日本の原発の最近の諸問題

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原子力規制委員会は7月29日、使用済み核燃料からプルトニウムなどを取り出す日本原燃の青森県六ケ所村の「再処理工場」について、安全審査で国の新規制基準を満たしていると判断し、安全審査の合格を正式に決めた。残りの規制手続きや安全対策工事の完了などに1年以上を要する見通しで、稼働は2021年度以降となる。

2020/5/15 原燃・再処理工場の安全基準「適合」へ 

原子力規制委員会は12月9日、原発の使用済み核燃料から取り出したプルトニウムを燃料に加工する日本原燃の 青森県六ケ所村の「MOX燃料工場」について、安全対策の基本方針が新規制基準に適合すると認める審査書を正式決定した。

再処理の仕組み:

軽水炉では、中性子が当ってウラン235が核分裂したときのエネルギーで発電する。

その時、一部の中性子が核分裂しないウラン-238にも当り、ウラン238はベータ崩壊を繰り返し、プルトニウムに変化する。
プルトニウムの一部が核分裂するときに発生する熱も発電に役立つ。

残ったプルトニウムとまだ使えるウラン235を再処理して取り出し、ウラン燃料やMOX燃料の原料として使う。

「MOX燃料」に加工し、これを現在の原子力発電所の軽水炉で使用することを「プルサーマル」という。

当初は再処理で取り出したプルトニウムとウランを混ぜて作るMOX燃料を高速増殖原型炉「もんじゅ」で使用する計画であった。

福井県敦賀市にある日本原子力研究開発機構の高速増殖炉もんじゅは、高速増殖炉実用化のための原型炉として建設されたが、冷却用ナトリウム漏れ事故等のトラブルにより、ほとんどの期間は運転停止状態であった。2016年12月21日に廃炉が正式決定され、現在、廃炉作業中。

「再処理工場」と「MOX燃料工場」はようやく、安全対策の基本方針が新規制基準に適合すると認める審査書 の正式決定を受けたが、日本原燃は両工場ともに完成目標時期を延期した。

日本原燃は8月21日、「再処理工場」の完工時期を1年延ばし、2022年度上期を目標にすると発表した。完工延期は2017年12月以来で、時期を示さなかった例を含め25回目。
原燃によると、竜巻対策として建屋屋上に設置されている冷却塔を地上に移設するための地盤改良工事に時間を要するという。 
完工までには、安全対策工事のほか、設計・工事方法の認可(設工認)なども必要。


日本原燃は12月16日、「MOX燃料工場」の完成目標時期を2022年度上期から2024年度上期に2年延期すると発表した。7回目の延期になる。

一層の安全性向上のため火災防護などの追加対策工事を実施することなどを挙げている。

日本原燃の不手際が目立つ。

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日本政府は、使いみちのはっきりしない、余剰なプルトニウムを保有しないことを国際的に約束している。

政府は2018年7月3日、新たなエネルギー基本計画を閣議決定した。原子力発電所の使用済み核燃料を再処理して出るプルトニウムについて「保有量の削減に取り組む」と初めて明記し、国際社会の懸念に対応する方針を示した。

2019年末時点のデータが8月に公表された。

国内保管  8.9トン
英仏での海外保管分 36.6トン
合計 45.5トン

削減の具体的な方法としては、プルトニウムを通常の原子炉で燃やす「プルサーマル」を一層推進する方針を掲げた。

しかし、これは実現が難しい。

「MOX燃料」を軽水炉で使用する「プルサーマル」について、大手電力でつくる電気事業連合会は12月17日、新たな計画を発表した。

これまで「16~18基」としていたプルサーマルを導入する原発の目標数を、「2030年度までに少なくとも12基」へと事実上、下方修正 した。

「六ケ所再処理工場で処理したプルトニウムを消費するためには12基の稼働が必要」とし、「12基は中間目標で、下方修正ではない。稼働する全ての原子炉を対象に1基でも多くプルサーマルを導入できるよう検討していく」とした。

しかし、全国でプルサーマル炉として利用可能なのは9基で、うち再稼働しているのは現時点で4基にすぎない。

関西電力高浜原発3、4号機、四国電力伊方原発3号機、玄海原発 3号機 (他に廃炉となった福島第一原発3号機があった。)

再稼働そのものが進んでおらず、六ケ所再処理工場で処理したプルトニウムを消費するため必要な12基の稼働目標は目途が立っていない。

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使用済み核燃料の取り組みについて電気事業連合会が経産相に報告したなかに、次の点がある。

▽東電HDと日本原子力発電が設立した「リサイクル燃料貯蔵」が建設を進める中間貯蔵施設(青森県むつ市)の共同利用を検討する

これが問題である。

原子炉等規制法により、原子力発電所から発生する使用済燃料を発電所構外に貯蔵することは不可能であった。
しかし、核燃料サイクルの遅れとともに、原子力発電所構内における使用済燃料の貯蔵が逼迫することが懸念されたため、1999年6月に原子炉等規制法が改正され、原子力発電所構外に使用済燃料を貯蔵することが可能となった。

2005年10月に青森県とむつ市は、東京電力、日本原子力発電との間で「使用済燃料中間貯蔵施設に関する協定書」を結んだ。
同11月、東京電力と日本原子力発電が出資する「リサイクル燃料貯蔵」が設立された。

原子力規制委員会は2020年11月11日の定例会合で、リサイクル燃料貯蔵の使用済み核燃料中間貯蔵施設の安全対策が、新規制基準に適合すると認める「審査書」を決定した。
中間貯蔵としては原発の敷地外で国内唯一の施設で、現時点で2021年度の事業開始を見込む。

保管量は約5000トンで、保管期間は最長50年だが、その後の搬出先が決まっていない。

この施設は、東京電力と日本原子力発電用のものであるが、これを他社も使用できるようにしたいというもの。

各原発とも、使用済燃料の保管能力が少なくなっているが、特に関西電力が大きな問題を抱える。

関電は2015年以降、使用済み燃料を一時保管する中間貯蔵施設を県外に建設する方針を示してきた。

2017年11月、知事が関電大飯原発3、4号機の再稼働に同意する際、関電は2018年に県外候補地を示すと約束した。だが選考は難航し「2020年を念頭に」と先送りしたが、まだ「関電から報告はない」。

知事は12月2日、「提示が既に2年遅れ、地元と関電の信頼関係が崩れている」とし、40年超原発(高浜3、4号、美浜3号)の同意判断に当たり、年内提示が「全ての条件に先んじる」と踏み込んだ。

付記

結局、関電は年内に県外候補地を示せなかった。

知事は、「(再稼働の)議論の入り口には入れない」とする一方、「最大限努力するということなので、それを待ちたい」とも述べた。

県幹部は「関電が『早く報告に来る』というから了とした。貯蔵プールの満杯も迫っているので、今回は期待もしていたが......」と話した。

電気事業連合会は12月18日、経済産業省の幹部とともに、むつ市役所に市長を訪ね「中間貯蔵施設」について、電力各社との共同利用に向けて検討に入りたいとする考えを伝えた。

これに対し市長は「青森県やむつ市は核のごみ捨て場ではない。中間貯蔵場所は全国で探すべきなのに、それがないまま突然『むつ市でお願いします』とはならない」と述べ、強い不快感を示した。

むつ市に拒否されると、高浜3、4号、美浜3号の再稼働の同意が得られなくなる。

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