米地裁、TikTokの全面的利用禁止を差し止め

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米ペンシルベニア州の連邦地裁は10月30日、米政府が11月12日に予定しているTikTokの全面的な利用禁止措置を一時差し止める判断を下した。

付記  トランプ政権は11月12日、連邦控訴裁判所に上訴した。

9月27日にはWashington DCの連邦地裁が同日午後11:59に発効する予定だったトランプ米政権による配信禁止措置の一時差し止めを命じ ている。

米カリフォルニア州北部地区の連邦地裁は9月20日、騰訊控股(Tencent Holdings )の「WeChat」の提供を禁止する大統領令の執行を一時的に差し止める命令を下した。司法省は差止め命令が不当だとして再度訴えに出たが、地裁はこの訴えを棄却した。

本件では、政府側は連敗が続く。

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米商務省は9月18日、TikTok(とWeChat)の規制を発表した。

1. 2020年9月20日付で次の取引が禁止される。

・米国のオンラインモバイルアプリケーションストアを通じて、WeChatまたはTikTokモバイルアプリケーション、構成コード、またはアプリケーションの更新を配布または維持するためのサービスの提供。

Appleのapp store やGoogleのAndroidからTikTokを除くもので、新規取得が出来なくなる。
既存の需要家はそのまま使用できるが、安全性強化などのアップデートが出来なくなる。

米商務省は9月19日、「最近の前向きの展開を受け、大統領の支持のもと」、TikTokの上記禁止を9月20日から9月27日午後11:59まで延期すると発表した。


Washington DCの連邦地裁は商務省の規制が発効する
9月27日にこれを一時差し止めた。米政府は10月8日、 これを不服として連邦高裁に上訴した。

2. TikTokについては2020年11月12日付で次の取引が禁止される。

・米国でのモバイルアプリケーションの機能(または最適化)を可能にするインターネットホスティングサービスの提供、コンテンツ配信ネットワークサービスの提供、直接契約または手配されたインターネットトランジットまたはピアリングサービス

・米国内で開発および/またはアクセス可能なソフトウェアまたはサービスの機能における、モバイルアプリケーションの構成コード、機能、またはサービスの利用。

配信禁止で、既存の需要家 も利用できなくなる。

2020/9/19 TikTokとWeChat ダウンロード禁止 

今回、ペンシルベニア州の連邦地裁はこれを一時差し止めた。

米政府はアプリを通じた個人情報の流出など安全保障上の懸念から利用禁止の必要性を主張したが、地裁は禁止することで原告の3人の利用者(TikTok creator )らに「取り返しのつかない損害」をもたらすと指摘した。

原告3人はTikTokで生計を立てていると主張した。このプラットフォームはユニークで、ほとんど知られていない者がその作品を非常に多数(それぞれが、270万人、230万人、180万人)のサブスクライバーに見てもらえるとし、TikTokが閉鎖されると、このサブスクライバーを失い、生計を絶たれると主張した。

判事はこの主張を取り上げ、TikTokのビデオは表現、情報であり、フィルム、芸術作品、写真、ニュースと同じで、国際緊急経済権限法 で保護されているとした。

§1702 大統領の権限

直接的にも間接的にも次のことを規制、禁止することは本章により大統領に 与えられた権限に含まれない。

営利目的かその他の目的であれ、伝送の方式又は媒体を問わない情報や情報資料の全ての国からの輸入やすべての国への輸出。
限定されるものではないがそれら情報、資料は出版物、フィルム、ポスター、蓄音 機のレコード、写真、マイクロフィルム、マイクロフィッシュ、テープ、コンパク トディスク、CD-ROM、芸術品、ニュースワイヤー送信を含む。

米カリフォルニア州北部地区の連邦地裁は9月20日、騰訊控股(Tencent Holdings )の「WeChat」の提供を禁止する大統領令の執行を一時的に差し止める命令を下した。司法省は差止め命令が不当だとして再度訴えに出たが、地裁は 10月26日、この訴えを棄却した。「控訴裁で判断が下されるまでの間に差し迫った取り返しのつかない損害を被る」ことを政府は実証していないとした。

司法省は控訴もしているが、高裁の判断は早くとも12月以降になる。

2020/9/21 米連邦地裁、WeChat 配信禁止を一時差し止め


なお、TikTok
を運営する北京字節跳動科技
(ByteDance)と米ソフトウエア大手Oracleなどは提携交渉を続けているが、出資比率などで隔たりが大きく、協議は難航している。

トランプ米大統領は9月19日、TikTokの米国事業売却交渉を巡り、ByteDanceと米IT大手Oracleなど米企業との提携案を「概念として(in concept)承認する」と述べた。

しかし、Trump大統領は9月21日、新会社TikTok Globalの株式の一部をByteDanceが保有するなら、提携案の承認を撤回すると述べた。「Oracleが完全な支配権を持たないのであれば、われわれは合意を認めない」

2020/9/20 トランプ大統領、TikTokとOracleの提携案を「概念として承認」

付記  

TikTokの運営会社は11月10日、米国事業の売却期限の延長を首都ワシントンの連邦控訴裁判所に申し立てた。

トランプ大統領は8月14日、TikTok 売却に90日の期限を与えた。9月20日から11月12日に延びた。

しかし、売却に関する米当局などとの交渉が長引いて期限の11月12日が迫っており、事業を継続しながら最終決着させるには裁判所の介入が必要と判断した。

トランプ政権は11月13日、売却命令の期限を27日まで15日間延長したと発表した。

11月25日、これを12月4日で再延長することを認めた。

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