中国、輸出管理法成立、ハイテク禁輸

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中国の全国人民代表大会常務委員会は10月17日、ハイテク製品の輸出管理を強化する輸出管理法案を可決、同法が成立した。12月1日に施行する。
国家の安全を損ねると判断した海外企業をリスト化し、輸出を禁止できるようにする。

米国が通信機器大手、華為技術(Huawei)など中国企業への禁輸措置を強める中、同様の対抗措置が可能となる。

同法案は2019年12月、2020年6月の全人代常務委で議論してきた。

中国商務部と科学技術部は8月28日、一部のハイテク技術を海外に移転する際に中国政府の許可が必要になるなど、規制強化を発表している。

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新法では、中国当局は管理を強化する技術や品目を定めた上で、中国の輸出企業に対し、最終的な顧客企業や使い道に関する証明書の提出を求める。その上で当局が「国家の安全への影響」などの観点から輸出許可を判断する。

対象品目の全容は明らかになっていないが、高速通信規格「5G」関連や、ソフトウェアの設計図である「ソースコード」などが入る見通し。
レアアースが品目に含まれるかが焦点の一つである。

また、「国家の安全に危害を及ぼす恐れがある」などと判断した具体的な顧客企業を特定してリスト化し、制裁措置として輸出を禁止・制限する。

中国商務省919日、「信頼できないエンティティ・リスト」(「不可靠体清单」)を公布し、即日施行した。
同リストは、米国で中国企業のEntity List掲載が相次いだこと等への対抗措置として20196月以来、検討を表明していたもの。

第2条 国は、信頼できない実体リスト制度を構築し、国際経済貿易及び関連活動における外国実体の以下の行為に対し、相応の措置を講じる。
(一)中国の国家主権、安全、利益の発展に危害を及ぼす;

(二)正常な市場取引原則に違反し、
中国企業、その他の組織或いは個人との正常な取引を中断し、又は中国企業、その他の組織或いは個人に対して差別的措置を採り、中国企業、その他の組織或いは個人の合法的な権益に深刻な損害を与える。

第10条 信頼できない実体リストに加えられた外国の実体に対して、実務機構は、実際の状況に基づいて、以下の1つ或いは複数の措置を採ることを決定し、且つ公布することができる。
(一)中国に関連する輸出入活動に従事することを制限或いは禁止する;
(二)中国国内で投資することを制限或いは禁止する;
(三)関係人員或いは移動手段等の入国を制限或いは禁止する;

(四)関係人員の中国国内での就業許可、滞在或いは在留資格を制限或いは取り
消す;
(五)情状の深刻さに基づいて、相応金額の罰金を科する;

(六)その他の必要な措置。

対象は最終的な顧客企業のほか、中間財や完成品を海外へ輸出する「第三国」の企業も含む。実際に中国が米国企業をリストに載せれば、中国からの輸入品を加工して輸出する日本企業にも 対象になる。

これは米国の制度に合わせたものである。

米商務省は2019年5月15日、Entity List にHuawei を追加し、Huaweiに対する米国製ハイテク部品などの事実上の禁輸措置を発表した。

これは米国の国内法を海外の国にも適用する「域外規制」であり、もし、日本企業がこれに違反し、米国品をHuaweiに再輸出した場合には、罰金、禁固、取引禁止顧客としての指定、米国政府調達からの除外等が課せられ、そのため実質的に米国との取引が以後出来なくなる事態が生じる。

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「禁輸リストに入った輸入企業や最終的な顧客企業がリスト入りの問題点を解決すれば、当局にリストからの除外を申請できる」との規定も追加した。ただし当局が最終判断を下すため、恣意的な対応への懸念は拭えない。

また、「いかなる国や地域も輸出規制を乱用し、中国の国家安全と利益に危害を及ぼす場合、中国は対等の措置をとることができる」と盛り込んだ。

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