高校生考案の海洋汚染対策:魚が嫌うポリ袋

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日本テレビの12月20日の「所さんの目がテン!」で「科学ニュース2020」が放送され、そのなかに、「高校生考案の海洋汚染対策」があった。

プラスチックは紫外線や波にさらされて劣化、破砕、細分化され、マイクロプラスチックとな る。マイクロプラスチックは、海中の有害化学物質のPCB、ダイオキシン、DDTなどの残留性有機汚染物質(POPs)を取り込みやすいことが分かってきた。

海の生物がエサと間違ってマイクロプラスチックを食べると、炎症反応、摂食障害などにつながる場合がある 。また、マイクロプラスチックを摂取したプランクトンを小魚が食べ、中型の魚が小魚を食べ、さらに大型の魚が中型の魚を食べ...という食物連鎖を通じて、有害化学物質が生き物の体内に蓄積する可能性も懸念されてい る。

放送では、洗足学園高校(神奈川県の女子高)の2年生(現在)4人の「FISHレスキュー隊」の「魚が誤って食べることのないポリ袋」が紹介された。


日本政策金融公庫主催の
第7回「高校生ビジネスプラン・グランプリ」の最終審査会が2020年1月12日に東大本郷で開催され、応募3,808件(409校)のなかから準グランプリに選ばれた。

洗足学園高等学校<Fishレスキュー隊>

元気な魚を取り戻す! ~世界初!味で誤食を防ぐ生分解性プラ~

概要 魚のプラスチック誤食防止を目的に、魚が嫌う味の天然成分を含んだ生分解性プラスチック ビニール袋を開発し、小売店(コンビニ)やスーパー向けに販売するプラン。
商品・サービス 世界初の「魚の嫌う人体に無害な有機化合物:デナトニウムを含む生分解性プラスチック」で製造したビニール袋/(1枚4円)
ポイント ・プラスチックの味が魚の餌と似ていることが誤食原因の一つであることに着目。魚が嫌う苦み成分であるデナトリウムを摂取すると、苦味を受容する神経細胞により吐き出す忌避効果があることを検証し、デナトニウムを活用した生分解性ビニール袋を考案した。

・ビニール袋の主成分はサトウキビから抽出したポリ乳酸で製造されているため、長期的には水と二酸化炭素に分解され環境にやさしい。

審査員たちは「消費者の習慣(ビニール袋使用)を大きく変えることなく、環境問題に対してインパクトのあるアイデア」「魚の好きなものではなく嫌いなものから仮説を立てていく発想が素晴らしい」と、柔軟な着眼点を高く評価した。

海のゴミの中で特に多いポリ袋をエサと勘違いして多くの魚が誤食していることを知り、これを防ぐ方法を考えた。

人体に無害で、魚が苦味を感じる有機化合物「デナトニウム」を含ませたポリ袋であれば、魚の誤食を防げるのではないかと考えた。

「当初は魚が嫌う"匂い"に目を向けていたんですが、識者の方からデナトニウムを教えていただき、魚にとって嫌いな"味"に着目できたんです」

デナトリウムは、2,6-ジメチルベンゼンアミド構造を持つ第四級アンモニウム塩
商品名にビトレックス (シンコー化成)、アバージョンなど。「食品添加物」として認可されている。

ヒトが口にすると非常に強い苦味を感ずることが知られており、ギネスブックにも最も苦味の強い物質として記載されている。

ヒトはデナトニウムの濃度が10ppbでもその苦味を感じ取れるため、殺虫剤・洗剤・不凍液・工業用アルコールなどに誤飲防止の目的で添加される。
また幼児用玩具や microSDカード等の小型製品においても、誤飲などの防止を目的として表面に塗布されることがある。

東京海洋大学と協力して、魚にデナトニウムを含んだエサを与える検証実験をしてみると、通常のエサよりも食べる割合が大きく減少する結果を得て、自信を深めた。

「目がテン!」では金魚がこれを含む餌を飲み込んで、すぐに吐き出すところが写されている。

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その後、生徒たちは環境省を訪問し、レジ袋「エネルフィッシュ(ENERFISH)」を小泉環境大臣にプレゼンテーションした。

エネルフィッシュの実用化に向けて、㈱シモジマと共同研究を進めて、製造に日本ポリエチレンの協力を得て、このたびエネルフィッシュの実物が納品された。
今後は流通面からも実用化に向けて歩みを進めていく。

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第7回「高校生ビジネスプラン・グランプリ」のグランプリは、大阪府立三国丘高校の「PeriPeri ~もったいないとは言わせない~」で、市販スティックのりの受け皿(底)に残るのりに着目。最後までのりを無駄なく使用でき、環境に配慮したポリ乳酸素材の容器で「新型スティックのり」を製造・販売するプラン。


社会的な影響等を考えると、「エネルフィッシュ(ENERFISH)」の方がはるかに素晴らしく、なぜグランプリにならなかったのか、不思議である。



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