola Motorが存続会社となり、Nikola Corporationに改称した。

上場初日の6月4日の取引終了時の株価は33.75ドルで、時価総額は約120億ドルになった。
6月9日には79.73ドルに上がり、時価総額が約288億ドルに高騰した。33億ドルと評価された会社が8.7倍になった。(6月19日終値は65.51ドル)

Nikolaの社名は、同じ電気自動車メーカーのTeslaと同様、19世紀中期から20世紀中期の電気技師、発明家のNikola Teslaから採っている。

2020/6/23 Nikola Motor、NASDAQ市場に上場 

GMは9月8日、Nikolaの株式11%を約20億ドルで取得すると発表した。Nikolaの取締役1人を指名する権利を得る。

両社は、Nikolaのピックアップトラック Badgerを2022年末までに共同生産する計画。




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