米大統領選挙、期限の1月6日までに確定しない可能性も

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トランプ大統領は、大統領選に敗北した場合の訴訟を優位に進めるため、自身の考えに近い最高裁判事を指名し、上院での議会承認を急いでいる。郵便投票を巡る訴訟を念頭に「最高裁が本来あるべき姿よりも政治的になる場合に備えて判事が9人いることがとても重要だ」と述べた。 「郵便投票で不正が横行した」と主張し、 負けても選挙結果を受け入れず、訴訟に持ち込む恐れもある。

連邦議会は選挙人の投票証明書の開封、確認、当選の宣言を上下両院合同会議で行うが、その期日は、選挙人投票の翌年の16と規定されている。

今回は、郵便投票など選挙のやり方を巡って各州で訴訟が相次ぎ、1月6日までに決まらないのではとの懸念が出ている。

その場合にどうするかは米国憲法修正第12条で決まっている。民主党のNancy Pelosi 下院議長が一時的に大統領になる可能性もある。


米国の大統領選挙の仕組みは以下の通り。

有権者が大統領候補者に票を投じる「一般投票」は、4年ごとに11月の第1月曜日の翌日に行われる。本年は11月3日(火)となる。

その後12月の第2水曜日の後の最初の月曜日」(本年は12月14日)に、各州で選挙人団が集会し「選挙人投票」が行われる。

州の人口ごとに「選挙人」が割り当てられている。

選挙人は上院(100)と下院(435)の議員数にコロンビア特別区の3人を合わせ、総数は538人なので、当選に必要な人数は270人。

「選挙人は、それぞれの州に会合し、無記名投票により大統領および副大統領を選出する」が、ほとんどの州では、最も多く得票した候補がその州の選挙人全員を獲得する。得票率で選挙人を配分する州は、メイン州とネブラスカ州の2州のみ。
  メインは4人のうち、上院分 2人は全体勝者とし、下院分 2人は2選挙区の勝者
  ネブラスカは5人のうち、2人は全体勝者、3人は3選挙区の勝者

連邦議会は、投票証明書の開封、確認、当選の宣言を上下両院合同会議で行う。その期日は、選挙人投票の翌年の16と規定されている。

訴訟が相次いで、これが出来ない恐れがある。


投票証明書の開封、確認を経ても、なお大統領、副大統領の当選を決定できない場合を、選挙における偶発的事態(electoral contingencies)と呼ぶが、米国憲法修正第12条で進め方が決められている

下院が大統領を選出する。

「下院は直ちに無記名投票により、大統領として得票した者の一覧表中の高得票者3名以下の中から、大統領を選出しなければならない。」

「この方法により大統領を選出するときは、投票は州を単位として行われ、各州の議員団が1をもつ。」(各州は、その州の下院議員の多数決で決める。) 選出には、全州の過半数を要する。

現状では、下院議員全体では民主党232、共和党197、無所属(共和党離脱)1、欠員5で、民主党が多数だが、州別の下院議員では共和党が多数は25州、民主党が多数は24州、同数はペンシルベニア1州 で、ほぼトントンである。

但し、1933年の改正で、下院が大統領を決める場合、採決は「改選後の下院」が行なう。
下院(定数435)の議員任期は2年で、全員が改選対象となる。

上院は副大統領を選出する。

選出には、総議員の過半数を要するものとする。この場合、1議員は1を投じる。

上院(定数100)の議員の任期は6年で、議員の3分の1が2年ごとに改選される。そのため今回は33人が改選となる。

連邦下院による大統領の選出は、16日から120日(大統領就任日)の間に行わなければならない。

この期間に連邦下院が大統領を選出できない場合は、連邦下院が大統領を選出するまで、選ばれた副大統領が大統領の職務を行う(米国憲法修正第12条)。

副大統領も選出されていない場合、1947年大統領職継承法が適用される。これは、大統領が執務不能に陥ったり、死亡または辞職し、もしくは免職(弾劾及びその後の有罪判決により)された場合を決めている。

適用される大統領職の継承の順位は、副大統領(兼上院議長)の次は連邦下院議長、連邦上院議長代行、連邦政府の省の長官(1順位は国務長官、以下、財務長官、国防長官、司法長官、内務長官、・・・)である。

いずれも、大統領となる法的な資格が必要(生まれながらの市民でない者や、35歳未満の者、米国での居住歴が14年未満の者は、憲法上大統領となる資格を持たない。)

いずれの場合も、大統領又は副大統領が選出されるまで大統領の職務を行う。

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