九州電力・川内1号機の原子炉起動、テロ対策施設 初整備

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九州電力は11月17日、全国で初めてテロ対策の「特定重大事故等対処施設」(特重施設)を整備した川内原発1号機の原子炉を起動させた。東京電力福島第1原発事故を受け厳格化された新規制基準の要件を満たした最初の原発となる。

川内1号機は18日午前に核分裂反応が安定的に続く「臨界」に到達、19日に発電を開始し、12月中旬に営業運転に移行する。

特重施設は航空機を衝突させるような大規模テロ攻撃を受けても、放射性物質の外部放出を抑えるのが目的。九電は、原子炉建屋から100m以上離れた場所に、遠隔操作で原子炉を冷却する緊急時制御室や注水ポンプなどを配置した。

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原子力規制委員会は2013年6月19日、福島第一原発事故の教訓を踏まえた新しい規制基準を決定した。

テロ対策などを盛り込んだ「過酷事故対策編」、既存設備の安全対策を強化する「設計基準編」、活断層調査の強化や津波防護策を定めた「地震・津波編」の三つに大別される。

基準には、最新の安全対策を義務付ける「パックフィット制度」が導入され、既設原発も対象になる。

過酷事故対策編 「特定安全施設」(事故の際、中央制御室の代替として機能) 5年間猶予
「緊急時対策所」(前線本部となる免震重要棟) 仮設も当面可能(機能を満たせば)
フィルター付きベント装置 加圧水型原発は現状でも当面容認
電源車やポンプの配備
航空機墜落などのテロ対策 法施行から5年猶予→審査終了後5年
非常用バッテリー(3つ目) 5年猶予
設計基準編 ケーブル難燃化(火災対策)
活火山、竜巻対策の強化
冷却装置、電源設備の多重化、多様化
地震津波対策編 最高の耐震性
防潮堤、水密扉
活断層の調査対象を必要に応じて「40万年前以降」までさかのぼって拡大
最高津波の高さ(「基準津波」)に応じた安全対策を実施
活断層直上に重要施設の設置を認めない 日本原子力敦賀2号を認定


原子力規制委員会は2019年4月24日の定例会合で、原発に設置が義務付けられているテロ対策施設が期限内に完成しない場合、 期限の延長を認めないことを決めた。原則として原発の運転停止を命じる。

本来の趣旨からは、これら施設が完成してから初めて、再稼働が認められるべきものである。
それを電力供給の面から、例外的に5年の猶予を認めた。更に、「法施行から5年」猶予「審査終了後5年」に延ばした。
実際には工事が大幅に遅れ、どの原発も期限までの完成は見込めなかったが、各社は(再度の延期が当然認められると考えてか?)ぎりぎりまでこれを明らかにしなかった。

2020年にテロ対策施設設置の期限がくるのに、まだ完成していない原発は4基あり、いずれも停止した。

      停止 工事完成、再稼働予定
九電 川内 1号機 2020/3/16 2020/11/26 → 11/19 
2号機 2020/5/20 2020/12/26
関電 高浜 3号機 2020/1 * 2020/12
4号機 2020/10/7 2021/1 下旬


この結果、
関西電力大飯原発4号機が11月3日、定期検査のため停止し、国内では当面、九州電力玄海原発4号機のみの稼働となった。

2020/11/5 日本で稼働の原発、一時的に九州電力玄海原発4号機 1基のみに 

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