米連邦地裁、WeChat 配信禁止を一時差し止め

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米カリフォルニア州北部地区の連邦地裁は9月20日、
騰訊控股(Tencent Holdings )の「WeChat」の提供を禁止する大統領令の執行を一時的に差し止める命令を下した。

AppleやGoogleが9月20日からWeChatのダウンロードを中止するのがブロックされる。

付記 米政府は10月2日、WeChatに対する事実上の利用禁止措置を差し止めた連邦地裁の判断を不服として、連邦高裁に上訴した。

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トランプ大統領は8月6日、動画投稿アプリTikTok を運営する北京字節跳動科技(Bytedance)との米国人の取引を禁止する大統領令及び、WeChat に関する騰訊控股(Tencent Holdings )との米国人の取引を禁じる大統領令を出した。45日後に商務長官が禁止対象行為を決め、それ以降の取引を禁止する。

2020/8/10 米国、TikTokとWeChatの運営会社との取引禁止 

上記に基づき、米商務省は9月18日、TikTokとWeChat の規制を発表した。

米国内では9月20日から、両アプリの新規の提供を禁じ、アップデートもできなくなる。 (その後、TikTokについては9月27日午後11:59まで延期)
WeChat についてはダウンロード済みのアプリの機能も9月20日に禁止制限し、米国内での送金・決済などの提供も禁止する。

2020/9/19 TikTokとWeChat ダウンロード禁止 

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8月6日の大統領令に対し、U.S. WeChat Users Allianceというグループが8月27日に、「中国系アメリカ人が交流する主要な手段を奪い、表現の自由を侵害する」とし、大統領令は憲法の条項(表現の自由、正当な手続き、平等など)に違反し、同アプリの利用が禁止された場合に回復不可能な損害が生じると主張して、執行の差し止めなどを求め訴えた。

カリフォルニア連邦地裁のLaurel Beeler判事は大統領令の執行を一時的に差し止める命令を下した。大統領令が違憲にあたるかどうかについては今後も審理を重ねる方針とみられる。

判事の見解は以下のとおり。

政府の包括的な国家安全保障上の利益は重要である。

しかし今回、政府は中国の活動が国家安全保障上の重大な懸念を引き起こしていることを立証してはいるが、米国のすべてのユーザーに対するWeChatの効果的な禁止がこれらの懸念に対応しているという証拠はほとんど示されていない。

また、原告が指摘しているように、オーストラリアが行ったように政府のデバイスからWeChatを禁止したり、データセキュリティに対処するために他の手段を講じたりするなど、完全な禁止に代わる明白な選択肢がある。

商務省担当官は長い法廷闘争が始まると述べた。

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