中国、ハイテク技術の輸出規制を強化、TikTok売却に影響か

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中国商務省と科学技術省は8月28日、一部のハイテク技術を海外に移転する際に中国政府の許可が必要になるなど、規制強化を発表した。

商务部 科技部公告2020年第38号 Announcement on Adjusting and Publishing the "Catalogue of China's Export Prohibited and Restricted Technologies

輸出禁止、輸出制限カタログは、もともと2008年に作成されたが、今回、技術の進歩により不要になったアイテムや制限されなくなったアイテムが削除され、多くの新しいアイテムが追加された。

その中で、「人工知能の対話型インターフェース技術」("人工智能交互界面技术")と「データ分析に基づく個人化された情報プッシュサービス技術」("基于数据分析的个性化信息推送服务技术")が制限付き輸出のリストに追加された。

輸出が制限されている技術の輸出については、国務院の管轄の対外経済貿易部に申請書を提出し、承認を得る必要がある。

中国の専門家は、TikTokで使われている技術が輸出規制に含まれる可能性があるため、進行中のTikTok USの事業売却に影響を与える可能性があり、交渉を一時停止するか慎重に検討すべきだと述べている。

中国メディアによると、TikTokを運営するBytedance(北京字節跳動科技)は8月30日、この規制を「厳格に順守する」と表明した。


トランプ大統領は8月14日夜、国家安全保障上の懸念を理由に、中国のBytedance(北京字節跳動科技)に対し、運営する動画投稿アプリTikTokの米国資産を売却するよう命じた。

事業売却交渉をめぐっては、米小売り最大手WalmartはMicrosoftと組み、買収交渉に乗り出すと表明した。Walmart とMicrosoftは、クラウドや人工知能(AI)で5カ年の提携契約を結んでいる。Walmartは「Microsoftとの連携で、利用者の期待に応えるとともにアメリカ政府の懸念も払しょくする自信がある」としている。

Oracleも買収を検討している。


国政府がどう動くのか不明。New York Timesによると、中国の経済政策の専門家は、「可能性としては、売却の完全な阻止、単なる価格引き上げ、あるいは中国の将来的な影響力強化につながる条件の付与などが考えられる」と述べた。

しかし、売却の阻止は考え難い。トランプ大統領が売却を命じているうえ、別途、8月6日にBytedanceとの米国人の取引を禁止する大統領令を出している。45日後に商務長官が禁止対象行為を決め、それ以降の取引を禁止する。事業を停止させられたうえに、事業の売却も出来ないことに成りかねない。

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今回輸出規制がついた技術には次のようなものも含まれている。

 沖合の島・珊瑚礁の利用、安全保障機器技術   中国が軍事基地化し、問題となっている南シナ海の珊瑚礁開発関連   

 北斗衛星ナビゲーションシステム情報伝送暗号化テクノロジー

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